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 福岡通信 05/06/03 (金) <前へ次へindexへ>
前半からフルパワーで攻め立てる福岡女学院FCアンクラス。島原商業
にサッカーをさせなかった。

 歩み続ける九州女子サッカー
 

 取材・文/中倉一志
「サッカーどころ」として全国に知られている九州。大分、福岡、鳥栖のJリーグ加盟チームを筆頭に、九州唯一のLリーグ所属のルネサンス熊本、高いレベルを誇るプリンスリーグ、そして将来のJリーグ入りを目指すチームがひしめき合うKyuリーグ(九州サッカーリーグ)等、毎週土・日には九州各地のスタジアムで激しい戦いが繰り広げられている。それぞれのカテゴリーは違っても頂点を目指す思いは同じ。そんな戦いに多くのサッカーファンが熱い声援を送っている。

 そして4月24日からは第8回九州女子サッカーリーグが開催されている。参加しているのは福岡女学院FCアンクラス、福岡大学サッカー部女子、熊本USCフローラ、KFCアサヒナ、ニューウェーブ北九州ガールズ、島原商業高校女子サッカー部、中津FCポマトと、入れ替え戦を経て県リーグから昇格を果たしたスカラブジュニアの8チーム。圧倒的な強さを誇る福岡女学院FCアンクラスを中心に、熊本USCフローラ、KFCアサヒナ、福岡大学サッカー部女子が追いかける展開でリーグ戦が進められている。

 試合は40分ハーフで行われ、7月31日までの前期リーグ、8月7日から11月27日までの後期リーグ、合わせて2回戦総当りで優勝を争う。交代選手は5人まで認められ、警告3回が累積した時点で次の1試合に出場停止が課せられる。年間成績が最下位のチームは、シーズン終了後に九州各県リーグ決勝大会の優勝チームと1試合の入れ替え戦を行い、勝ったチームが翌年の九州女子サッカーリーグに昇格。80分を終えて同点の場合は九州リーグ加盟チームが残留する。

 5月29日は、福岡、熊本、鹿児島の各地で第3節が行われたが、私の選択は福岡県小郡市陸上競技場で行われた福岡女学院FCアンクラスvs.島原商業女子サッカー部、福岡大学サッカー部女子vs.ニューウェーブ北九州ガールズの2試合。自宅からJR、西鉄大牟田線と乗り継いで約1時間をかけて「大保駅」で下車、民家の間を抜けると、目の前に広がる田んぼの真ん中に小郡市陸上競技場が姿を現す。スタンドにはチーム関係者と選手の家族が応援に駆けつけている。



監督兼任選手としてチームを牽引する河島美絵(写真中央)
 第1試合は、福岡女学院FCアンクラスと島原商業の対戦。福岡女学院は4−3−3、島原商業は4−4−2で試合に臨む。しかし、両チームの力の差はいかんともしがたく、福岡女学院FCアンクラスは開始30秒に挙げた先制点を皮切りに、前半だけで11得点をゲット。後半にも6得点を追加して、島原商業に全くサッカーをさせなかった。U-17日本代表2人を擁する福岡女学院FCアンクラスに対し、島原商業は長崎県唯一の女子サッカー部で初心者も多く存在するチーム。一方的なゲームになったのも致し方なかった。

 さて、福岡女学院FCアンクラスは、福岡では古くから「ミッション」の名で親しまれている福岡女学院(http://www.fukujo.ac.jp/)を母体とするチーム。チーム名のアンクラスはスペイン語で「錨」の意味で、福岡女学院中高の制服の胸のマークに由来しており、チームのシンボルでもある。1986年に福岡女学院中学・高校の部活動として創部。その後、クラブ登録に変更し、現在では中学、高校、大学、そして卒業生をも含めたクラブチームとして活動を行っている。

 福岡女学院FCアンクラスの輝かしい歴史が始まったのは1990年代に入ってから。とにかく、その強さは半端じゃない。福岡県リーグは90年に初優勝してから13連覇(2003年からは九州リーグ専念のため県リーグには参加せず)。九州リーグは1999年に初参加、初優勝を果たして以来、現在まで6連覇中。この間、九州リーグで敗れたのはわずかに3度しかない。しかも、そのうち2度は、引き分け後のPK戦による敗戦で、実質的にはたったの1敗という驚異的な強さを発揮。その他にも数え切れないほどのタイトルを獲得している。
http://www.2002world.com/column/fukuoka/2004/040225_nakakura218.html

 その福岡女学院FCアンクラスの新たな目標は「なでしこリーグ」への参戦。現在、来シーズンからの参戦を目指して準備に余念はない。この日も地元TV局が密着取材。地元メディアとタイアップして広報活動も積極的に行っている。実力的には「なでしこリーグ」でも戦える力は十分にあるが、当面の課題はチーム運営費をどうやって確保するかという点。シーズン終了後のL・リーグからのヒアリングで最終決定するが、参戦が実現すれば、九州の女子サッカープレーヤーにとって大きな励みになることは間違いない。



CKから試合を決める3点目を奪った福岡大学サッカー部女子
 さて、第2試合では福岡大学サッカー部女子(以下福大)と、ニューウェーブ北九州ガールズ(以下、北九ガールズ)が対戦した。風下に立つ福大のフォーメーションは4−4−2。中盤の底にダブルボランチを置くオーソドックスな布陣だ。一方の北九ガールズのフォーメーションも4−4−2。ただし最終ラインは3人のDFの後ろに1人が余る形。中盤はダイヤモンド型の陣形を取る。トップ下の大田がやや高目の位置におり、どちらかというと3トップに近い。

 前半は風上に立つ北九ガールズが優勢に試合を進めていく。攻撃の起点を作るのは高卒ルーキーのFW竹宗。その竹宗が高い位置でためをつくり、それに合わせて大田、吉岡が前線へと飛び出していく。対する福大は、とにかく良く走るという印象。特別に目立つ差選手がいないかわりに、11人が労を惜しまずにボールを追い掛け回す。「それしか出来ないので(笑)」とは坂尾監督(福大)。だが、前線からのチェイシング、こぼれ球への積極的なアプローチ、そして汗かきプレーに徹する姿は、良く鍛えられている様子が窺える。

 先制ゴールは24分、福大に生まれる。左サイドでのボールの奪い合いから、反対サイドでフリーになっていた木村へ。これを落ち着いて木村が決めた。福大の追加点は35分、ゴールまで約35メートルの地点から田中がロングシュート。クロスバーを越えるかに思われたボールは強風に押し戻されてGKの頭上を越えてから急降下。そのままゴールマウスに吸い込まれた。北九ガールズにとってはアンラッキーなゴール。しかし、福大の前に出ようとする姿勢が生んだゴールでもあった。

 後半に入ると風上の福大が優位な立場に。そして44分、74分に、それぞれCKから追加点を奪って4−0で北九ガールズを下した。北九ガールズは竹宗を中心にした攻撃には迫力があったが、反面、守備に不安を抱えているようだ。ボールに集まってしまいマークがルーズになる場面が多く見られた。一方の福大はとにかく前へ出る、そしてどんなときでもボールを最後まで追いかけるチーム。そのアグレッシブな姿勢が勝ち点3を得る原動力になっていたようだ。



両チームを通して光るプレーを見せた期待のルーキーの竹宗梢(白)。
昨年は豊国学園のエースとして福岡県女子サッカー選手権を制した。
 さて、昨年の「なでしこジャパン」の活躍により、女子がサッカーをすることに対する偏見は随分となくなったと聞く。しかし、普及という面では、女子サッカーの環境は改善されたとは言えない。それは九州でも同じことで、九州女子サッカーリーグも多くの課題を抱えている。参加チーム間の実力差に大きな開きがあること。かならずしも九州のトップを争っているチームの全てが参加しているわけではないこと等がそれだ。

 加えて、今まで九州の女子サッカーを引っ張ってきた福岡女学院FCアンクラスが「なでしこリーグ」へ参戦することになれば、それは女子サッカーの最高峰に憧れる選手たちにとっては素晴らしい刺激になる反面、九州という地域の中に、他のチームと一緒に活動しながら、女子サッカーを牽引するチームがいなくなることも意味している。全ては選手層の薄さからくるものだが、この部分が改善されない限り、女子サッカーの環境が一気に変わるということはないだろう。

 そんな現状の中で、少なくない経費を自己負担するばかりではなく、労力も、精神力も、そして貴重な時間さえも費やして、ただ「サッカーが好きだ」という理由だけで、女子サッカーの普及・強化に関わる人たちの努力は、いつ見ても頭が下がる思いがする。様々な問題を抱え、答えの見つからない課題と向き合いながら、それでも前に向かって歩き続けることは簡単なことではない。だが、そんな関係者の方たちの努力は、少しずつだが成果を生んでいる。

 8年前、わずか4チームで始まった九州女子サッカーリーグは、第2回大会からは5チーム、第4回大会からは6チーム、第5回大会からは7チーム、そして第6回からは8チームと順調に参加チームを増やしてきた。一昨年は、佐賀、熊本、大分の参加により、初めて各県女子サッカーリーグの優勝チーム同士による決勝大会が開催され、昨年の決勝大会にはさらに福岡県と宮崎県が加わった。いつの日か「九州に女子サッカーあり」と呼ばれる日が来ることを願わずにはいられない。
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