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 福岡通信 05/09/16 (金) <前へ次へindexへ>

 福岡U-15、4大会連続6回目の優勝を果たす
 第17回福岡県ユース(U-15)サッカー選手権大会 決勝戦

 取材・文/中倉一志
2005年9月11日(日)10:00キックオフ 東平尾公園博多の森球技場 観衆:500人 天候:曇
試合結果/小倉南FCジュニアユース1−2アビスパ福岡U-15(前0−0、後1−1、延前0−1)
得点経過/[小倉南]工藤(44分)、[福岡]山崎(49分)、吉原(65分)


取材・文/中倉一志

 残暑が残る厳しい天候の中にも秋の訪れが感じられる季節。福岡では「第17回福岡県ユース(U-15)サッカー選手権大会兼高円宮杯第17回全日本ユース(U-15)サッカー選手権福岡大会」が行われた。各地区の予選を勝ち抜いた14チームと、福岡県サッカー協会中学校委員会と、同クラブ委員会からそれぞれ推薦された2チームを加えた16チームがトーナメント方式で優勝を争う大会は、この年代の最も権威ある大会。選手たちは九州大会への出場権と、その先にある全国の舞台を目指して力と力をぶつけ合う。

 そんな大会を勝ち抜いて決勝戦に進んできたのは、クラブ委員会推薦のアビスパ福岡U-15(以下、福岡)。第11回大会に初優勝を遂げてから過去6年間で5度の優勝を飾り、現在は3連覇中。このカテゴリーでは圧倒的な強さを誇っている。今大会でも、ここまで3試合を戦って20得点2失点と文句なしの内容で勝ち上がってきた。九州代表として参加した8月の日本クラブユースサッカー選手権(U‐15)大会では予選敗退という悔しい思いをしただけに、その雪辱を果たすためにも、ここで負けてはいられない。

 そのアビスパと優勝杯を争うのは北九州地区予選を1位で勝ち抜いた小倉南FCジュニアユース(以下、小倉南)。今年で創部23年目を迎える福岡県の名門クラブチーム。福岡の好敵手として数々の激しい戦いを繰り広げるとともに、福岡と並んでこの年代のサッカーを引っ張る中心的な存在だ。今大会はここまで8得点1失点と、こちらも安定した戦いで決勝戦へ進んできた。昨年は準決勝で福岡に敗れたが、今年はその雪辱を晴らして4大会振り2度目の優勝を目指す。

 決勝戦は30分ハーフ。前後半を戦って勝敗が決しない場合は20分ハーフのVゴール方式の延長戦が行われ、それでも決着がつかなければPK戦によって優勝チームを決定する。ベンチ入りできるのは20名。交代は9名まで認められ、一度ピッチから退いた選手でも再び交代選手として出場することが出来ることになっている。そして11:00、決勝戦の開始を告げるホイッスルが鳴った。



 福岡のフォーメーションはダブルボランチを置く4−4−2。シンプルにパスをつないでビルドアップするスタイルはトップチームと同じだ。対する小倉南も4−4−2。ただし、両サイドのMFが積極的に高い位置でプレーして、福岡に激しくプレッシャーをかける。個々の技術では福岡に分がありそうだが、常に前へ、前へと仕掛けていくアグレッシブさでは小倉南が上だ。そして、試合の主導権を小倉南が握る。

 高い位置からボールを追い込む小倉南は攻守にわたってアグレッシブな姿勢を失わない。福岡は一度は高い技術でプレッシャーをかわすのだが、そこへ小倉南の2人目がさらにプレッシャーをかけて福岡の自由を奪う。「小倉南が我々を研究してきて、それを実行した結果」(有吉和哉監督・福岡)。完全に受身に立ってしまった福岡は、ボールを持つことは出来るものの、効果的なボール回しが出来ず、攻撃の形が作れない時間帯が続く。

 積極的に自らボールに働きかけていく小倉南。ボールに仕掛けられず、常に受身の体制でしかボールに触れない福岡。試合の流れは小倉南のものだった。14分にはGKがゆったりとキックしようとしたボールにつめた小倉南FW桜本が身体でボールを跳ね返して、あわやというシーンを作り出し、22分には福岡の不用意なプレーを突いた濱中のシュートが右ポストを襲う。ここまでは小倉南の狙い通りの展開。福岡に閉塞感が募っていく。

 そんな福岡の最大の決定機は26分。右サイドの深い位置で得たスローインからチャンスを得た福岡は諌山が右足を一閃。そしてGKが弾いてペナルティエリア内にこぼれたボールに、なおも激しく詰めた。しかし、ここは小倉南が必至に応戦。福岡をまさる気迫でボールをペナルティエリアの外に放り出した。そして試合は30分が経過。前半はスコアレスのまま終了したが、アグレッシブな姿勢を貫き通した小倉南と、不完全燃焼のままの福岡。その姿は非常に対照的だった。



 また、優勝への強い意欲を見せる小倉南は、攻撃の選手を小刻みにローテーション起用。一度退いた選手も再びピッチに立てるというレギュレーションをフル活用して常に選手をフレッシュな状態に保って運動量を確保。そして、後半に入ると、両サイドを高い位置に上げて3トップ気味の布陣から、さらに激しくプレッシャーをかけて福岡を追い詰める。福岡はどんどん小倉南の術中にはまっていく。

「こちらが主導権を握れない時間帯が続いた。そんな中で、ベンチでは、もしかしたらやられるかもしれないと話していた」(有吉監督)。そして44分、小倉南に待望の先制点が生まれる。荒木の上げたクロスボールに工藤がヘディングで合わせてゴールネットを揺らしたのだ。押し込まれ続けた状態が続いたからなのだろう。ペナルティエリア内からのシュートにもかかわらず、福岡はヘディングを競ることも出来ずにゴールを許した。

 激しく前に出てくる相手に対してペースを掴みきれないままに時間を過ごし、リズムが悪くなったところで失点を喫する。強者が敗れる時の典型的な負けパターンだ。その後も小倉南はアグレッシブさを失わずに試合の主導権を握り続けた。しかし49分、福岡はセットプレーから山崎が頭で合わせて値千金の同点ゴールをゲット。土壇場で試合を振り出しに戻した。試合はそのまま延長戦へともつれ込んだが、この同点ゴールで福岡に「らしさ」が戻ってきた。

 そして延長戦に入って5分後、福岡がワンプレーで小倉南を寄り切ることになる。山崎から出たスルーパスに反応した吉原がラインの裏へ飛び出していく。併走する相手DFを振り切ると、前に飛び出してきたGKをもかわしてペナルティエリアへ。最後は無人のゴールへ右足インサイドで流し込んだ。一時は負けも覚悟しなければいけなかった内容ながら、福岡はギリギリのところで小倉南の挑戦を退け、4大会連続6回目の優勝を果たした。



「しっかりつないで展開する部分を潰されてしまった。前から激しく寄せてきたが高校年代では当たり前のこと。その中で、そのプレスを打ち破っていくようなポゼッションだとか、後ろでのボール回しだとか、ビルドアップのところで課題が残った」とは有吉監督。優勝を果たした喜びよりも、自分たちのサッカーが出来なかったことを真っ先に口にした。8月の日本クラブユースサッカー選手権(U‐15)大会での悔しさを晴らすことを目標にしているチームとしては、福岡大会での優勝はあくまでも通過点だ。

 昨年、U-15日本代表のエース鈴木惇を擁して高円宮杯で準優勝という実績を残した福岡だが、今年はスーパーな選手がいない分、チームとしての完成度は高いと有吉監督は言う。だからこそ、チームとして機能できなかったことが気にかかるのだろう。「良く知っている相手との決勝戦ということでやりにくさはあっただろう。負けたら最後と煽ってきたので過緊張の部分もあった。しかし、それにしても持ち味を一切出せなかった。パフォーマンスとしては、今シーズンの中でもかなり悪い出来」。その口からは反省の言葉ばかりが出る。

 しかし、それは「もっとやれるチーム」という自信の裏返しでもある。それは相手が9人の交代枠を使い切ったのに対し、苦しみながらも通常通りの3人の交代枠しか使わなかったところにも、そんな思いが見え隠れする。「子供たちを大きなステージで戦わせたいというのが目標。九州大会をしっかり突破して全国の舞台で子供たちを戦わせたい。そしてあわよくば、昨年のように大きな舞台で(決勝戦)でやらせてやりたい」と締めくくった有吉監督。彼らの挑戦は、まだこれからだ。
(小倉南FCジュニアユース) (アビスパ福岡)
GK: 生駒澪央 GK: 笠川永太
DF: 藤崎祐太 吉田健吾 中尾憲太 西田翼 DF: 宮本大地 原田浩光 坂井達也 伊東義史
MF: 工藤武仁(16分/吉田将知→30分/工藤武仁→荒木康太) 田中祥平 草野雄也 荒木康太(16分/桧垣達郎→27分/小谷武嗣→30分/桜本元気→43分/釜田幸輝) MF: 諌山翔(48分/中田健斗) 関屋知志 山崎文人 角町政樹(44分/方谷浩太郎)
FW: 濱中祐輔(37分/城戸勇輝→58分/吉田将知) 桜本元気(16分/関晃一郎→30分/荒木康太→57分/関晃一郎) FW: 石橋翔平(30分/吉原正人) 緒方圭太郎
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