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 スペインからの風 03/11/12 (水) <前へ次へindexへ>

 アリカンテ、デルビーを制す。


 文/中島泰介(アリカンテ在住)
リガ・エスパニョーラ ディビシオン2B グルポIII 第12節 エルクレスCF vs. アリカンテCF
11月9日(日)18:00 エスタディオ リコ・ペレス(アリカンテ)


 2部B(3部に相当)ではあるが、スペインに来て初めてデルビーを見に行ったので、少しそのレポートを・・・

 リーグ開始当初はどちらのクラブもエンジンがかかっておらずもたもたしていたが、アリカンテは本来の調子を出し始め、内容結果ともに充実してこのデルビーを迎える。前節勝てはしなかったが、前シーズンチャンピオンで現在も1位を走るカステジョンと引き分けた。エルクレスは格下相手にも勝ちきれないもどかしい週が続いたが、前節はノベルダをアウェーで0−4のスコアで一蹴、同じ街のライバルとの対戦を前に自身を取り戻したのではないだろうか。

 今回はエルクレスのホームゲーム。あるエルクレスのペーニャ(サポーターズクラブ)が、アボナド(シーズンチケット購入者)のためにパエジャを作るという記事を見たので試合の1時間前にスタジアムに行ったのだが、見つけることができなかった。昼食の時間にしては遅かったので(そしてスペインの夕食の時間にしては早すぎる)、もう終わったのだろうか。時間を調べてなかったことを後悔した。ちなみに私は両チームのアボナド。どちらのクラブも、最も安い入場料でも10ユーロ(およそ1250円)に設定しており2部Bの試合にしては高すぎると思ったし、アリカンテ、ヘルクレスのアボノ(シーズンチケット)がそれぞれ18ユーロ(アリカンテのTシャツ付き!)、20ユーロだったので躊躇せず買ってしまった。どこかのお金持ちチームが東京ドームでやった公開練習見学1回分より安いではないか。

 試合前から普段より応援が激しく、発炎筒を炊いている輩までおり、デルビーらしく盛り上がりそうになってきた。しかし観客数は普段より少し多い8,200人。もともとリコ・ペレス・スタジアムはヘルクレスの所有だったが、借金返済のため市に売ってしまい現在は公営。そして3部から2部Bへ上がり、もっと良い設備のスタジアムが必要なアリカンテと共用することになってしまった。ヘルクレスにとっては面白くない。観客を入れてないバックスタンド上層部に"リコ・ペレスはエルクレスの人間だ"とシートに描き、同じフレーズをファンが連呼する。試合前にはこのデルビーに招待されたリコ・ペレス本人によるキックオフのセレモニーまで準備されていた。子供っぽい皮肉にちょっと笑ってしまった。



 さて試合は39分にアリカンテが好調モランテのゴールで先制。リコ・ペレスで負けたくないエルクレスは必死さが裏目に出て、ナーノが後半開始早々クロスボールを手に当ててゴールを狙ったため退場。60分には後ろから足を引っ掛けたセルヒオも退場。1点差とはいえほぼこの時点で勝負は決まってしまった。エルクレスは決定的シーンを作れず、耐えていた守りも85分に崩れた。ペナルティ・エリア付近で、スピーディーなワンツーからエルクレスディフェンスの裏に出たグリーンが、鮮やかなバセリナ(ループ)でゴールを割った。このディビシオンではなかなか見られないゴラッソだ。

 終了間際にフリが3点目を決めたが、このゴールでひと悶着あった。シュートされたボールが、ゴール前でディフェンスに入ったサンフリアンの手に当たりゴール。審判はこれを故意とみなし、ゴールを認めると同時に、サンフリアンにレッドカードを出した。これに本人もチームメイトも猛抗議。私には故意には全く見えなかった。勿論ジャッジは覆らず、ようやくボールがセンターサークルにもどされ試合再開の準備が整ったが、納得のいかないヘルクレスのプレーヤーは試合を始めようとはしない。また審判に抗議しモラが退場。エルクレスは7人で試合を終えた。審判は盾をもった警備隊の後を中腰で、観客席から投げられるものに当たらないようにピッチを去っていった。

 もっと拮抗した試合になったであろうが、早くに退場者が出てしまい一方的な展開になってしまったため残念ではあったが、下部のリーグであっても変わりのないデルビーの熱さを体験できたのは良かった。願わくばもう少し観客でスタジアムが埋まってほしいのだが、地域リーグレベルではこれくらいが限度なのだろう。

 アリカンテは6位に浮上。じわじわとプレーオフ圏内(4位)に近づいている。ヘルクレスは10位。それ以上に4人の出場停止は痛いだろう。しかしまだリーグは序盤。立て直す時間は十分にある。
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