topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 サッカーのある風景 04/04/16 (金) <前へ次へindexへ>

 結局、堂々巡りなのかもしれない


 文/竹井義彦
 4月の末から、市大会がはじまる。第31回横浜市春季少年サッカー大会だ。
 横浜市では、ジュニアは二学年毎にカテゴライズされているので、私がコーチをしている子どもたちは、3・4年が戦う「LL」クラスで試合を行うことになる。もちろん、上位の学年なのでチームとしては予選リーグを勝ち抜いて、決勝トーナメント進出することがひとつの目標になる。

 春の大会では、私たち駒林サッカークラブの4年生チームが幹事チームとしてグラウンドを提供するので、ホームチームとして戦うことができる。日程としては4月25日、29日、5月2日を予定している。7チームがリーグ戦をおこない、上位2チームが決勝トーナメントに進出することができる。
 また、この大会の結果によって、秋におこなわれる市大会、横浜国際チビッコサッカー大会では1部と2部に分けられることになる。
 今年になってから、というよりももっと正確にいえば、去年の秋の市大会が終わってから、この大会を念頭において練習や試合をしてきたといっても大袈裟ではない。特に、今年になってからはこの大会に照準を合わせてきた。



 とはいっても、ご存じだとは思うが今年になってから、実は方針転換をちょっとしている。私たちのチームが主催した招待試合がきっかけだった。去年の秋の市大会に備えてチームを作っているときは春の市大会まで、チームのポジションを固定し、攻撃のコンビネーションを中心に練習をさせるつもりだった。壁パスやオーバーラップなど、ワンタッチでボールを繋いでいく練習をメインに、ミニゲームでは人数を限定し5vs5や、3vs 3などをやってきた。もちろん、ミニゲームのときにもポジションを固定して戦わせていた。

 いろいろな事情で退部した子がいた。その代わりといってはなんだが、新しく入部してきた子もいる。当初の予定とは違ったメンバーでチームを組まなければいけなくなったということもあったが、ポジションを試合のたびに変えることが多くなった。そんなこともあって、2月の招待試合以降は練習でもポジションを固定するのを止めるようにした。

 それで連携が崩れたかというと、そういうことはまったくない。むしろ3月に入ってからディフェンスの連携が格段によくなっている。ある試合ではハーフの真ん中をやっていた子がセンターバックに入ったり、センターバックの子がボランチに入ったりと、入れ替わり立ち替わり違うポジションに就いているにも拘わらず、連携はよくなった。サッカーに対する理解力が増したということなんだろうか。そのおかけで、3月の招待試合では予選トーナメントを1位で勝ち抜くことが多くなった。
 ついこの間の3年生最後の招待試合では、都合でメンバーが10人しか集まらなかったにもかかわらず、子どもたちは予想以上の頑張りを見せて予選リーグを勝ち抜いて1位抜けしてくれた。



 いままでのポジションを固定しなきゃという考えは間違っていたんだろうか? このところ私の頭の中ではこの疑問がぐるぐると渦を巻いているのだ。ポジションを固定しても、固定しなくても、きちんと練習をして、課題を持って練習試合などに臨めば、どんどん成長していくということなんだろうか。

 子どもたちは試合で本当に多くのことを学んでくれる。例えば、それまで気になっていた、とにかくボールを前へ蹴ったり簡単にクリアする癖は、クリア禁止にした途端、ピタリと止まった。クリア禁止は3月の練習試合から解除したが、よほどのことがない限り、簡単にクリアしなくなった。もちろん、前へただボールを蹴りだすこともなくなった。これも試合を通して学んだ結果のひとつだろう。

 ポジションはむしろ固定するのではなく、いろいろなポジションを経験させ、大切な試合では一番その子にあったポジションに就けるというのがいいんだろうか。
 そう考えると、いまやっている練習も間違っているんだろうか? いや、間違っているとはいわないまでも、もっと効果的な練習方法やメニューがあるんじゃないんだろうか。実は、チームが試合で好調になってから練習を見ていても、そんな疑問で頭はいっぱいになっている。

 市大会までは、もう2週間もない。週末の日曜日は練習試合を予定しているので、今週の土曜と来週の土曜しか練習する日はない。もし、もっともっといい練習方法があるとしたら、躊躇している時間はない。しかし、いまチームの調子がいいのは、これまでの練習が正しかったからだ、ということもいえるかもしれない。そんなことを考えると、新しい練習メニューにいまから手をつけることができなくなってしまう。



 よくよく振り返ってみれば、コーチなんて偉そうにしてはいるが、私はまだまだ新米のコーチということなんだろう。子どもたちに教えていることは確かだ。サッカーの技術やプレーを教えてはいる。しかし、コーチ術とでもいえばいいんだろうか、子どもたちへの教え方を、子どもたちから教わっている最中なのかもしれない。

 だから、これからもいろいろなことに悩むことになるだろう。そして、その都度、ひとつひとつステップを上っていくことができるんだろう。ただ、悩んでいる内容は、とどのつまりは堂々巡りだったりする。同じことを違う理由で悩んでいる。きっと来年の今頃も、同じことを違う理由でやるべきかどうか悩んでいるだろう。
 だからこそ私は子どもたちにサッカーを教えることに充実感を覚えているのかもしれない。







<前へ次へindexへ>
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送