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 サッカーのある風景 04/02/05 (木) <前へ次へindexへ>
 堂々と入場するサガン鳥栖U−12

 いつか僕たちだって・・・


 文・写真/サカクラ ゲン
 九州少年サッカー大会の予選を兼ねた第25回佐賀新聞社杯県少年サッカー選手権大会(県サッカー協会・佐賀新聞社主催)が1月25日、佐賀県内の小学校9会場で開幕した。16パート72チームの参加で、佐賀県のトップ・九州大会佐賀県代表を目指し白熱した試合が展開されている。小学6年生にとっては、公式戦最後の大会だ。大会は2日間にわたって予選が行われ、各パートの1位が決勝トーナメントに駒を進めて優勝を争う。3連覇を狙うヴァレンティアFCジュニア(鳥栖市)をはじめ、昨年度準優勝のFCヴィレッズ鍋島(佐賀市)など、若き精鋭たちが日ごろの練習の成果を発揮する大会でもある。

 その中に、ダブダブの青のユニフォームを着た20数名のチームがある。
胸に刻まれた文字は『SAgAN TOSU』。そう、J2のサガン鳥栖の下部チーム“サガン鳥栖U−12”だ。彼らのユニフォームはトップチームの“お下がり”で、Jリーガーが試合で着用したしたもの。U−12の子どもが着るのだからダブダブになるのは当然だが、それでも、着ている精鋭達は、見た目や動き易さなどを気にせずにボールを追いかける。気持ちはトップチームと同じ。目指すは勝利の2文字、ただそれだけだ。

 さて、予選2日目の対戦は、昨年度準優勝の“FCヴィレッズ鍋島”(佐賀市)。両チームとも予選1日目を終わって1分1敗と苦しいスタート、予選突破のためには共に負けられない1戦となった。“FCヴィレッズ鍋島”は、6年生を中心としたサイド攻撃を得意とするランニングサッカー。対する“サガン鳥栖U−12”は、5年生を中心に4年生も混じるコンパクトなサッカーを得意とする小型のチーム。苦戦は必死と予想されたが、試合前の練習では気負いなど全く感じさせない。



 狙いはただひとつ。相手のゴールネットを揺らすだけ。
 試合開始は午前11時。陽春の陽射し中、“サガン鳥栖U−12”のキックオフで始まった。立ち上がりから容赦なく攻め立てる“FCヴィレッズ鍋島”。ファーストシュートは前半6分、GK月成大輝(4年生)がかろうじてクリアしたが、それ以降も“FCヴィレッズ鍋島”は立て続けにシュートを浴びるせる。そして10分、先取点は得意のサイドからのセンタリングで“FCヴィレッズ鍋島”が挙げた。“サガン鳥栖U−12”もFW小川慧(5年生)にボールを集めて必死に反撃を試みるが、この年代で1歳の違いはとてつもなく大きいもの。結局、3点のビハインドを背負ってハーフタイムを迎えることになった。しかし、指示を送る監督の表情をまっすぐに見つめる目に曇りはない。「とにかく勝ちたい」。純粋な思いが伝わってくる。

 サッカーというスポーツで3点のビハインドを逆転することは容易なことではない。しかし“サガン鳥栖U−12”のイレブンは、後半もひるむことなくボールを追う。ピッチを自由に走り回るMF下川直己(5年生)。MF川野優也(5年生)がサイドを駆け上がれば、MF大野純平(5年生)は2列目からの飛び出しを試みて、逆転勝利の可能性を捜し求める。チーム全員が勝利だけを求めて必死に戦っている。
 残念ながら、試合は0-4で“サガン鳥栖U−12”が敗れた。だが、体格も展開力にも差がある相手に堂々と立ち向かった。昨年度準優勝チームにひるむことなく戦いを挑んだ。“この試合に勝つ”。強い信念を持って・・・。



 必死でシュートを打つ
 どのスポーツにも共通して言えることだが、

“負けてもいい”と思って戦う選手はいない。
“抜かれてもいい”と思ってドリブルを止めに行く選手はいない。
“はずしたくて”シュートを打つ選手はいない。

 予選を戦うU−12に選手たちは、どんな状況に陥っても、試合終了のホイッスルがなるまで選手たちは持てる力のすべてをぶつけていた。試合に勝つために、1対1の勝負で遅れをとらないために、そしてゴールネットが揺れることを信じて。“試合は勝つために、プレーはシュートを打つために”行うことこそがサッカーの原点。当たり前のことなのだが、点差を気にせず一生懸命にボールを追う子どもたちを見ていて、改めて認識させられた。この子達はそれを素直に実践している。

 それでも、結果には勝ちと負けのどちらかしかない。勝者は喜び、敗者は泣く。がしかし、勝者も敗者も、勝利を目指して戦った者にしか得られない“何か”を掴む。自信、悔しさ、新たな目標。そして、全力を出し切った選手たちには満足感・達成感・爽快感が残ったのではないだろうか。スポーツは単純だが奥が深い。

 そして、試合終了後には、ハーフウェイラインをはさみ、両チームが礼をして握手して別れる。日本サッカー協会が推奨している“フェアプレーとマナー”をこの世代でも実践していた。共に戦った相手に畏敬の念を払うのであるが、他のカテゴリーの試合では十分に浸透していない光景である。この世代からでもサッカーについて学び取るところが多くあることも付け加えたい。

 この大会で優勝・準優勝したチームは、3月27日・28日に佐賀市で行われる『第35回九州少年サッカー大会』に出場する。佐賀県の代表として、健闘を祈る。がんばれ、未来のJリーガーたち!



 ところで、昨年から何かと話題を提供し続けている“サガン鳥栖”。しかし、U−12の子どもたちには“手の届く模範”でもある。トップチームの選手たちには、ユニフォームを譲り受けた彼らも、“サガン鳥栖”の名前を背負ってボールを追いかけていることを忘れて欲しくない。新しい監督を迎え選手のモチベーションが上がっていると聞く。昨年の結果は過去のもの。今年こそ、満足感をサポータにも与えて欲しいものだ。U−12の試合を観戦しながら、“サガン鳥栖”のキャッチフレーズだった「決して走り負けないサッカー。最後まであきらめないサッカー」を思い出した。子供たちの夢、そして鳥栖市民の夢である“サガン鳥栖”。その誇りを胸にピッチの上で戦って欲しい。


 惜しくも敗れたサガン鳥栖U−12。来年に期待だ。
佐賀新聞社杯予選(Nパートのみ掲載)
【Nパート1月24日予選】
浜少年  1−1  FCヴィレッズ鍋島
サガン鳥栖U―12  3―3  三根FC
佐賀FC  2―1  FCヴィレッズ鍋島
浜少年  4―0  三根FC
佐賀FC  1―0  サガン鳥栖U―12
【Nパート2月1日予選】
浜少年  1―1  佐賀FC
ヴィレッズ鍋島  4―0  サガン鳥栖U―12
佐賀FC  3―0  三根FC
浜少年  4―0  サガン鳥栖U―12
FCヴィレッズ鍋島  6―1  三根FC
※佐賀FCが決勝大会に進出
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