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 サッカーのある風景 04/07/09 (金) <前へ次へindexへ>

 そして、いつも同じ疑問にぶつかる


 文/竹井義彦
 ついこの間、横浜市の港北区大会予選リーグが終了した。
 攻めても攻めても点が入らず、勝てるはずの試合を引き分け、ついには決勝トーナメントに進めず、悔しい思いをしたのは2ヶ月ほど前のこと。そのあと、お父さんコーチたちと話し合い、チームのシステムを変更することにした。しかし、予定していた練習試合が雨で流れてしまうなど、新しいシステムを試すことはほとんどできず、いわばぶっつけ本番で臨んだ区大会となってしまった。

 私がコーチをしている駒林サッカークラブの4年生チームは、小学校3、4年でカテゴリーされているLLクラスのAチームとして参加したわけだが、Aブロックを首位で通過することができた。戦績は5勝1分、総得点24、失点1、得失点差23だった。点をきちんと獲ることができたことはもちろんだが、いろいろなパターンから得点を上げられたことが、なによりも嬉しい。しかも、失点は1。これは、アクシデントが絡んでの失点なので、ディフェンスもしっかりできたと、私は思っている。

 市大会までの時と、大きく変わったのは練習のテーマとシステムだ。
 練習のテーマはいうまでもなく「シュート」。ただボールをゴールに蹴り込むのではなく、一度パスをしたボールを受け、ゴールのどこに蹴るのかを判断してからシュートを打ったり、ペナルティエリアの角までドリブルで進み、そこからゴールへ向かいシュートを打ったりと、シュートを打つまでにさまざまな動きや狙いを加えたシュート練習をメインに練習してきた。

 パスの出し手も最初はコーチがやっていたが、慣れてくると子どもたちにやらせるようにした。これは、走り込む先へパスを出すことを子どもたちに意識させるためである。その結果だろう、今回の大会ではディフェンスの裏へボールを流し、フォワードを走らせるプレイが多く見られた。これは攻撃のスピードアップに繋がり、迫力ある速攻がゴールにいくつも結びつくことになった。



 システムについては前にも書いたことがあると思うが、市大会まではスイーパーを置いた変形の3バックを採用していた。一番後ろにスイーパーが控え、その前にはサイドバック、真ん中にはストッパー役をかねたボランチを置いていた。少年サッカーチームの多くが採用している、スイーパーとストッパーを真ん中に、左右にサイドバックを置いた4バックがベースになっている。

 その前に両サイドハーフを含めたハーフが4人並び、フォワードは2人。数字で表現すると3−1−4−2ということになるだろうか。お父さんコーチたちの意見もあり、市大会のあと一度だけ練習試合で3トップを試したことがあった。が、前に3人置いてしまうと、さすがに真ん中がスカスカになってしまい、ゲームを組み立てるどころが、ボールを奪うポイントもディフェンスラインまで下がってしまい、展開が苦しくなることが判った。

 その試合のあと再び話し合いをして、3トップは止めて、トップ下を置くことにした。ディフェンスは完全な3バック。真ん中はリベロ、その前に左右のストッパーを配置することにした。ハーフの4人はそのまま、トップ下を置き、フォワードは2人に戻した。3−4−1−2ということになる。この形で何度か試合をすることができたらよかったのだが、天気を都合よくコントロールするわけにもいかず、いきなり区大会ということになってしまった。

 ただ区大会の日程は、初日を除き、日曜日に行われることになっていたので、土曜日に練習、日曜日に試合というパターンで臨むことができた。もちろん、普段はシュートを意識した練習がメインになる。しかし、1点を争うだろうと予想された試合の前日は、ほぼ1日、リスタートの練習に費やした。攻撃はもちろんだが、一番の心配は失点にあったので、FKに対する壁の作り方とCKの時のマークの付き方を繰り返し繰り返し練習させた。ディフェンスを練習するということは、同時にオフェンスを練習することにもなる。FKやCKは、試合の時に実際に担当する子どもたちが蹴るからだ。

 お陰で、リスタートからの失点はなく、逆にCKから貴重な引き分けとなる同点ゴールを決めることができた。前日練習のお陰かもしれない。時には左右の両ストッパーよりも前の位置にいるリベロと、ハーフの真ん中の2人でボールを奪うと、直接ディフェンスラインの裏へボールを出したり、サイドに一度振ってから展開したり、中央をドリブルで突破したり、セットプレイから決めたりと、さまざまなパターンから得点を上げることができた今回の区大会。こうして振り返ってみて、しかしふと気になることがある。小学4年生のチームにしては、ちょっとやりすぎではないか、ということだ。



 いつも私の中に生じる疑問かもしれない。これは「オーバーコーチング」なのではないか? もっともっと子どもたちに、きちんと考えさせた方がいいんじゃないんだろうか? こんな指示を出して、子どもたちがオートマチックに動くようになっていくのはいいけど、ただ単に私が好きなサッカーを押しつけているんじゃないだろうか?

 この疑問の答えは、しかしいつも出ない。
 今回の区大会はある意味、勝つことが目標のひとつでもあった。少なくとも決勝トーナメントに進出しなければ、市大会で結果を出せなかった子どもたちが自信を失ったままになってしまうかもしれない。そういう考えがベースにあったことは確かだ。けれど、中盤でボールを奪い、ドリブルで突っかけていき、敵の壁にぶつかると「遅いよ」とベンチからいわれると、子どもたちは勝負しなくなるんじゃないだろうか? ディフェンダーがボールを奪うとそのままダイレクトに前線へ蹴り込むことは、昔、一度禁止にしなかったっけ?

 そんな疑問が次から次へと湧いて出る。
 勝つことと、サッカーの楽しさを教えてあげること。この両立しそうでいて、しかし対立することもしばしばある目標。子どもたちに自由にプレイさせて、それで勝てれば一番いいんだろうが、そんな虫のいい話はない。ふとした瞬間に心のどこかに湧いてくるこの疑問。もしかすると、この子たちが卒団するまで悩み続けることになるのかもしれない。

 区大会の決勝トーナメントは7月17日と19日に行われる。駒林サッカークラブの4年生たちは、17日、決勝トーナメントの一回戦を勝ち抜いたチームと準決勝を戦う。
 どんな試合になるんだろう。そして、私の疑問の答えは、いつ見つかるんだろう。
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