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 スペインからの風 03/09/11 (木) <前へ次へindexへ>

 スペイン、最終戦に望みをつなぐ


 文/中島泰介
欧州選手権予選グループ6 スペインvs.ウクライナ
9月10日(水)21:45キックオフ マルティネス・バレロ・スタジアム(スペイン エルチェ市)
試合結果/スペイン2−1ウクライナ(前0−0、後2−1)
得点経過/[スペイン]ラウル(59分、71分)、[ウクライナ]シェフチェンコ(84分)


 スペインが苦境に立たされている。予選過去2試合は、ホームでギリシャに0−1で敗北、そしてアウェーで北アイルランドにスコアレスドローで、トップの座をギリシャに明け渡している。7日にギリシャがアルメニアに勝利したため、今日の試合に勝っても2位にとどまり、最終戦でギリシャが北アイルランド相手に取りこぼさない限り、スペインは勝ってもプレーオフにまわることになる。そして今日負ければ1ポイント差で3位につけているウクライナに2位の座すら奪われる。2位の維持、そしてギリシャに少しでもプレッシャーをかけるため、スペインは絶対に勝たなければならない。願わくは、親善試合とはいえポルトガルに完勝した波をスペインは維持したい。

 会場には、コパ・デル・レイ(国王杯)決勝でも使われた、アリカンテ県エルチェ市のマルティネス・バレロ・スタジアムが選ばれた。7月末にアリカンテで起きた爆弾テロ事件のため、ウクライナがこの地域で試合をすることに一時期難色を示したり、エルチェCFのプレシーズンマッチのときに芝の状態の悪さをさらけ出したり(エルチェCFが46万2000ユーロかけて芝を張り替えた)と問題があったが、無事開催することができた。3万4000人近くのサポーターが見守るなか、スペインはぜひ勝利を手に入れたい。



 4分、プジョルの左コーナー付近からのクリアをウクライナのゴルシュコフがインターセプトしシュート。しかしシュートは大きく枠をそれ、スペインにとってはピンチと言うほどのものではなかった。これ以降スペインの圧倒的なゲーム支配が始まる。9分、レアル・ソシエダの要シャビ・アロンソが、期待の若手ストライカー、フェルナンド・トーレスに縦パスを送る。それを受けドリブルで切り込むトーレスはファウルをもらい、好位置からのFKを得る。FKはディフェンダーに当たり、チャンスを逸したが、その後も18分にウクライナDFのパスをカットしたプジョルがシュート、19分には左サイドから横にドリブルで切り込み中央からエチェベリアがゴールを狙い、4分後には非常に似た形でビセンテが際どいシュートを打ったりと、スペインは数分おきにウクライナゴールを襲う。

 スタジアムに駆けつけたファンはウェーブや"エスパーニャ"コールで試合を盛り上げる。ウクライナは35分に右サイドでヴォロニン−ディミトゥルリン−ヴォロベイとつなぎ、スペインゴール前へクロスボールを入れる。一度DFにはじかれたが、再度柔らかなボールがゴール中央へ供給され、あと少しでシェフチェンコに届くところだったが、飛び出したGKカシージャスにボールを奪われた。前半終了間際に再度シェフチェンコにボールが渡ったが、シュート寸前のところでプジョルのスライディングでチャンスを逸した。スペインゴール前で危険を感じたのはこの終盤の2度のみでスペインが圧倒的に試合を支配したまま前半は終了した。

 ワンサイドゲームとはいえ、やはりゴールがなければスペインにとっては不安だ。特にシェフチェンコのような優れたFWのいるチームが相手だと、いくらゲームを支配しようとそのストライカーの一発で試合を落とす可能性も十分にある。



 後半もスペイン支配のまま試合が進む。47分には左サイドでウクライナDFのバスミスを奪ったバラハがシュート。しかしこれもゴールの枠を逸れる。54分、これまでで最大のチャンスが訪れる。縦パスに反応したエチェベリアがペナルティエリア内で倒され、スペインはPKを獲得した。キッカーは9月6日のポルトガル戦でフル代表にデビューした19歳のトーレス。しかしこのチャンスをトーレスははずしてしまう。これ以降少し試合の流れがウクライナに傾いた。56分、右サイドから左サイド斜め前へのロングパスを、そこへ走りこんだシェフチェンコがノーマークでボールを受け取る。それとほぼ同時にウクライナのプレーヤー2人がコール前中央へサポートに走るが、シェフチェンコはDFをかわし、左足でシュートを放つが逸れる。その2分後にはファニトのバックパスのミスからウクライナはCKを奪い、そのCKにDFフェドロフがヘッドであわせたがカシージャスがファインセーブ。

 悪い流れに傾きかけたところで再び流れをスペインに引き戻したのが、それまで全く存在感のなかったラウールだった。59分、ペナルティアリア内やや右寄りで、オフサイドラインギリギリの位置でバラハの縦パスをもらったラウールは丁寧に右スミにボールを流し込んで先制点を奪った。ここからスペインはリズムを取り戻す。63分にビセンテ、トーレスに代わり、レジェス、バレロンがピッチに入る。バレロンは華麗なテクニック、チャンスメイクでエルチェに集まった観客を虜にする。トーレスの代表入りにより先発から押し出された形になったバレロンだが、存在感はピカ一だった。"オーレ!"の掛け声と共にリズム良くスペインがボールをまわす。71分、エチェベリアの蹴ったCKからヘディングで追加点が入る。決めたのはまたもラウール。エースの2ゴールにファンも喜びを爆発させた。



 ここから、後のないウクライナに必死さ表れてくる。75分のティモシュチュクのFKはおしくも右に逸れる。81分には又も右サイドからのクロスボールがあがり、ヴォロベイがシュートに結びつけるもカシージャスがストップ。82分にもヴォロベイが頭で狙うがカシージャスがゴールを許さない。スペインも反撃。バレロンが鮮やかにDFをかわし、ゴール前のエチェベリアにパスを送るが、この1対1のチャンスはウクライナGKショヴコヴスキーが飛び出し体を張って追加点を許さなかった。その1分後、ウクライナに待望と得点が生まれる。決めたのはやはりシェフチェンコ。ペナルティエリアの左コーナーよりでのパスを受け取ったシェフチェンコは、ファーポストへ絶妙にコントロールされたシュートを放つ。カシージャスは必死に手を伸ばすが触れることができず、ボールはポスト内側を当たりゴールに入った。

 1点差に詰め寄られた後、スペインはバレロン、ウクライナはシェフチェンコを中心にお互い攻撃を仕掛けるが、これ以上スコアは動かずタイムアップ。ウクライナは予選敗退。スペインが大事な一戦をものにした。

 この結果により、残り1試合を残し、ギリシャが勝ち点15、スペインは14。最終戦は10月11日。ギリシャはホームに北アイルランドを向かえ、スペインはアルメニアでアウェー戦。1位で予選通過は非常に厳しい状況だが何が起こるかはわからない。スペインには万全を喫して最終戦に臨んでほしい。


(スペイン代表) (ウクライナ代表)
GK: カシージャス GK: ショヴコヴスキー
DF: ミチェル・サルガド、ファニト、マルチェナ、プジョル DF: ドミトゥルリン(62分/ズボフ)、ポポフ(12分/セレブレーニ)、ルズニー、フェドロフ、ネスマチュニー
MF: シャビ・アロンソ、バラハ(84分/チャビ)、エチェベリア、ビセンテ(63分/レジェス) MF: ゴルシュコフ、ティモスチュク、ヴォロニン(51分/フシエフ)、ヴォロベイ
FW: ラウール、トーレス(63分/バレロン) FW: シェフチェンコ
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