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 福岡通信 05/02/10 (木) <前へ次へindexへ>
札幌との試合は、冷たい雨の中で行われた。

 思い通りにはならなかった札幌戦
 

 取材・文/中倉一志
 宮崎で緊張感のあるキャンプを続けている福岡が7日、札幌との間で今シーズン最初の練習試合を行った。この時期の練習試合は、チームの出来上がり具合や課題を確認することが最優先で、必ずしも勝利が必要というわけではない。まして、福岡は0からのスタートをうたい、実戦を通して各ポジションの組み合わせを試すことをキャンプの目標にしており、そういう意味では、試合の結果について必要以上にナーバスになることはないかもしれない。

 しかし、松田監督からは厳しい言葉が口をつく。「何様のつもりでやっているんだというところはありましたよね。1本目に選ばれたということで終わっているようじゃいけないし、2本目の試合を見て『やっぱり差がないな』というような形になっているし。そのことが一番考えて欲しいところ」。45分×4本で行われた試合のトータルスコアは4−3で福岡。しかし、互いに主力組と見られるメンバーが出場し、実質的に1試合目とも言える1本目と2本目のスコアは1−2で札幌。内容にも見るべきものはなく、指揮官の言葉にもうなずける。

 今シーズンも現有勢力を中心に戦うことになる福岡は戦術面での心配は、それほどないと言っていい。その反面、昨年届かなかった差を埋めるために個々のレベルアップが求められている。そのためには「ほとんど力の差がない」選手たちの中から、競争を勝ち抜いて抜け出す選手の存在が不可欠で、それが新たな競争を呼び、それを繰り返すことでチームのレベルアップが可能になる。しかし、トレーニングではアグレッシブに動き回る姿が目立つものの、試合ではそれが感じられなかった。

 また2失点がミスがらみだったこともいただけない。福岡のサッカーの原点は無失点で抑えること。90分間、集中して守りきることが基本中の基本だ。新しい選手が入ったDFラインやボランチの連携ミスなら、この時期はやむを得ないかもしれないが、そうではないミスから生まれた失点に問題がある。エジウソンを欠く攻撃陣が思うように攻撃を組み立てられなかったことも考慮しなければならないが、だからこそ失点は避けなければいけない試合だった。



 さて、試合を振り返ってみよう。1本目のピッチに立ったのはDFライン右から、中村、千代反田、岡山、アレックスの4人。ダブルボランチには松下とホベルトが入り、右ワイドに大塚、左ワイドには宮崎。最前線は有光と福嶋の2トップ。ゴールマウスは水谷が守る。対する札幌は3−5−2。GKは高原。最終ラインは池内をリベロのポジションに置き、ストッパーは西澤と西嶋が務める。ボランチは権藤と金子。WBは徐と和波。トップ下には砂川が入り、2トップは堀井と中山だ。

 最初に決定機を作ったのは福岡。時間は2分、「アリ、ゴー!アリ、ゴー!」の掛け声とともに有光が右サイドのスペースへ抜け出してセンタリング。二アに飛び込んだ大塚が頭から飛び込む。しかし、決まったかと思われたシュートはGK高原の手に当たって跳ね返り、こぼれ球に反応した松下のミドルシュートもGK高原に弾き出された。開始早々に決定機を作り出した福岡の立ち上がりは上々のようにも思えた。

 しかし、このプレーの後、アグレッシブに前に出てきたのは札幌の方だった。2トップが激しくボールをチェイシングし、それに伴い前から、前からプレッシャーをかける。中でも執拗にボールを追いかけまわる中山の姿が印象に残った。奪ったボールを捌くのは権藤。攻撃はシンプルに2トップに当てるか、中村の後ろへ中山が飛び出してボールを引き出すパターンが多い。右WBの徐もかなり高めのポジションを取ってサイドアタックを試みる。

 さりとて、福岡の守備に問題があったわけではない。プレッシャーをかけてくる札幌に対して安定した守備を見せてシュートを打たせない。ボランチの連携も悪くなく、中村の後ろに放り込まれるボールは千代反田が判断良くカバーしていく。CBに入った岡山と千代反田と連携にも問題はなく、岡山はハイボールに対しても決して制空権を渡さなかった。あとは相手のほころびを見つけて、カウンターからゴールを奪えば狙い通りだった。



 しかし問題はここから。カウンターを仕掛けられる機会がありながら、どうしてもスピードに乗って突破することが叶わない。やがてラインが低くなって中盤が間延びすると、福岡は単調に長いボールを前線に入れるだけになっていく。何より、前に出ようとする気持ち、ゴールを奪おうという姿勢で札幌に負けていた。そんなチームの守備が崩れるのは時間の問題。そしてディシプリンを欠いたプレーから先制点を喫することになる。

 時間は22分、札幌の左サイドの低い位置でボールをキープする札幌に対して福岡のプレッシャーが緩んだ。その結果、福岡は対峙していながら余裕を持って反対サイドにボールを展開される。右サイドを突破した札幌は鋭いクロスボールを二アへ。「あそこは絶対にクロス上げさせてはいけない状況。ああいうボールを入れられれば失点の確率が高くなる。ポジション的にFWの選手がカバーに入っていたが、残った選手が仕事をするのは当たり前のこと」(松田監督)。飛び込んできた堀井が鮮やかにゴールネットを揺らした。

 そして2失点目は2本目の14分。何の変哲もないCKをクリアミス。ボールはゴール前をすり抜け、ファーサイドで待ち受けていた池内に合わされた。

 福岡が反撃を開始したのは2失点を喫してから。2点目を喫する前の11分。福岡は松下の退場のためにボランチでプレーしていた中村を下げて宮崎を中へ。空いた左サイドに古賀を、さらに右サイドの大塚に代えて田中を投入。そして、宮崎が中盤の高い位置へ出て起点を作り一方的に攻め立てた。札幌は完全に引いてしまい守備一辺倒になる。しかし、福岡が奪ったゴールは古賀の直接FKによる1点だけ。スッキリしないままに試合を終えた。



 キャンプ最初の練習試合。冒頭にも書いたように、勝敗の結果について必要以上にナーバスになることはない。しかし、それでも後味の悪さが残る。相手を受けるような形でゲームを進め、攻めの意識を強く持たないうちにディシプリンを欠いたプレーから失点を喫する。一転して攻撃に転じるものの守りを固める相手に追いつくことが出来ずに敗れる。昨シーズンの前半の多く見られたパターンと同じような形で敗れた。

 まあ、敗れるときというのはそんなものかもしれない。しかし、相手に関係なく、どんなときでも目の前の試合に全力を尽くして、ひとつずつ進んでいくのが昨年終盤に手に入れた福岡の戦い方。勝敗の結果よりも、それが見られなかったことが残念だった。「うちは緩めるようなことがあれば、どんな相手にも敗れるし、アグレッシブに戦えばかなりの確率で圧倒できるということが再認識できた試合」(松田監督)。試合で見つかった課題を課題のままにせず、次の試合ではアグレッシブに戦う姿を見せて欲しい。

 さて、そんな試合でもキレのある動きを見せたのが古賀。2本目の途中から出場すると、鋭い突破を見せて何度もチャンスを作り出した。それとともにアレックスの動きも見違えるように活性化された。昨年の終盤に悔しい思いをした古賀の胸中には秘するものがあるのだろう。あとはチーム戦術の中で攻守のバランスを上手く取れるかどうか。古賀の復活はチームに大きな力となるだけに、今後のキャンプでの頑張りに期待したい。

 また、恥骨周辺の痛みのため調整が遅れているエジウソンは、試運転を兼ねて3本目、4本目に空いていたボランチのポジションでプレー。ボールをキープする巧みさの片鱗は見せたが、やはりまだ踏ん張りが利かないようだ。福岡のサイド攻撃を生かすためには中盤でボールをキープできるプレーヤーが不可欠なだけに、こちらも1日も早い回復を願いたい。
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