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 サッカーのある風景 05/02/05 (土) <前へ次へindexへ>

 ちょっとわがままをいってみよう


 文/竹井義彦
 この時期、日本のサッカーはいわゆるシーズンオフである。
 多くのチームがキャンプに入っているが、天皇杯と高校サッカー選手権を最後に試合の放送もしばらくはない。いつもなら、この時期私はアメリカンフットボールの試合をよく観ることになる。NFLのチャンピオンの座を賭けたスーパーボウルへのチャレンジがはじまる時期だからだ。

 AFCとNFCというカンファレンスに分かれているNFLだが、それぞれがプレイオフをおこない、勝ち進んできたチームがカンファレンスチャンピオンとして、スーパーボウルで激突するのだ。12月がはじまる頃から贔屓のチームの成績を気にしながら、テレビで試合を観て、いろいろなチームの特徴を頭にいれ、このプレイオフからテレビに齧り付くことになるんだが、今年はちょっといつものとは違う。

 実は、仕事がとんでもなく忙しくなっていて、きちんとテレビで試合を観ることができないでいるのだ。おかげで、今年はプレイオフに進出したチームの特徴はさっぱりわからず、辛うじて放送を、といっても夜中の再放送だが、観ることができても、ディビジョナルプレイオフもカンファレンスチャンピオン戦もちんぷんかんぶんだったのである。
 おまけに、私が好きなチームはここ何年もず〜っと低調な成績でプレイオフどころか、ほとんど最下位争いをしている始末で、今年はすっかり興味が薄れてしまっているのだ。



 人というのは不思議なもので、熱心に観ていればその興味が尽きることはないのだが、いったん、それもほんのわずかでも離れてしまうと、薄れていく興味を元に戻すのにかなりのエネルギーが必要になるらしい。ということで、毎年、生の中継をそれこそ観ていたスーパーボウルだが、今年は結果をニュースで知るだけになりそうである。

 じゃ、サッカーはどうなのかというと、同じように時間はないんだが、日本代表の親善試合はリアルタイムで放送が観られなければ、ハードディスクレコーダーに録画して観たりしている。しかし、熱心に観ているのかというと、そういうわけではない。
 リアルタイムでないと熱心さに欠けてしまうことになるのはやむを得ないかもしれない。なにしろ、何度でも見直すことができるのだ。ちょっと見逃したシーンをもう一度観たいと思えば、録画した試合だからその場ですぐに観直せちゃうのである。

 緊張感がないといえばそれまでかもしれない。なにしろ結果を知ろうと思えば簡単に知ることができる。リアルタイムで観ている場合は、手に汗握っているその瞬間瞬間に刻々と状況が変わっているわけで、私が応援しないと負けちゃうかもしれないという、一種独特の危機感のようなものを抱いてるせいもあるんだろうが、のめり込んでしまうことになる。



 いや、正確にいうと、のめり込んでいた、だな。実は、このところ日本代表の試合にのめり込めなくなっているのだ。サッカーに対する興味が薄れたわけではない。現に、応援している横浜FCの試合の場合は、いつもたいてい結果を知った上で中継録画を観るんだが、ただ黙って観るのではなく、拳を振り上げたり大声を上げたりと実に大人げない態度で熱中してしまうのである。それも、何年も前の勝った試合だったとしても、いつもいつも同じ得点シーンで、同じように歓声をあげて、家族に呆れたような白い目で見られることになる。

 どうやらアメリカンフットボールほどではないにせよ、日本代表の試合に対する興味が少しずつ薄れているらしい。これからW杯の最終予選がはじまるという大切な時期なのに、である。原因はなんなのか。まぁ、ひと言でいっちゃうと、代表の試合がさっぱりおもしろくないから、ということになってしまうんだろう。いろいろな報道を見ると、代表戦は結果がすべてということになるらしい。サッカー協会のキャプテンがそう発言しているし、監督も似たような考えのようだ。そして、実際の試合もそうなのだ。

 いや、なにも負けて欲しいと思っているわけではない。そりゃ勝ってもらいたいし、勝った方がだんぜん気分がいい。でも、どの試合も一様に同じ扱いでいいのかというと、そういうわけではないと思うのだ。

 それが、どの試合もどの試合もメンバーはほとんど同じで、判で押したような試合展開。ディフェンスはやや深めでともかくリスク回避だけが大切なのだといわんばかりの応対の仕方。攻撃もチャンスは築くがシュートまでなかなか持っていくことができず、得点はともかくセットプレイ頼み。なにか新しいことにチャレンジするだとか、新しいコンセプトを示してくれたり、いままでとは違うなにかを示唆してくれたりだとか、そういう期待感をまったく抱くことができない。だから私には興味が持てなくなっているんだろう。



 サッカーのおもしろさって、結果だけを問うことではないと思うんだよなぁ。
 それも、日本を代表するチームのサッカーなんだから、どこかでワクワクできるような何かを魅せて欲しいと思うんだけど、それって私の単なる独りよがりのわがままなんだろうか。

 とかいっていられる時期は、もう終わってしまった。もうすぐ、W杯の最終予選がはじまってしまうのだ。これは正真正銘、結果こそが求められる戦い。だから、つまらなくてもなんでもとにかく勝たなければいけない。なんだか中途半端な思いのままだけど、ともかくこの最終予選はしっかりと見ることにしよう。

 でもやっぱりわがままをいいたくなっちゃうなぁ。
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