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 続・スペインからの風 04/09/07 (火) <前へ次へindexへ>

 開幕戦から見る今シーズンのスペインリーグ (3/3)


 文/神藤恵史(ムルシア在住)
 
 さて、レアルの「あぶなかっしい」シーンも何度か目に映ったのだが、それを僕が再び思い出したのは、実は翌日のバレンシアvs.ビジャレアル戦を見ている最中だった。他のチームよりも一週間早く今季を迎えたバレンシア。昨シーズンリーグ優勝とUEFAカップを獲得したため、スーペル・コパ2試合と、チャンピンズリーグの優勝チーム、ポルトと試合をしてから開幕戦を迎えた。しかし、ディフェンスで評判の高いバレンシアなのだが、開幕戦を含めて公式戦4試合で4失点とらしくない結果を残している。
下の3つのレアル・マドリードとの類似点を含めて、バレンシアの「穴」をまとめてみた。


  1.最終ラインのリーダー的な選手の不在
 アルゼンチン人のサムエル(怪我による欠場)とアジャラ(オリンピック参加)が中央にいないこともあって、安定感というものが感じられない。
  2.後半の途中から最終ラインがズルズルと下がる癖
 相手の攻撃の時間が長く続いたせいか、途中から最終ラインがずるずると下がりだした。レアル・マドリードでは、ボランチのベッカムが後ろのミッチェル・サルガドに「前へ上がってこい」と英語で言っているシーン、ゴールキック時にカシージャスがディフェンス陣に「下がってくるな」と叫んでいる姿が見えた。また同じようなシーンがバレンシアのゴールキーパー、カニサレスにも見えた。
  3.クロスボールに対するカバーの甘さ
 相手のサイドからのセンターリングがファーサイドに流れたときに、逆サイドのマークが甘くなるためヘディングシュートを打たれる。レアル・マドリードの場合はパボンとラウール・ブラボ。ボールにつられてしまい、次の動きが遅れている。一方、バレンシアがビジャレアルに失点を喫したのもこのパターン。右からのセンターリングはキーパーの前で守るマルチェナとファーサイドにいたクーロ・トレスの間へ飛んでくる。その二人の間に走ってきたフォランに頭で決められた。

 他にも不安材料はある。今年移籍してやってきたイタリア人のメンバーはまだまだ他のメンバーと上手く噛み合っていない。スーペル・コパではアウェイで戦った第1戦を0−1でものにしてタイトルに王手をかけたものの、ホームで迎えた第2戦では、ラニエリ新監督はスターティングメンバーとしてイタリア人3人を起用したが機能せずに3失点。まさかの逆転負けでタイトルを逃す結果となった。

 開幕戦はなんとか2対1で勝ったバレンシア。だが、その内容は決して満足のいくものではなかった。スーぺル・コパではホームで1−3と完敗したのに加え、開幕戦もホームの利を生かしきったとは言えない戦いぶり。「バレンシアはアウェイに強い」というのが、スペインでの一般的な評価だが、相変わらずホームでの戦い方をしらないようだ。試合終了後、相手選手が握手を交わしにくるものの、バラハとクーロ・トーレスの議論は絶えない。また満足したプレーが出来なかったアイマールは「くそったれ」と独り言をボヤケていた。



 開幕戦で完成度の高い仕上がりを見せていたのはバルセロナ。大幅な補強をしたものの、他のチームで見れるようなコミューニケーション不足は見えずに、攻守ともに素晴らしいチームプレーを見せていた。役者が変わっても、昨シーズン後半のあの雰囲気がチームに漂っているようだ。エトーは水を得た魚のように新チームのメンバーと一斉攻撃を演じ、デコはサイドから中盤の底まで顔を出してプレーに参加する。存在感が薄いと思ったジュリーは逆サイドから来たチャンスをしっかりとゴールで締めくくった。怖いものなしのバルセロナ、これにロナウディーニョが怪我から復帰すれば鬼に金棒だろう。
 それにしてもデコとエトー、何度か会話を交わす場面が試合中に見えたが、何語で彼らは話していたのだろう?

(完)

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