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 福岡通信 05/04/09 (土) <前へ次へindexへ>

 したたかな勝利。大津が初優勝を飾る
 第12回FBS杯高校サッカーチャンピオン大会

 取材・文/中倉一志
 春の高校フェスティバルとして、すっかりお馴染みになった「FBS杯高校サッカーチャンピオン大会」。今年で12回目を迎える大会は、海外、および国内の強豪チームとの交流を通して、九州高校サッカー界のレベルアップを図るために設立されたもので、現在では、九州のみならず、日本高校サッカーの強化につながる大会として、全国のサッカー関係者の注目を集めている。

 参加チームは16。前年度優勝校をはじめとして、九州高校サッカー新人大会の上位チーム、ならびに前年度の全国大会の上位チームの中から招待される。大会は、まず4グループに分けてリンク戦を実施し、それぞれ上位2チームが決勝トーナメントへ、3位以下のチームは研修試合を行うことになる。昨年までは高校のチームに限っていたが、今年から参加資格をクラブチームにも拡大。アビスパ福岡U-18、ヴェルディユース、ガンバ大阪ユースの3チームが招待された。

 ベスト4に進出したのは前橋育英、東京ヴェルディユース、東福岡、大津の4校。九州新人大会を制した鹿児島実業、そしてサニックス杯で初優勝を飾った東海大五は残念ながら予選リンクで敗れた。両校とも高いポテンシャルを有しているが、まだチームが未完成のこの時期に、コンスタントに勝ちあがることは簡単なことではないということだろう。また、U-15日本代表のエースの経歴を持つ鈴木淳が出場したアビスパ福岡U-18は決勝トーナメント1回戦で東福岡に0−1で敗れている。

 準決勝の第1試合では東福岡と大津が対戦。ともにボールをつないでビルドアップするサッカーが持ち味だが、昨年度のレギュラーがほとんど残った大津の完成度が1枚上。3−0で東福岡を下した。もうひとつの対戦では前橋育英とヴェルディユースが対戦。先制点を挙げた前橋育英が逃げ切るかと思われたが、残り2分のところでヴェルディユースが追いついて延長戦へ。結局、PK戦にもつれ込んだ末、ヴェルディユースが決勝戦進出を果たした。



 最終日となった4月3日、まず3位決定戦が行われた。東福岡はワンボランチと野舞のトップ下を配した4−5−1。前橋育英は中盤をダイヤモンド型にした4−4−2で臨む。先制点は前橋育英。ペナルティエリアに入ったところでルーズになったボールの競り合いでGK下野に勝った反町(3年)のヘディングが、そのままコロコロと東福岡ゴールへ転がり込んだ。ここからは前橋育英のペース。鋭いプレッシャーで中盤の主導権を握り東福岡を押し込んでいく。

 東福岡の反撃は15分を過ぎた辺りから。ボールを奪ったら、まずサイドへ大きく展開。そこからサイドアタックを仕掛けるいつものサッカーでリズムを取り戻す。特に、1トップの千代原(3年)、トップ下の畠中(3年)、そして右サイドの市川(2年)のコンビネーションで作る右からの流れるような攻撃は相手チームにとっては脅威だ。そして25分、ペナルティエリア内でパスを受けた千代原が鋭い切り返しでフリーに。すかさず右足を振り抜いて強烈なシュートを決めた。

 後半は、同点ゴールを挙げた勢いを持続させる東福岡のペースで始まる。高い位置からプレスをかけて前橋育英の自由奪い、畠中を中心にしてダイレクトパスをリズミカルにつないでいく。しかし46分、前橋育英は一瞬の隙を突いて宇治川(3年)が右サイド深くまで進入。そこからのマイナスのクロスに反町が右足であわせて2点目を追加。これで試合の流れが一気に変わった。ほんの少しのことで流れが大きく変わるのは、やはり高校生だからなのだろう。

 ここからは一方的な前橋育英のペース。56分、62分と着実に追加点を加え、東福岡にチャンスを与えないまま試合を終えた。勝敗を分けたのはチームの完成度の違い。東福岡は攻撃面では光るものを見せたものの、守備の組織が整っておらずチームとしてのバランスを欠いていた。そういう意味では、チームバランスが整い、豊富な運動量と素早い動き出しを繰り返した前橋育英が勝利を挙げたのは順当な結果と言えるだろう。



 さて決勝戦。ヴェルディユース、大津ともに高い技術をベースにボールポゼッションを高めて相手を崩すのが特徴のチーム。両チームともクラブ、高校を代表するチームだけに、クラブ対高校という図式も伴って、関係者の高い注目を集める試合となった。「互いにボールポゼッションを高めた拮抗した展開が続き、どちらかに点が入れば、3−2くらいの攻め合いになるかもしれない」。試合前、平岡監督(大津)は、そんな展開を予想していた。

 ところが、開始早々の2分に生まれたゴールで試合の流れは大きく変わる。先制ゴールは大津。ペナルティエリア内にこぼれたボールを渡辺(3年)が押し込んだ。「相手は前のほうに厚みを持ってくるので、薄くなったところをカウンターで狙おうとコンセプトを変えた。こういうチャンピオンシップは内容よりも勝ち。何がなんでも優勝を勝ち取ろうということでやった」(平岡監督)。ここから大津はしたたかに試合を進めていく。

 大津は両サイドのMFを低い位置に置いて守備ゾーンを下げてヴェルディユースを待ち受ける。ボールを奪うのはバイタルエリアの前だ。4−3−3の布陣からボールを回すヴェルディに持たせておいて、中へ入ってくるところを確実に捕まえていく。ヴェルディの特徴は足元から足元へつなぐパスワーク。それを見切ったようにポイントとなるパスをカットする。前半にヴェルディが放ったシュートは5本。そのうちFWのシュートは2本だけ。大津は狙い通りの展開で前半を終えた。

 後半、大津は微妙に戦い方を変える。「必ず中へ集まってくる。そのときに空いてくるのがサイド。コンセプトをカウンターに変えよう」(平岡監督)。堅牢な守備組織はそのままに、タイミングよくボールを前に運び出すシーンが増える。前線でボールを受けるのは本田(3年)と松尾(3年)。確実に深い位置までボールを持ち込む大津の戦い方に、ヴェルディは攻撃のリズムを寸断されて思うように攻撃が仕掛けられない。それにしても、大津の見事なゲームコントロールだ。



 結局、試合はこのまま1−0で終了。試合終了間際に大津は2点目を挙げるチャンスにも恵まれたが、平岡監督の右手はコーナーフラッグを指した。「クラブ対高校サッカーという別の氏名使命も感じながらやったので、どうしても結果が欲しかった。選手たちも同じ気持ちだった。いつものポゼッションサッカーではなかったけれど、最後まで勝敗にこだわった、いいプレーをやってくれたなと思う。これもサッカー」(平岡監督)。大津のしたたかさが強く印象に残った試合だった。

 守備的といっても人数を後ろにかけて守ったわけではない。絶妙のバランスでバイタルエリアへの侵入を許さず、カウンターから2点目を奪う匂いをプンプンと漂わせて試合を進めた。高校生レベルとしてはハイレベルなゲームコントロールだった。「(守り勝つというのは)めったにない。しかし、チャンピオンシップというものを意識する大会では、やはり内容よりも結果。これから大人のサッカーにつなげるために、子供たちに要求する大事な部分」(平岡監督)。攻撃サッカーが持ち味の大津は新たな武器を手に入れた。

 しかし、大津はあくまでも謙虚な姿勢を崩さない。「まだ始まったばかり。これからも個人の成長、チームの成長は欠かせない。できていることに対して有頂天になるよりは、むしろ、できなかったことに対して謙虚さをもって頑張らなければいけない」(平岡監督)。九州高校新人大会から、サニックス杯、FBS杯と、各校が新チームで臨んだ大会は、鹿児島実業、東海大五、そして大津と九州の強豪校がそれぞれ制した。どのチームもポテンシャルは高く、今シーズンの九州高校サッカー界は高いレベルでの競争が繰り広げられることになりそうだ。
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