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 スペインからの風 03/06/19 (木) <前へ次へindexへ>

 無念バレンシア。最大の舞台から去る。


 文・写真/中島泰介(アリカンテ在住)
 残すところあと2節のリガ・エスパニョーラは大混戦。第37節は、首位のレアル・ソシエダ対チャンピオンズリーグ出場を目指すセルタ・ビゴ、因縁のダービーマッチ、アトレティコ・マドリード対レアル・マドリード、そしてデポルティボ・デ・ラ・コルーニャ対アスレティック・ビルバオと、優勝の可能性のあるチームが強豪と対決する。スペインの注目はほとんどこの3試合に注がれると言っていいだろう。

 しかし、チャンピオンズリーグやUEFAカップの出場権をめぐり、重要な局面を迎えているチームは他にもある。私はその中の2チーム、バレンシアとバルセロナの試合を観戦する機会を得たので、バレンシアへ向かった。

 私は初めてバレンシアを訪問する。観光地としては有名ではなく、マドリード、バルセロナ、セビージャなどの大都市と比べれば観光客もかなり少ないだろう。しかし大聖堂があり、旧市街地があり、私にとっては他のスペインの都市と変わらず、街を歩くだけでエギゾチックな雰囲気を楽しめた。しかし午後3時に街の温度計は38度を指していた。暑い!



 バレンシアCFとFCバルセロナ、この2つのクラブの説明は要らないだろう。リガ・エスパニョーラを代表する名門クラブだ。優勝の可能性はなくなったものの、バレンシアはチャンピオンズリーグの椅子を維持しようと必死だ。そして誰もが落胆しただろう不本意な成績でリーグを終了するバルサ、名門のプライドにかけヨーロッパのイベントから消えるのだけは避けたい。

 メスタージャ・スタジアムへ入るとTシャツが配られていた。ニュースによると、テラ・ミティカ(スペインのアミューズメントパーク。今シーズンのユニフォームの胸にロゴがプリントされている)に代わりスポンサーになるトヨタが、バレンシアとトヨタのロゴの入ったシャツを53,000枚用意したそうだ。そういえば財政難のバルサは役員会でユニフォームにスポンサーをつけることに多数が賛成したという記事を一ヶ月ほど前に読んだが、果たして来シーズンその禁断の場所に企業のロゴが入るのだろうか?

 スタジアムはおよそ55,000人収容。ゴール裏の一番上のセクションに座ったのだが、傾斜がとても急で、手前のコーナーキックの時など上から見下ろしている感覚だった。今まで訪れたスタジアムのなかでは、豊田スタジアムでこれに近い感覚を得られる。



 まだ街から完全に明るさが消えていない夜9時にキックオフ。前半はバルセロナペース。両サイドからオフェルマルス、ルイス・エンリケの攻撃参加、そして中央からメンディエタの精力的な動きから攻撃チャンスを作る。バルセロナの前線、サビオラ、クライフェルトは脅威だ。ゴール前に最も顔を出していたのがサビオラ。12分にGKと1対1、そして33分には右サイドからのパスをゴールエリア付近からシュート。どちらもカニサレスに阻まれた。かたやホームのバレンシアの攻撃はほとんどチャンスを作り出せず前半が終わろうとしていた。

 試合が動いたのが前半終了間際。ゴールエリア付近まで侵入してきたメンディエタをバレンシアのDFカルボーニが引っ掛けてしまい、PKを献上。更にカレウが審判に文句を言ったことで一発退場になってしまった。このPKを、元バレンシアのプレーヤー、メンディエタがスタジアム中からのブーイングを受けながら冷静に決め、バルサが1点先制、そして人数でも優位に立って前半を終えた。

 この試合、両チームともヨーロッパの大会出場権獲得という重要な目標があるため、スタジアム中が熱気に包まれるかと思ったが、意外と静かだった。過去に観戦した1部リーグ2試合、デポル−セビージャ、セビージャ−R・マドリードでも感じたが、思ったより応援しているサポーターが少ない。私はスペインのようなサッカーが盛んな国ではスタジアム全体で応援、叫び声が聞こえるかと思っていたが、少なくとも今まで観戦した試合ではそういったことはなかった。

 今回観戦したバレンシアのサポーターは極端に少なかった。1階のコーナー2箇所に少し固まっていたくらいだ。試合開始当初、大きな声援、歌が後ろから聞こえたのだが、振り返ってみるとスピーカーだったのには驚いた。スピーカーの力を借りて雰囲気を作ろうとしていたとは。日本で浦和レッズの試合をいくつか見たが、レッズのサポーターの声援は、私の見た試合の中では最も歌っているサポーターが多かったセビージャと比べても決して引けを取らない。大の男が多い分、声の低さにはセビージャに分があるが。浦和のサポーターは貴重な存在だ。



 後半。人数の少ないバレンシアが序盤バラハ、アイマールらの活躍でチャンスを作るがゴールまで至らず。そして次第にバルサのボール支配率が上がっていった。72分またもバルサにPKのチャンス。ルイス・エンリケに対するファウルでカルボーニは一発退場。0−2になった途端、多くの観客がスタジアムから去りだした。あと20分ほどあるとはいえ、バルサ相手に9人で2点差をひっくり返すのは不可能に近いと思ったのだろう。スタジアムも更に静かになり、盛り上がるのはメンディエタがボールを受けたときのブーイングだけになってしまった。更にオフェルマルスに追加点を許し、バレンシアは終了間際にPKで1点を返したものの、最後までスタジアムは静かだった。

 4位のセルタが勝ったため、バレンシアのチャンピオンズリーグ出場の可能性はなくなってしまった。私にとって、近くにチャンピオンズリーグに参加するチームがなくなったのは非常に残念。来シーズンは国内リーグに集中できる利点があるし、バレンシアがヨーロッパの舞台に戻ってくることを期待したい。
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