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 スペインからの風 03/11/20 (木) <前へ次へindexへ>

 スペイン完勝!オスロ経由でポルトガルへ!


 文/中島泰介(アリカンテ在住)
EURO2004プレーオフ2ndレグ ノルウェーvs.スペイン
2003年11月19日(水)19:30キックオフ ウレヴァアル・スタジアム(オスロ) 観衆:25,000人
試合結果/ノルウェー0−3スペイン
得点経過/[スペイン]ゴール:ラウル(34分)、ビセンテ(49分)、エチェベリア(56分)

 心配していた雪も降らず、予想していた程の厳しい気象条件にはならなかった。ノルウェー協会がスタジアムに完備してあるピッチの暖房を入れないのではないかなどと心配する記事がスペインメディアで聞かれていたが、それも杞憂に終わった。とは言っても良い気象条件であるわけではない。

 スペインは第1戦のスタメンから4人変更を加えた。出場停止のセンターバック、マルチェナに代わり、今まで期待されながらも怪我に泣かされ代表の機会を失っていたセサル(デポル)。中盤の底を1枚バラハに代わり、より前線へのパス供給能力のあるシャビ・アロンソ(レアル・ソシエダ)。左サイドをレジェスに代え、第1戦残り10分で活躍を見せたビセンテ(バレンシア)、そしてトーレスを外しラウルをトップに上げ、トップ下にバレロン(デポル)を入れた。第1戦目より攻撃にバリエーションを与えられるメンバーだと思う。
 ノルウェーは、H. ベルグに代わり、アストン・ヴィラ所属の34歳ベテランR. ジョンセン、そしてステンサアスをディフェンスに加え、ストランドを外して攻撃力のあるリーセを中盤サイドに上げた。

 ノルウェーは1−0の結果で予選通過できる。ゴール前に硬い壁をしきながらも、第1戦でも多くのチャンスを作ったワントップのフローを中心に、スペインの攻撃に耐えながら虎視眈々とその必要なワンゴールを狙いにくるだろう。スペインも第1戦の結果では安心できない。早いうちに先制点が欲しい。



 世界で最も有名な審判、ピエールルイジ・コッリーナ氏の笛によって試合が始まった。最初のシュートは10分。リーセがロングシュートを放つがゴールバーの上を通り過ぎる。スペインにとってもピンチと言うほどのものではなかった。その2分後にはスペイン。ミチェル・サルガドが右サイドでDFを抜き中央へマイナスのショートパス。ビセンテがそれにあわせるもゴールを外れる。

 雪という最悪のコンディションは避けられたものの、ピッチのコンディションは悪そうだ。選手はターンの度に滑らないように足を踏ん張り、普段よりもしっかりトラップしているし、パスもスピードに乗らない。全体的にスローペースなゲームになっている。しかしスペインは次々と好機を作る。19分、GKのキックミスしたボールを左でビセンテがインターセプトしノルウェー陣内に切り込み、更に左に走りこんできたシャビ・アロンソへボールを渡す。シャビ・アロンソがマイナスのパスを中央へ送るがディフェンスクリア。21分コーナーキックをエルゲラがファーで下がりながら頭でゴールを狙うがGKにはじかれる。

 その後スペインは続けて2度のCKを得るが得点には結びつかなかった。この最後のCKのクリアの時に、第1戦で何度もノルウェーを救ったGK:E.ジョンセンが足首を痛めてゲームが中断。ノルウェーのファン・選手にも緊張が走っただろうが、なんとかプレーを続行した。

 圧倒的なスペインのボールポゼッションでゲームが進む。スペインのパス回しについていけないノルウェーにはファウルが多くなり、スペインゴール前にはほとんどボールが来ない。カシージャスは凍えていたことだろう。31分にロングボールをT. フローの頭に合わせてきたが、山なりに飛んできたこのボールは難なくカシージャスの手に収まってしまった。

 良くないピッチ状態でもボールをうまく回し支配しているスペイン。足りないのはゴールだ。そして34分。ついに待望の先制点の瞬間が来る。セサルから中央でボールをもらったバレロンは、すばやくゴール前に軽く縦パスをはたく。それに反応したラウルは、GKの動きを見て丁寧にゴール左隅へボールを流し込んだ。

 こうなればスペインもよりリラックスできる。41分、左サイドを攻め上がったプジョルからビセンテにボールが渡り、華麗な切り替えしから中央のラウルへ。これは惜しくも外れた。その2分後にもビセンテからいいクロスボールが入ったがこれには誰も触れることができずチャンスを逸してしまった。



 後半も前半と変わらないスペインのペース。48分右サイドにいたラウルにボールが渡るとラウルはターンでディフェンスを交わし、右から中央を横へ走りこむミチェル・サルガドに合わせてボールを中央へ流すもディフェンスにブロックされる。49分、左サイドで前線に走りこむビセンテに合わせようにパスが前線左へ流れる。ビセンテには届かなかったが、ノルウェーのバスマが信じられない処理ミスで簡単にビセンテにボールを渡してしまい、ビセンテは難なくゴールを決めてしまった。

 56分にはもっと信じられないプレーが起きた。バレロンがエチェベリアに通そうとしたパスを、GKのE.ジョンセンがクリアしようとキックしたボールが、なんとエチェベリアの頭にあたり、跳ね返ったボールがゴールに吸い込まれてしまった。このときすぐに思い出したのがフランスW杯予選米国vs.メキシコ。米国GKのケラーが自分の手に保持しているボールを前線に蹴ろうとしたときにその前でジャンプしたメキシコのエルモシージョにボールが当たり、そのままゴールに入ってしまった。あの時、W杯予選でしかも一番のライバルとの試合でとんでもないミスをしたものだと思ったが、まさかまたヨーロッパ選手権というビッグイベント出場をかけた試合で同じような光景を見るとは思いもしなかった。とにかくスペインがボールを支配し続け、ほとんどチャンスを得られないノルウェーにとっては重たすぎる3点目だ。

 61分には左サイドでバレロンが切り返しでDF陣を翻弄し、ラウルへパスを通そうとするが届かず。62分、ノルウェーのGKが交代。前半痛めた足首がプレーに影響していたのは明らかだ。第1戦で最も活躍したE.ジョンセンにとっては悔しい交代だろう。そしてスペインの攻撃はまだ続く。70分、エチェベリアからラウル、ビセンテとボールがつながり、ビセンテは切り替えしでDFを外しシュート。これは交代して入ったGKオルセンに体でブロックされた。

 73分。珍事が発生。ノルウェーのファン2人がピッチに乱入して試合が中断してしまったのだ。不思議なことに彼らを捕まえようとする人がなかなか来ない。1人が抑えられたあとも、もう1人はピッチで歩き回り試合は中断したままだ。ここでしびれを切らしたのがノルウェーGKのオルセン。怒りのあまりにこの男を追いかけスライディングで倒し、押さえつけてしまった。この後もスペインは支配を続け、全く危ない場面を作らせず完勝してポルトガル行きの切符を手にした。



 バレンシアでの第1戦が終わった時点でヨーロッパ選手権出場の可能性が十分にありえたノルウェーは、夢から目を覚ましてしまった気持ちだろう。残念ながら、今日の試合ではヨーロッパ選手権出場は夢、全く出場に値しないチームだった。

 対してスペイン。オスロ経由ポルトガル行きはちょっと回り道だったが、とりあえず切符は手に入れた。個々の選手のレベルはファーストクラスだと思う。私はこれらの選手が大舞台で見られなくなるのは惜しいと思っていたので、胸をなでおろしている。スペイン代表は、リガ・エスパニョーラと比べていまいち日本やその他の国で人気がない。それはやはりワールドカップやヨーロッパ選手権で目立つ成績を残してないからだろう。まだ予選が終わったばかりだが、スペイン代表の選手やファンは、来年のポルトガル2004こそは・・・とすでに意気込んでいるのではないだろうか。


スペイン代表 ノルウェー代表
GK: カシージャス GK: .ジョンセン (61分/オルセン)
DF: プジョル、エルゲラ、セサル、ミチェル・サルガド DF: ステンサアス、ルンデヴァム、R. ジョンセン、バスマ
MF: シャビ・アロンソ、アルベルダ(84分/バラハ)、ビセンテ、エチェベリア(77分/ホァキン) MF: リーセ、ソリ、アンデルセン(46分/H.フロー)、アンドレセン(73分/F.ジョンス)、イヴェルセン
FW: ラウル、バレロン(73分/グティ) FW: T.フロー
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