topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 サッカーのある風景 04/01/23 (金) <前へ次へindexへ>

 25代目の女王の座は、どのチームに。


 文/中倉一志
 1月12日に開幕した第25回全日本女子サッカー選手権大会(大会レポートはこちらから)も、いよいよクライマックス。明日24日には西が丘サッカー場で準決勝が行われ、翌25日に国立霞ヶ丘競技場で第25代目の女王が決まる。ベスト4に名を連ねたのは、田崎ペルーレ、日テレ・ペレーザ、伊賀FCくノ一、さいたまレイナスの、L・リーグの上位4チーム。女子サッカー日本一を決めるにふさわしい顔ぶれが順当に勝ち上がってきた。どこのチームにも優勝の可能性がある。



 そんな中で、最も優勝に近いと見られるのが田崎ペルーレだ。第15回L・リーグでは、西日本リーグを10勝無敗、決勝リーグも8勝1分1敗と圧倒的な強さを発揮。念願のリーグ初制覇を果たした実力は、他の4チームと比較して頭ひとつ抜け出しているといっていい。昨年の女子W杯代表メンバーを5名も要する実力もさることながら、その強さの秘密は、サッカーに対する責任感の強さと昨年度全日本チャンピオンとしてのプライドにある。

 バブル崩壊以降、企業が相次いで撤退したL・リーグの中で、田崎は企業がサポートしている数少ないチームのひとつ。環境が整わない女子サッカーにおいて、彼女たちの行動と結果は、好むと好まざるとにかかわらず、女子サッカー界の動向に大きな影響力を持つ。「結果を常に求めていかなければいけない」と川上直子は常々口にするが、自分たちの立場に対する自覚と責任感の強さが田崎を支えている。4年連続の決勝戦進出、そして2年連続3回目の優勝へ向けて準備は万全と見ていいだろう。

 田崎が優勝候補の筆頭なら、対抗はL・リーグ2位の日テレ・ベレーザ。過去の輝かしい実績の数々は女王の名にふさわしく、アメリカW杯に送り込んだメンバー6名は田崎の5名を上回る。今年のL・リーグでの田崎との対戦成績は1勝1分、田崎に唯一勝ち越したチームでもある。準々決勝ではボランチの酒井與恵を中心に、小林弥生、大野忍、近賀ゆかりが見事な中盤のコンビネーションを披露。その構成力は間違いなくL・リーグNo.1だ。

 今年のL・リーグでは、ややもたついた感がぬぐえないが、それは若い選手を起用してチームを作り直すという事情があったから。シーズンの締め括りに向けてチーム状態は上向いている。課題があるとすれば決定力か。「最後のところが決めきれない部分を修正できなければ優勝はなかなか難しい」と宮村監督は口にする。果たして、その課題がどこまで修正されているか。田崎から女王の座を奪回するポイントはそこにある。



 この2強に続くのが伊賀FCと「さいたま」だ。決勝リーグでの田崎との対決はともに2敗だが、日テレを含めた直接対決の結果は、それぞれ2勝2敗。実力的には決して遜色はない。特にアメリカW杯代表選手3人を要するほか、日本代表経験者をそろえる伊賀FCは気合十分。中盤の底でチームを操る宮本、スピードを生かした突破が信条の井坂と堤らを中心に、両サイドを広く使った得意のパターンで、5年振り3回目の優勝を目指す。

 その伊賀にとって最大の山場となるのが準決勝の日テレ戦だ。今シーズンの対戦成績は1勝1敗。互いにホームで完勝した両チームにとって決着をつける戦いになる。「ポイントは先制点。最初に点が取れるかどうか、それまでディフェンダーがきちっと我慢できるかどうか、それと、うちのサッカーをやり続けることができるかどうか」とは江川監督の弁。もちろん、日テレも事情は同じ。激しくぶつかり合うであろう準決勝は見逃せない一戦になりそうだ。

 そして、「さいたまレイナス」。1998年に市民クラブ「浦和レイナスFC」として設立。2002年シーズンより、「さいたまレイナスFC」に改称した、4強の中で最も歴史の浅いクラブだ。L・リーグには1999年シーズンから参戦。着実にステップアップして、今シーズンはL・リーグ4位の成績を残した。試合運営は市民ボランティアが行い、市民に支えられるクラブチームとして、女子サッカーの頂点を目指して活動を続けている。

 昨年の同大会では、選手たちが力を出し切っての準決勝進出。敗れても明るい表情だったが、今年は最低限のノルマのベスト4入り。L・リーグでも日テレに対して初勝利を挙げる等、この1年間で大きく力をつけた印象がある。経験不足からか準々決勝では思ったような戦いが出来なかったが、チャレンジャーとして戦える田崎との準決勝では失うものは何もない。今シーズン見せてきた粘り強い戦いで、リーグチャンピオン相手に堂々と挑んで欲しいものだ。

 Jリーグや高校ばかりがサッカーじゃない。この週末、女子日本一を決定する大会に、是非足を運んで、彼女たちの熱戦を見てほしい。



 準決勝 1月24日(土)西ヶ丘サッカー場
      11:30 田崎ペルーレvsさいたまレイナス
      14:00 日テレベレーザvs伊賀くノ一

 決勝戦 1月25日(日)国立競技場 13:00








<前へ次へindexへ>
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送