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 福岡通信 04/08/06 (金) <前へ次へindexへ>

 羽ばたけ未来へ! 第3回 J-COM Broadband杯 ジュニアサッカー大会


 文/中倉一志
 バスの窓から差し込む朝日で目が覚めた。時計に目をやれば、もう7:00。まもなく福岡に着く。西京極陸上競技場で行われたJ2第23節の京都vs.福岡を取材した後、そのまま宿泊しようかと迷ったのだが、結局、深夜バスに乗り込んで福岡に戻ることにした。もちろん、サッカーの試合を観るためだ。足を向けたのは雁ノ巣レクリェーションセンター。この日は、「第3回 J-COM Broadband杯 ジュニアサッカー大会」が行われる。昨年の大会も取材させていただいたが、少年たちの真剣で無邪気なまなざしが忘れられなかった。

 この大会は、地域に愛される企業を目指す「J-COM Broadband 福岡」が、地元のスポーツ文化の発展への貢献を目的として開催するもので、福岡市7区の小学校年代のトレセンメンバーが日頃の練習の成果を発揮する場所としてお馴染みになっている。中央区と城南区が1チームずつ、そのほかの区は2チームずつの選抜チームを編成。合計12チームで優勝を争う。小学生と侮るなかれ。選抜メンバーだけあって、その技術は高い。

 大会は7月24、25日の2日間で行われた。初日は3チーム・4ブロックによるリーグ戦が行われ、翌日、各グループの同順位同士で行われる順位決定トーナメントへと進んでいく。試合時間は20分ハーフ。トーナメント戦では時間内で勝負が決しない場合はPK戦で決着をつけるが、優勝決定戦だけはPK戦に入る前に10分ハーフの延長戦が行われる。どのチームも炎天下で3試合以上を行うハードなスケジュール。しかし、サッカーをやれる楽しさで一杯の子供たちには、そんなことは気にならないようだ。

 グループリーグの結果、優勝決定トーナメントに進んだのは、東区トレセン、博多ヤマカサーズ、FC WEST、博多区トレセンの4チーム。中でも東区トレセンは第1回大会以降、現在2連覇中の強豪。どのチームが東区トレセンの3連覇を阻むのか、あるいは、東区トレセンが3度目の優勝を果たすのかに注目が集まる。順位決定トーナメントが行われた25日は、じっとしているだけで肌がジリジリと焼けてくるような炎天下。それでも、子供たちは優勝を目指して元気にピッチに飛び出していった。



 さて、準決勝第1試合では注目の東区トレセンが登場、FC WESTと対戦した。立ち上がりに攻め込んだのはFC WEST。ピッチを幅広く使う組織的なサッカーが持ち味のチームで、東区トレセンを自陣内に押し込める。しかし、東区トレセンも堅い守りをベースにカウンターを狙う。攻めるFC WEST。守る東区トレセン。そして前半は0−0のまま終了した。「先にボールに触ろう」とは小松陽一コーチ(東区トレセン)。「遠めからでも打て。そこから中へつめよう」と樽谷修之監督(FC WEST)。勝負は後半に持ち越された。

 後半に入ると出足の良くなった東区トレセンが盛り返す。そして、ここからは攻め合いの展開に。25分、東区トレセンが決定的なチャンスを作れば、その直後の27分にFC WESTも得点のチャンスを作る。続く28分、東区トレセンが立て続けにチャンスを作れば、FC WESTも、負けじと30分に決定的なシーンを作り出す。ともに良く攻め、そして良く守る一進一退の攻防が続く。

 試合が動いたのは33分、ゴール前で得たFKのチャンスを東区トレセンが直接ゴールネットを揺らす。「ドン!」という音とともに放たれたシュートが壁の横を通ってゴールマウスを捉えた。その後、36分にはFC WESTが同点ゴールを決めて試合を振り出しに戻したが、同点の後のキックオフのボールから、東区トレセンが意表をつくロングシュート。これがゴールに吸い込まれて決勝ゴールとなった。さすがに2連覇中の東区トレセン。勝負強さが光った。



 準決勝第2試合は博多区トレセンと博多ヤマカサーズの同一区の代表同士の試合になった。博多区トレセンは、いわゆる博多区のAチーム。随所に好プレーを見せ、開始直後の3分には早々と先制点を奪った。トップにボールが当てておいて、両サイドがしっかりと押し上げてサイド攻撃を展開。ボールをつないで組織で崩すことを強く意識して試合を進めている。しかし、博多ヤマカサーズも踏ん張りを見せる。攻められながらもしぶとく守り、19分に同点ゴールを奪って前半戦を1−1で折り返した。

「勝てる可能性は必ずある」(佐伯道郎監督・博多ヤマカサーズ)。そう促されて後半のピッチに飛び出した博多ヤマカサーズは、前半の劣勢を盛り返して主導権を握る。炎天下で動き回った影響なのだろう、博多区トレセンの運動量が落ちた。そこを、博多ヤマカサーズは個人の力を前面に出してグイグイ押し込んでいく。必ず勝つ。そんな気持ちにあふれたプレーを展開している。そして残り10分を切ってからは何度も決定的なチャンスを作り出した。しかし、最後のところで粘りを見せる博多区トレセンの壁は破れず。勝敗の行方はPK戦へと持ち越された。

 どんな大会でも、PK戦はなんとも言えない気持ちになる。ここまでくれば、あとは運。ともに持てる力を精一杯発揮して戦った結果をPK戦に委ねなければならないのは、見ているほうも辛い。しかし、これも勝負だ。結局、2人が外した博多ヤマカサーズに対して、博多区トレセンは4人がきっちりと決めて決勝進出を決めた。後半は主導権を握って攻め続けていただけに、博多ヤマカサーズにとっては残念な結果になってしまった。



 3連覇に王手をかけた東区トレセン。ここまで高い組織力を発揮して決勝戦に進んできた博多区トレセン。炎天下での戦いもこれが最後とあって、決勝戦はとも立ち上がりから激しくぶつかり合う幕開けとなった。豊富な運動量で動き回る両チーム。博多区トレセンが押し込めば、東区トレセンが攻め返す。気合十分の両チームは局面で激しくボールを奪い合い、互いに一歩も引かずにぶつかり合う。序盤の攻防は五分と五分。決勝戦にふさわしい立ち上がりだ。

 先手を取ったのは博多区トレセン。時間は5分、ゴール前の混戦からゴールマウスに押し込んだ。そして、ここから博多区トレセンが試合の主導権を握る。トップにボールを入れると、すかさず両サイドが押し上げるのはいつものスタイル。そのサイドを幅広く使った攻撃で東区トレセンを押し込むと、さらに後方からもどんどん攻撃参加して分厚い攻撃を繰り返す。その攻撃的なサッカーは観ている者をワクワクさせてくれるほどだ。

 後半に入ると、博多区トレセンは、さらに激しい攻撃を繰り出した。ラインを押し上げてコンパクトなゾーンを形成。相手ボールに激しくプレッシャーをかけてボールを奪い、ルーズボールもことごとく拾って攻撃へとつなげる。そのサッカーは、ほぼ完璧。ここまでやられてしまっては、さすがの東区トレセンも反撃の余地はない。そして27分、試合を決めるゴールが博多区トレセンに生まれた。東区トレセンも、終了間際に決定的なチャンスを作り意地を見せたがゴールはならず。博多区トレセンが東区トレセンの3連覇を阻んで優勝カップを手に入れた。



 それにしても博多区トレセンの攻撃サッカーは見事だった。「あんまり、縦、縦と行かないで、縦の中に横を織り交ぜていろんなことをやろうと言っていました。守りに入るよりも、攻撃して勝つというサッカーをやろうと。いいチームになりました」(田中和行監督)。終わってみれば、他のチームの1枚も、2枚も上を行く組織サッカーを披露しての優勝に満足げな表情を見せた。その横で新聞社の質問に答える子供たちも大はしゃぎ。夏休みのいい思い出になったことだろう。

 勝ったチームも、残念ながら敗れたチームも、炎天下での真剣勝負で多くのことを学んだことだろう。「一生懸命頑張って、その喜びを知ることは大事」(田中和行監督)。そして、敗れた悔しさを心に刻むことも、これからサッカーを続けていく上で大事な財産になる。この中には、数年後に、ネービーブルーとシルバーのユニフォームに身を包んで博多の森で活躍する選手がいることだろう。そのときは、是非、インタビューさせてもらおう。そう思いながら雁ノ巣レクリェーションセンターを後にした。


※なお、この大会の模様はJ-COM TV 5chでご覧になれます
放送スケジュール
VOL.1「予選A、Bブロック」  8月6日〜12日
VOL.2「予選C、Dブロック」  8月13日〜19日
VOL.3「準決勝戦」  8月20日〜26日
VOL.4「決勝戦」  8月27日〜9月2日

放送時間
月・水・金・日  6:30〜、10:00〜、19:10〜、23:10〜
火・木・土  9:10〜、11:30〜、19:10〜、23:10〜
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