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 サッカーのある風景 05/08/29 (月) <前へ次へindexへ>
写真提供/Art-Flash 加工自由な壁紙と素材

 サッカーしねま! 第4回 「ひまわり」


 文/砂畑 恵 
 子供の頃は8月の終盤ともなればとても気が重いものでした。と、言うのも、自分の質が大きく影響しているわけで、つまり「追い込まれて本領を発揮するタイプ」の私は、夏休みの宿題がまだ終わってないと、まぁ、切羽詰まった状況ゆえのことでありまして…

 夏休みの宿題の中には、理科だと大概、観察研究といったものがありました。昆虫や植物を観察してその生態を学ぶというものですが、おそらく読者の方の中には「ひまわりの成長日記」を書かれた人もいらっしゃるのではないでしょうか?

 近頃では生花店にて花束にすることも出来る、小振りのひまわりも見かけることも多くなりましたが、「向日葵」と表記されるくらいですから、やはり地面にしっかりと根を張り、降り注ぐ日差しの中、グンっと背伸びするような姿の方がこの花らしい気がします。

 ひまわりの花言葉は、「崇拝」「愛慕」そして「あなたを見詰めています」。明るくて、おおらかで、そんなイメージを抱かせるこの花。今回ご紹介する映画「ひまわり」はきっと、また別の想いにあなたに植え付けることでしょう。


【ストーリー】
 第2次世界大戦中のイタリア・ナポリ。長閑な海岸で戯れるアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)とジョバンナ(ソフィア・ローレン)は恋の真っただ中。しかし戦争の暗い足音は確実に迫っていた。予備兵として登録されていたアントニオに招集が掛かり、慌ただしく結婚式を挙げた2人に残された時間はたったの2週間。兵役逃れの一計を案じてはみたものの、敢え無く虚偽が軍に知れて、アントニオは極寒のロシア前線へと派兵されてしまう。

 無事を祈り、年老いた義母と夫の帰りを待っていたジョバンナだったが、終戦を迎えてもアントニオは一向に帰っては来ない。政府から受け取ったのは生死不明の通知のみ。夫の生死の手掛かりを掴もうと奔走するジョバンナは、ついにウクライナの雪原でアントニオと出会ったという復員兵を見付け出す。夫は必ず生きているとの思いを強くしたジョバンナはアントニオを探しに、単身でロシアへ旅立つ決心を固めた…

 監督はビットリオ・デ・シーカ。代表作の「自転車泥棒」でも暗い世相でも健気に生きようとするイタリア庶民をつぶさに描いています。運命に翻弄される主人公はイタリアの代表的な大スター、マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンが熱演。マストロヤンニはフェデリコ・フェリーニやルキノ・ビスコンティといったイタリアの誇る名監督とコンビを組んで、「甘い生活」や「白夜」などのヒット作を飛ばし、ローレンも61年に「ふたりの女」でアカデミー主演女優賞を受賞し、「アラベスク」や「カサンドラクロス」など国際女優として活躍しています。またソ連映画界からはリュドミラ・サベリーエアが出演。「戦争と平和」では清楚なナターシャを好演していますが、この映画でも献身的に尽くすマーシャ役でその魅力を余す事なく披露しています。そして切ない調べの主題曲をヘンリー・マンシーニが担当しています。

 この映画は戦後初めて西側のロケ班がソ連にて撮影を許された作品です。特に印象的なのはウクライナの雄大な地に百花繚乱するひまわり。種は食用ともなることをふと思い出し、雪原を敗走するイタリア兵のシーンと重ね合わせて、自然発生したひまわりの群生に胸が詰まります。

 ウクライナ大使館のHPによると、1960〜70年代およびビデオが発売された頃には外国人がクレムリンから80km以上離れてはならない規則があったらしく、旧ソ連の共和国であった当地を観光で訪れることを避ける為にか、「ひまわり畑はモスクワのシェレメチェボ国際空港の近く」と日本で発売されたビデオ解説書には書かれていたとのこと。 

 ところで肝心のサッカーがある風景ですが、イタリア人を見掛けたという噂を聞いたジョバンナが、サッカーの試合の行われているスタジアムを訪れるというシーンとして登場します。なんとか名前を知りたいと思い、パンフレットに掲載されていたスタジアムのスナップ写真を基に、ロシア大使館のHPでも紹介されている日本ユーラシア協会の方に調べて頂いたところ、モスクワにあるジナモではないかということでした。

 それにしても、戦争で傷付き、例え懐かしい祖国、愛する家族、そして自分のアイデンティティさえも失ってロシアで暮らしながら、なお心の拠り所であり、捨て難いカルチョへの思慕。それこそがイタリア男の持つ性なのでありましょうか。

 ところで「ひまわり」は英語吹き替え版も流通しているよう。でもやっぱり臨場感はイタリア語版には敵わないに違いありません。



「ひまわり」(1970年イタリア作品)
原題   I GIRASOLI
監督   ビットリオ・デ・シーカ
キャスト ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、
     リュドミラ・サベリーエア
時間   107分
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