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 スペインからの風 04/02/17 (火) <前へ次へindexへ>

 ムルシア。勝利のリズム未だ掴めず。


 文/中島泰介(アリカンテ在住)
 
リガ・エスパニョーラ 第24節 レアル・ムルシアvs.セビージャ
2004年2月14日(土)19:30キックオフ エスタディオ・ラ・コンドミナ 観衆:13,000人
試合結果/レアル・ムルシア1−3セビージャ(前、後)
得点経過/[セビージャ]バプティスタ(3分;PK、71分;PK)、[レアル・ムルシア]ルイス・ガルシア(94分;PK)、[セビージャ]バプティスタ(95分)


 第20節、0−2から同点に追いついたセルタ戦後、勝てないムルシアはペイロを解任し、ウェールズ人のトシャックを監督に就任させることを決断した。しかし就任初戦のラシン戦はロスタイムに失点し3−2の敗北スタート。そしてホームでの同じく降格ゾーンで苦しむサラゴサ戦は、新加入のガンセド、ウルタードの活躍でムルシアは今期2勝目をあげたものの、続くアスレティック・クルブ戦は敗北。その間に降格圏にいるライバル達は勝ち点を積み、今だ最下位から脱出できないでいる。

 セビージャに関するビッグニュースは何といってもレジェスのアーセナル移籍だ。この左サイドのスピードスターを失い戦力ダウンは免れられない。



 今日の試合は開始直後から騒然とする。開始2分、セビージャのコーナーキックと同時にムルシアのリチとセビージャのブラジル人バプティスタがもつれ倒れ、主審の笛が響く。リチのバプティスタに対するファウルという判断を下し、主審はペナルティ・スポットを指した。このPKをバプティスタが左隅に決め早くもセビージャが先制。そして4分、PKの判定にすでにいらだっていたのか、ムルシアのワントップ、エスナイデルが主審に暴言を吐き退場が言い渡される。今シーズンはまだわずか1得点のエスナイデル。得点どころかチームに数的不利な状況で86分戦わなければばらない状況を作ってしまった。

 この退場処分にラ・コンドミナ全体から怒号が響く。審判のジャッジが正しい、正しくないは抜きにして、この時点でムルシアの観客はすっかり審判への信頼を失うことになった。今週水曜日に行なわれたコパ・デル・レイ準決勝のセビージャvs.レアル・マドリード戦での、ジダンの退場に至るまでのジダンとセビージャのパブロ・アルファロの小競り合い、そしてそれに対する審判のジャッジやレアル・マドリードのスポーツディレクターのホルへ・バルダーノの行動(ハーフタイムに審判・選手の出入りする通路口まで行きジャッジに抗議した)が物議を醸した。このことも観客のアンチ審判の感情に拍車をかけたのだろう。この後もジャッジに対するブーイングは最後まで続くことになる。30分には早くも審判に対し"フエラ!(出て行け)"の大合唱が始まる。



 試合はこう着状態が続き、セビージャもムルシアも決定機を作れず時間が流れていく。前半が終了した時点ではまだムルシアにもチャンスがあると思った。退場になったのはトップの選手でディフェンスの人数は変わらないし、守備が崩れることもなかった。更にカウンターが得意のセビージャも自身によるチャンスメイク能力に乏しく数的有利も生かせない状態でいた。人数が少ないムルシアも決定機を作れなかったが、ゴール前でのセットプレーを生かせばまだ勝ち点を得る可能性は十分ある。

 ハーフタイム後ピッチに戻ってきたセビージャの選手達にムルシアファンはブーイングを浴びせる。それに続いて出てきた審判団を更に大きなブーイングで迎えた。48分にセビージャのアントニオ・ロペスが左からクロスを入れるが中にいたカルリトスはそれに触れることができず。ムルシアは51分に右のファンマ、ガンセドと繋ぎ縦パスをディフェンス裏に流しチャンスを得たかと思ったが惜しくもオフサイド。52分にムルシアのガンセドとセビージャのトラードがやり合い、トラードに警告。このジャッジに私の近くにいたファンは「お前はレッドカードを持ってないのか!?」とすかさず批判。56分にはまたセビージャのチャンス。トラードとレドンドのワンツーからトラードがシュートを放つがGKボナーノが足でブロック。なんとか2点目の失点を防ぐ。

 60分にトシャック監督は、ディフェンスのクラベロ、ウルタードに代え、スピードに乗ったドリブルが武器のキンタナ、交代で出場しては結果を出すカランカを投入し得点を目指す。そしてそのキンタナがすぐにドリブルからファウルをもらいフリーキック、そしてコーナーキックを奪い、ムルシアにチャンスをもたらす。63分、またもムルシアファンは熱くなってしまう。右サイドからムルシア陣内にセビージャのアルベスが攻め込み、それをムルシアディフェンスがタックルで奪い攻撃に転じようとしたが、タックルを受けたアルベス、そして、その前のプレーによってバプティスタが倒れうずくまっていた。ムルシアの選手は紳士的にボールを外へ出しプレーを切ったが、ファンはうずくまった選手に野次を飛ばし、その後2人ともすぐピッチに元気に戻っていったことによりファンは更なる激しいブーイングを飛ばす。そして70分、アルベスがペナルティ・エリア内で倒され、セビージャに2つ目のPKが与えられた。



 このジャッジは正しかった。しかしそれが正しかろうとなかろうと、ムルシアファンはもう自分のチームに不利な判定には全て過剰に反応するようになっていた。この判定にゴール裏からは色々なものが投げ込まれるし、金網越しに警備員とファンがもめ合いも起きたが、そんな中バプティスタは1本目のPK同様冷静に決め、ムルシアは与えてはいけない追加点を奪われてしまった。この時点で帰る観客が現れる。73分にはまたスタジアムの至るところから物が投げ込まれ、試合が中断してしまった。ものをピッチに投げ込まないでくださいというアナウンスにもブーイング。

 ムルシアはキンタナからチャンスを作る。77分にキンタナのドリブル、クロスボールをヘディングシュートに結びつけたがGKエステバンがCKに逃れる。79分には彼へトラードがファウルを犯し、この日2枚目のイエローで退場。79分にはこのアルゼンチン人の受けたファウルからルイス・ガルシアが直接フリーキックを狙う。負けじとセビージャは87分にバプティスタの強烈なシュートがバーを叩く。88分にはディフェンスラインぎりぎりでボールを受けた交代出場のアントニートがGKと1対1になるが、もたついたため戻ってきたムルシアディフェンスにクリアされ追加点ならず。このプレーに対するジャッジにもブーイングが飛んだが、オフサイドではなかった。

 5分間のロスタイムに2ゴールが記録される。94分についにムルシアがルイス・ガルシアのPKで1点を返す。すぐにセンターサークルに戻りもう1点を目指すムルシア。しかしリスタートから1分もしない内に、アントニートの前線への見事なヒールパスからバプティスタがGKと1対1になりあっという間にボールはムルシアゴールへ送り込まれ、試合は終わりを告げた。試合後も物がピッチへ投げ込まれ、審判団は警備員の盾に守られながら退場していった。



 今節も勝ち点獲得、そして降格ゾーンのライバル達と勝ち点差を縮めることができなかったムルシア。フラストレーションの溜まる週末が続く。次節の相手はホームでは勝利したアルバセテ。残留争いをしているライバルだ。勝利を手にしなければファンも納得しないだろう。しかし今日印象に残ったのは試合よりもファンの残念な態度。この試合に限ったことではないのだが、物の投げ込みや相手監督、選手、審判への罵倒(セビージャのカパロ監督にもベンチ裏から絶えず物が投げられていた)を試合中ずっと聞いていると、興ざめしてしまう・・・・


(レアル・ムルシア) (セビージャ)
GK: ボナーノ GK: エステバン
DF: ファンマ、クアドラド、ウルタード(60分/カランカ)、クラベロ(60分/キンタナ) DF: アルベス(73分/ラモス)、ハビ・ナバーロ、アルファロ、マラニョーン
MF: アシアリ、リチ(34分/ペドロ・ラルゴ)、ルイス・ガルシア、ガンセド、ミチェル MF: レドンド、オスカル、トラード(79分/退場)、アントニオ・ロペス(80分/マガジャネス)
FW: エスナイデル(4分/退場) FW: バプティスタ、カルリトス(62分/アントニート)
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