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 福岡通信 04/09/28 (火) <前へ次へindexへ>

 豊国学園高等学校、実力の2連覇。
 第21回福岡県女子サッカー選手権大会兼第22回九州女子サッカー選手権大会

 文/中倉一志
 去る9月19、20の日程で第21回福岡県女子サッカー選手権大会兼第22回九州女子サッカー選手権大会が、福岡県春日市にある福岡女学院グラウンドで開催された。今年から、九州リーグに所属するチームは県予選を経ずに九州大会へ無条件で出場することになったため、福岡県リーグに所属するチームを中心に7チームが参加。9月とはいえ、じっとしているだけで汗をかくような強い日差しを浴びながら、2日間に渡って激しいプレーが繰り広げられた。

 女子の試合はどの大会でもそうなのだが、参加するには日本サッカー協会「女子」に登録された単独チームで、中学生以上の選手で構成されていることが条件。したがって、中学生から社会人まで、幅広い年齢層の選手たちが同じグラウンドでボールを追う。一発勝負のトーナメントで優勝が争われ、試合時間は30分ハーフ。前後半を終えて勝敗が決しない場合はVゴール方式による10分ハーフの延長戦が行われ、それでも決着が付かない場合はPK戦で勝者を決める。



 さて、準決勝の第1試合では、昨年度のチャンピオンである豊国学園高校(以下、豊国学園)と、誠修高等学校(以下、誠修高校)が対戦した。豊国学園は激しいプレスとスピードを誇る攻撃的なチーム。昨年度のレギュラーのほとんどが残るチームは更にグレードアップし、本大会のダントツの優勝候補に挙げられている。対する誠修高校はパスを中心とした組織的なサッカーが持ち味のチーム。ピッチを広く使うサイドアタックからゴール前に飛び出す2列目の選手にボールを合わせてゴールを狙う。

 ゲームの見所は、豊国学園のスピードと激しいプレッシャーを、どうやって誠修高校がかいくぐるかにあった。しかし、息をつく暇もないほど激しく前からプレッシャーをかける豊国学園の前に、誠修高校は自らのペースを見失ってしまったようだ。激しいプレスの前にパスの出しどころを見つけられない誠修高校は、縦へボールを放り込んで前の選手が走り込むという戦い方を選択した。しかし、スピード勝負なら豊国学園が1枚も、2枚も上。誠修高校は次第に豊国学園のペースに飲み込まれていく。

 10分過ぎからは一方的な豊国学園のペース。これでもかと言わんばかりに力でねじ伏せにかかる。その攻撃的な姿勢は迫力満点。最終ラインの4人までもが誠修高校陣内に入り込んでプレッシャーをかけ続ける。豊国学園の先制点は23分、中盤にこぼれたボールをキャプテンマークを腕に巻く竹原選手が右足を一閃。ミドルレンジから放たれた強烈なシュートが誠修高校のゴールネットを揺らす。豊国学園はその後も自慢の攻撃力で誠修高校を圧倒。追加点を奪うことは出来なかったが、危なげなく前半を終えた。

「自分たちのサッカーが出来てない。きちんとつないでいこう」。ハーフタイムに監督の指示を誠修高校は、後半に入ると両サイドを意識してボールをつなぎ始めた。しかし、それも豊国学園を慌てさせるには至らない。そして再び試合は豊国学園の一方的なペースに。「進路相談のために練習不足で苦しかった」と塩見亮介監督(豊国学園)は試合を振り返ったが、決定力に欠くという課題を見せながらも、試合内容では圧倒。順当に決勝戦進出を決めた。



 準決勝の第2試合は、トナカイレディースFC(以下、トナカイFC)と福岡女子商業高等学校(以下、福岡女子商業)の対戦。立ち上がりは、福岡女子商業がペースを握る。環境の厳しい女子サッカーにあって、練習時間と場所を確保できるのが高校生チーム。その利点を生かしてクラブチームを押し込んでいく。最初の決定機は8分、FKのチャンスにゴール前に飛び出してあわせようとしたが、僅かにボールに届かなかった。

 しかし、先制点はトナカイFC。時間は9分、絵に描いたようなカウンター攻撃からゴールを奪う。そして、ここからはトナカイFCのペースに。社会人を中心としたクラブチームだけあって、落ち着きという点では福岡女子商業の上を行く。試合内容に、それほど違いは感じられないのだが、要所、要所を締めて確実に自分たちのペースで試合を進めていく。そんなトナカイの追加点は23分、ファーサイドでフリーになっていた田中選手が難なく右足で合わせた。

 この2点でトナカイFCは余裕しゃくしゃく。運動量と全員サッカーを武器にして攻めてくる福岡女子商業をいなしながら試合をコントロールしていく。そして34分、41分と確実に追加点を挙げて福岡女子商業を突き放す。その後、暑さのためにお互いの運動量が落ち込んで試合は膠着状態に陥ったが、トナカイは55分、59分にも加点。終わってみれば6−0の大差で福岡女子商業を下して、決勝戦に駒を進めた。

 クラブチームの老獪さに敗れた格好になった福岡女子商業。点差こそ6点と開いたが、試合内容にそこまでの差はなかった。全員で走り回って、全員でゴールを奪うスタイルは、高校生らしい好感の持てるチームだった。ただ連携という点から見れば、まだまだ改善できる点も。しかし、昨年と比較しても、その成長度合いは大きく、まだまだ伸びしろのあるチームという印象を受けた。今年は残念ながら準決勝で敗れたが、これからが楽しみなチームでもある。



 翌20日の決勝戦は大方の予想では豊国学園有利。しかし、唯一気になるのは豊国学園の決定力だった。前日の準決勝のように圧倒的に攻めながらもゴールに結び付けられなければ、トナカイFCに足元をすくわれかねない。しかし、そんな心配は無用だったようだ。結果を先に言えば、豊国学園は前日同様、激しいプレスとスピードでトナカイFCを圧倒。心配された決定力不足も見事に解消して7−0の大差で福岡県選手権を制した。相手に付け入る隙を与えない完璧な勝利だった。

 先制点は2分、右サイドを駆け上がった喜代原選手のクロスが、そのままゴールイン。その後も一方的にトナカイFCを攻めたてた。高い位置から徹底してプレスをかけてあいてボールを奪取。中盤で起点を作って両サイドに展開すると、右からは喜代原選手が、左からは河江裕生選手がスピードに載った突破を見せる。そして中央では、河江愛生選手と藤島選手がゴールを狙う。常にフルパワーで攻める豊国学園の前に、トナカイFCはなす術がない。21分に追加点を挙げた豊国学園は前半を2−0で折り返した。

 後半開始直後の33分、豊国学園が3点目を挙げると、ここからゴールショーが始まった。7分、9分と立て続けにゴールを奪うと、目に見えて運動量の落ちたトナカイFCに更に襲い掛かる。14分には、飛び出したGKをかわして6点目をゲット。22分には田代選手が見事にループシュートを決めてトナカイFCに止めを刺した。トナカイFCも終了間際に何度かカウンターのチャンスを作ったが、信じられないほどのスピードで戻ってくる豊国学園のDFの前にチャンスを生かすことが出来なかった。

 その圧倒的な攻撃力が目を引いた豊国学園だったが、その攻撃を支えていたのが、最終ラインで見事なカバーリングを見せた佐藤選手、中盤の底で守備に、配給に高いセンスを発揮した藤本選手、そして司令塔としてチームをまとめた竹宗選手の3人だ。この真ん中の縦のラインに芯があることでチームの攻撃力が遺憾なく発揮された。それにしても迫力のあるチームだ。全国優勝を果たした神村学園高等部に、九州高等学校女子サッカー選手権大会決勝で延長戦まで戦っただけのことはある。



「高校選手権に初めて行ったということが非常に大きかった。同じく九州代表の神村学園が日本一になり、その日本一のチームに、九州の予選の決勝戦でVゴールで敗れるまで戦えたというのが自信になっている」。塩見監督は試合後、そう振り返った。昨年は、ややもすると馬力だけで戦っていた感じもあったが、レギュラーメンバーが経験を積み重ね、プレーに幅が増えた。前から攻めるというスタイルは変わらないが、チームに落ち着きが出来たのは、そのためだろう。

「去年は同じ高校生の鳳凰に負けましたが、今年はなんとかひとつずつ勝っていきたい」と塩見監督。九州大会では各県の代表に加え、九州リーグの強豪とも顔をあわせることになる。昨年の九州大会では鳳凰高校がチャンピオンの座に輝いたが、豊国学園はそのチャンピオンの座を目指して九州大会に乗り込むことになる。強豪相手に挑む豊国学園の戦いぶりに注目したい。



[1回戦]  誠修高等学校  11−0  かすみフットボールクラブ
 トナカイレディースFC   4−0  春日イーグルスフットボールクラブ
 福岡リゾート&スポーツ専門学校   1−2  福岡女子商業高等学校
[準決勝]  豊国学園高等学校   1−0  誠修高等学校
 トナカイレディースFC   6−0  福岡女子商業高等学校
[決 勝]  豊国学園高等学校   7−0  トナカイレディースFC
         得点経過/[豊国学園]喜代原(2分)、河江愛生(22分)、藤島(33分)、山北(37分)、藤本(39分)、藤島(44分)、田代(53分)
[準決勝]  (豊国学園高等学校)
 GK: 西村沙季
 DF: 熊添有希(49分/倉富有加) 佐藤麻衣 山北美穂 植原依里子(21分/濱田詩織)
 MF: 藤本圭(50分/西口佳絵) 喜代原歩(49分/田代恵美) 竹宗梢 河江裕生
 FW: 河江愛生 藤島麻美
(トナカイレディースFC)
 GK: 遠藤春奈
 DF: 黒木愛子 田村麻奈美 中村由右子 有田浩子
 MF: 渋谷智子 猪口綾子 高木利帆
 FW: 田中正美 宮良紀子(20分/神鳥芳恵) 下川沙織
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