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 頑張れ!女子サッカー 04/04/05 (月) <前へ次へindexへ>
練習を真剣に見つめるこの犬は? 「編集後記」をどうぞ。

 Go for Athens(4) ふたりのニューフェース
 仕上がり良好。男子高校生との3連戦も2勝1敗の勝ち越し。

 取材・文/西森彰
 3月29日(月)から4月4日(日)まで行なわれた今回の合宿では、男子高校生との練習試合が3月31日(水)、4月2日(金)、3日(土)と組まれていた。「女子のプレーヤーのフィジカルは、男子中学生のトップレベルと同じと良く言われますけれど、単純に比べたら中学2年生くらいですね。中学3年生レベルだと、もうかなりの差がある。高校生に本気でガチガチに来られたら勝てないですよ。それでも厳しい中でできることをしっかりやらないと本番でもできない」(吉田弘・日本女子代表コーチ)。

 45分前後半フルタイムの3試合を4日間で行なう強行スケジュールにも、上田栄治・日本女子代表監督は「本番も準決勝まで中1日。ここでその適性も見ておきたいし、前後半でメンバーを分けて試合に臨むので、それほど負担にはならないはず」と不安を見せない。澤も「強い男子高校生を相手にしたゲームで、どの程度やれるかというのを図るのも、この合宿の大きな課題のひとつ」と意欲を燃やしていた。

 3回目の対戦(過去2戦は0対4、1対1)となる平工業高校戦は0対6と不本意な大差負けを喫したが、密着取材を続けるテレビ朝日取材スタッフの方によると「もの凄い強風下の試合で、男女のキック力の差が出た感じですね」とのこと。続く福島南高校戦では激励訪問で訪れていた山本昌邦・男子五輪代表監督と多くの報道陣の前で、6対0のワンサイドゲームを演じた。

 最終戦の相手は磐城高校。平工業同様、高校選手権にも数回出場している強豪だ。日本女子代表はキックオフから、男子高校生のプレスを上回るスピードでボールを回した。プレスゾーンの設定やパスコースの切り方など、北朝鮮戦を想定した約束事をこなしながら、ゲームを進めていく。そして24分、荒川恵理子のポストプレーから澤がライン裏のスペースに2列目から抜け出して先制弾を叩き込む。後半にも追加点を奪った日本女子代表が2対0で完勝した。

 この日対戦した磐城の選手たちは全員20番台以降の背番号を着けていた。おそらくはBチームだったのだろう。しかも、一部の選手を除き前後半の45分間ずつを別の選手で戦った女子代表に対し、3枚だけの選手交代だった。しかし、彼らにとってもAチーム合流へ向けて重要なアピールの場だったはず。前後半1度ずつしか決定機を与えず、完璧に崩して2得点を奪った女子代表の戦いぶりは十分賞賛に値する。



下小鶴綾、高さと正確なフィードが武器だ。
永里優季(白・右)は、この日も1ゴールを奪った。
 この磐城戦ではニューフェイスのふたりも活躍した。

「この間の長期合宿に呼ばれた際には、正直言って驚きました。長所ですか? 自分では高さとか、フィードの正確性とかを買ってもらっているんだと思います。高槻では4バックの時が多いんですけれども、代表ではまたやり方が違うんで、そのあたりを1日ずつ勉強させてもらっているという感じです」

 下小鶴綾、21歳。167センチの恵まれた体で読みの良いディフェンスをこなし、ビルドアップの起点にもなるスペランツァFC高槻所属のDFだ。以前から上田栄治・日本女子代表監督が高く評価していた逸材である。現在は宮本ともみ(伊賀FCくノ一)らと居残り練習を行ない、互いの距離などを確認している。この日も出場した45分間でミスらしいミスはGKとの譲り合いによるワンプレーだけ。完封勝ちに貢献した。

 センターバックは要のポジションであり、新加入選手が割って入るのは難しい。下小鶴にとって追い風になったのは、ワールドカップ以降、2回に渡って行なわれたシステム変更で、全員が同じスタートラインについたことだろう。「アメリカの前から、大分良くなってきたと思います。特にイソさん(磯崎浩美)が横で良く声を出してくれたので」と日を追うごとに良化中。キャプテンの大部由美(YKK東北女子サッカー部フラッパーズ)と、レギュラーポジションを激しく争っている。



「今度はサッカー以外の話にしてください」

 テレビや記者の取材に対し、はにかみながら応答する永里優季。スポーツ紙でも「秘密兵器」として紹介された彼女には、まだあどけなさが残る。しかし、この16歳のFWは日本女子代表候補の一員として、年上のライバルにしっかり食らいついている。アメリカ遠征で1ゴール、福島南戦でもPKを確実に決めた。この磐城戦では68分、小林弥生(日テレ・ベレーザ)のループパスから1対1のシーンを作り、GKにぶつけながらも流し込み、2点目を奪った。

 チームの中心選手である澤穂希(日テレ・ベレーザ)は「彼女は、もっとどんどん喋ってコミュニケーションをとったほうが良いですね」と、中田英寿のようなセリフで、永里の課題を指摘した。本人も「人前で喋るのが得意じゃないんです」とこの点についてはいささか頼りない。しかし、上田監督から「体格の良さを生かしたポストプレーと、どこからでも取れる得点力」を期待されていることは、自覚している。

 一般論になるが、初顔合わせで互いの得意なプレー、フェイントなどが分からない場合は、攻撃側のプレーヤーが有利と言われる。秘密兵器的存在の永里をグループリーグ2試合でベンチに置き、準決勝で「行ってこい!」となる可能性はある。「それ(大一番での初出場)だけは嫌です。グループリーグから使ってもらって、周りの人と(プレーを)合わせておきたいです」とのこと。年齢からくるスタミナ切れは、練習終了後にひとり課せられているジョギングを続けながら、少しずつ克服している。



 下小鶴、永里らの発掘は、毎節、L・リーグの試合会場に自ら足を運び、今泉守正U-19日本女子代表監督と連絡を頻繁に取り合って情報収集に努めた、上田監督の努力あってこそだ。そして十分な戦力として合流できるメドが立ったのは、サッカー協会が工面した長期強化期間の恩恵だろう。川淵三郎キャプテン以下、総力を挙げてのバックアップがアテネ行きのチケットとして結実するその日まで、あと3週間を切った。



<日本女子代表(3月30日時点)>
監  督  上田 栄治  【(財)日本サッカー協会 ナショナルコーチングスタッフ】
コーチ  吉田 弘  【(財)日本サッカー協会 ナショナルコーチングスタッフ】
GKコーチ  川島 透  【(財)日本サッカー協会 ナショナルコーチングスタッフ】
GK 山郷 のぞみ  1975.01.16  164cm 60kg  さいたまレイナスFC
小野寺 志保  1973.11.18  163cm 52kg  日テレ・ベレーザ
DF 大部 由美  1975.02.15  167cm 62kg  YKKフラッパーズ
磯崎 浩美  1975.12.22  163cm 52kg  田崎ペルーレFC
宮崎 有香  1983.10.13  164cm 58kg  伊賀FCくノ一
山岸 靖代  1979.11.28  163cm 62kg  伊賀FCくノ一
矢野 喬子  1984.06.03  164cm 55kg  神奈川大学
下小鶴 綾  1982.06.07  167cm 53kg  スペランツァFC高槻
MF 酒井 與惠  1978.05.27  158cm 48kg  日テレ・ベレーザ
小林 弥生  1981.09.18  156cm 50kg  日テレ・ベレーザ
安藤 梢  1982.07.09  164cm 55kg  さいたまレイナスFC
川上 直子  1977.11.16  156cm 50kg  田崎ペルーレFC
山本 絵美  1982.03.09  158cm 53kg  田崎ペルーレFC
柳田 美幸  1981.04.11  158cm 54kg  田崎ペルーレFC
宮本 ともみ  1978.12.31  168cm 59kg  伊賀FCくノ一
FW 荒川 恵理子  1979.10.30  166cm 55kg  日テレ・ベレーザ
永里 優季  1987.07.15  167cm 60kg  日テレ・ベレーザ
丸山 桂里奈  1983.03.26  162cm 56kg  日本体育大学
大谷 未央  1979.05.05  160cm 49kg  田崎ペルーレFC
澤 穂希  1978.09.06  163cm 57kg  日テレ・ベレーザ


<AFC女子サッカーオリンピックアジア予選>
グループA  北朝鮮、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ、香港
グループB  中国、ミャンマー、韓国、グアム
グループC  日本、ベトナム、タイ

<日本の試合日程(一部予定含む)>
4月18日(日) 12:00  日本VSベトナム  駒沢陸上競技場
4月22日(木) 19:00  日本VSタイ  国立霞ヶ丘競技場
4月24日(土) 19:00  グループAの1位VSグループCの1位  国立霞ヶ丘競技場
19:00  グループBの1位VS2位の最上位チーム  広島ビックアーチ
4月26日(月) 15:45  3位決定戦  広島ビックアーチ
18:30  決勝戦  広島ビックアーチ

※決勝戦に進んだ2カ国がアテネ五輪への出場権を獲得する。
※チケットは現在発売中。詳しくは日本サッカー協会のホームページをご覧ください。
 日本サッカー協会ホームページアドレス http://www.Jfa.or.jp/
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