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 頑張れ!女子サッカー 04/08/02 (月) <前へ次へindexへ>

 駆け抜けろ!なでしこジャパン。全ての人の思いとともに。


 文/2002world.com編集部
 なでしこジャパンが順調な仕上がりを見せている。「強い相手とやって問題点や課題をさらけ出しておいたほうが良いんです。そこから本番までに練習を通じて修正することができますから」。カナダ女子代表との間で行われた壮行試合の前に、上田監督はそう語っていたが、進化を続ける「なでしこジャパン」にとって、若手主体のカナダ女子代表は難しい相手ではなくなっていたようだ。L・リーグの合間を縫いながら強化を図るという難しいスケジュールだったが、「なでしこジャパン」は確実に成長を続けている。

 もちろん、常に真摯な態度を崩さない彼女たちが、この快勝で課題を見失うなどということもないだろう。相手の寄せと強さに対する認識を改めること、そしてスタミナ配分を考えながらプレーすることという課題は、しっかりと胸に刻まれている。8月1日に直前合宿を張るオランダに旅立った「なでしこジャパン」は、課題を修正した後、6日にオランダ代表との強化試合を行う。そして、11日のスウェーデン戦では、これまでの集大成を見せてくれるはずだ。


 五輪でのメダル獲得に向けて、上田監督をはじめとするチームスタッフは周到な準備を重ねてきた。「なでしこジャパン」の面々のあくなきチャレンジ精神は、ますます大きなものになっている。しかし、これだけではまだ足りない。その国のサッカー力とは、チームの力とチームに関わる全ての人たちの思いの総和。これが大きくならなければ、強敵スウェーデンを倒すことは簡単なことではない。だからこそ、ある者はともにアテネに飛び、ある者はTVの前から声援を送り、そしてある者は、ネットにかじりついて思いを飛ばす。それぞれの人たちが、それぞれの方法で、思いをアテネの地に送ろうとしている。



 去る7月18日、淡路佐野で、ある出来事があった。淡路佐野と言えば、2002年W杯でイングランドのキャンプ地として知られた土地。まだ、皆さんの記憶には新しいことだろう。さて、この日はL・リーグ第6節、TASAKIペルーレFCの前半期のホーム最終戦が行われた。スタンドには、いつものように家族、関係者、常連サポーターの見慣れた顔が見える。

「こんにちわ、ご苦労様です」とサポーター。
「いつもありがとうございます」選手の家族。

 一躍、注目度があがったとはいえ、家族的でのどかなスタンドは、いつもながらのL・リーグの風景だ。敵も味方もない。サッカーを愛する者と、サッカーを愛する者が、お互いの思いを尊重し、そしてぶつけ合う。もちろん、相手には負けたくない。しかし、相手は敵ではなく、厳しい環境と戦いながら同じサッカーに取り組む仲間たちだ。自分たちの積み重ねてきたものに対する自信。同じように全てをサッカーにかけている相手に対する敬意。その両方を受け止めて声援を送るスタンド。そこには、Jリーグが忘れかけている何かがある。

 サポーターと声を交わしているのは、川上選手の親御さん。いつもスタンドから声援を送り、試合が終わると周りのサポーターにお礼を伝える気さくな方だ。そういえば、メキシコとW杯出場権を賭けたプレーオフが行われた国立競技場で、メインスタンド中央に陣取って、「行け!川上」をはじめ、勝手なことを口走って声援を送っていた2002world.com編集部スタッフに、試合後挨拶をしてくださったこともあった。まさか、すぐそばにいらっしゃるとは知らずに、興奮のあまり、とても言えないようなことを口走っていた我々は、大変恐縮したことを思い出す。


「ところで、アテネまで応援に行かれるんですか?」
TASAKIのサポーターのひとりが話し掛けた。

「はい、家族みんなで応援して来ようと思っています」
「では・・・、こいつを一緒に連れていってもらえませんか」
怪訝な顔の親御さんに、サポーターはひとつの紙袋を差し出した

「何ですか?これは」
サポーターは静かに答えた
「僕の魂です。旧モデルですが僕が愛用している日本代表ユニホームです。残念ながら僕はアテネへはよう行かんので、ぜひこいつだけでも連れていっていただきたいんです。これを着て現地で応援していただけたら・・・」

「そういうことでしたら、喜んでお借りいたします。ありがとうございます」
親御さんは笑ってそう答えた。



 アテネのスタジアムで、川上選手は、この青いユニフォームをきっと見つけてくれるだろう。そして、その思いを受け止めて、いつもより速く右サイドを疾走してくれるはずだ。その右足から鋭いクロスがあがる。中央でつぶれ役になってボールを落とすのは荒川選手。そこへ大谷選手が走りこむ。次の瞬間、ゴールネットが揺れる。ピッチで抱き合う「なでしこジャパン」。そして歓声に沸くスタジアム。そんなシーンがきっと見られるはずだ。

 どんな形でもいい。自分たちの思いを彼女たちに伝えたい。そして、どんな方法でもいい。彼女たちの挑戦をしっかりと見届けたい。8月11日、世界への挑戦の舞台が始まる。オリンポスの丘に住む神々が、「なでしこジャパン」に微笑んでくれることを信じよう。
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