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 頑張れ!女子サッカー 04/08/10 (火) <前へ次へindexへ>

 メダルへ通じる扉に、立ち塞がる北欧の女傑
 なでしこジャパンvs.スウェーデン女子代表プレビュー(前編)

 文/西森彰
 アテネ五輪壮行試合の応援シートにプリントされた上田栄治監督のサインは「メダル奪取」。その目標達成に向けて、日本女子代表チーム・なでしこジャパンはいよいよ決戦の舞台・ギリシャへと乗り込んだ。国立霞ヶ丘陸上競技場で行なわれたカナダ女子代表との壮行試合に続き、最終合宿地・ザイストでのオランダ女子代表とのトレーニングマッチも2対0で快勝。その勢いは増す一方だ。

 そして、金の羊毛を手に入れる旅に出た勇者・イアソンを産んだヴォロスの地から、「一番良い色のメダル」(荒川恵理子)すなわち金メダルを目指す冒険を始める。まずは、8月11日(水)現地時間の18:00(日本時間24:00)、FIFA女子ランキング4位のスウェーデン女子代表とのゲームに臨む。いきなり強豪と当たることになったが、メダル争いに絡む上で、絶対に負けられない一戦だ。

 日本の入ったグループEは、スウェーデン、そしてナイジェリアと3チームでのリーグ戦である。前ふたつを戦う日本は、日程的には圧倒的に不利だ。スウェーデンとは互いに1戦目で同条件。そして中2日で長距離移動を挟んだ後、フレッシュなナイジェリアが待ち受ける。たった18人で短期間に試合をこなしていく五輪で、スケジュール面のビハインドはとてつもなく大きい。

 だが、グループリーグを突破すれば、先に2試合こなしていることが大きな福音となる。2位通過した場合に対戦が濃厚なドイツが中2日の戦いを強いられるのに対し、日本は中5日で戦うことができる。1位通過したなら、そのアドバンテージはさらに大きくなる。4チーム入ったグループGで3試合を戦って疲労困憊の3位チーム(おそらくは実力互角のオーストラリア)に、やはり3日間の利を得て、対戦することができるのだ。初戦に勝利すればメダルの可能性がグッと高まることが、ご理解いただけたと思う。



 これまでスウェーデンとの対戦は5回あって、日本の1分4敗と分が悪い。上田監督が、報道陣を前にして「スウェーデンは勝てない相手ではない。ナイジェリアは負ける相手ではない」というフレーズを何度も繰り返した。澤穂希も「北朝鮮との時だって、ずっと勝ってなくって『今回も勝てないだろう』って言われてました。でも勝てた」と自らを鼓舞するように語ってくれた。ピッチの外にいる我々としては信じてエールを送るしかないが、客観的に見てどのレベルの相手なのだろうか。

 スウェーデンは女子ヨーロッパ選手権、そして昨年の女子ワールドカップと2大会続けて決勝まで進み、どちらも延長戦の末、ドイツに敗れている。あと一歩のところで金メダルを逃し続けているが、FIFAランキングはドイツ、アメリカ、ノルウェーに次ぐ4位(日本は13位)。オリンピックではアトランタ、シドニーとグループリーグ敗退を喫しているが、常識的に見て難しい相手であることは、このプロフィールだけで一目瞭然だ。



 日本のメディアを強気にさせている理由のひとつに、7月24日(金)に行なわれたノルウェー戦の大敗がある。

<スウェーデンサッカー100周年記念試合 7月24日(金)>
スウェーデン女子代表0−4ノルウェー女子代表(前半0−1、後半0−3)
(スウェーデン女子代表出場メンバー)
GK: リンダール(46分/ヨエンソン)
DF: エステベリ、ウェストベリ、トゥエルンクヴィスト、ベンクトソン
MF: ショーグラン、モストローム(84分/ノルディン)、ショーストローム(65分/ファーゲストローム)
FW: オクヴィスト(46分/リュングベリ)、スヴェンション(75分/シェリン)、オルソン(46分/アンデション)

 上に記したように、スコアだけを見れば悲惨なものだった。五輪出場を逸したノルウェー女子代表を迎え撃った彼女たちは、メモリアルマッチに来場した7,096人のファンを前に、0対4の屈辱的敗北を喫したのだ。「マークを怠った結果です」と女性コーチのマリカ・ドマンスキ・リフォロス監督は語ったが、個々のミス以外にも敗因があった。

 まずはオリンピック直前の相手にしては、ノルウェーが強すぎた。FIFAランキング3位のノルウェーは、ギリシャ行きのチケットを失った腹いせに、世界チャンピオンのドイツをも3日前に一蹴している。セットプレーで3失点ということだが、体ごと飛び込んでくるノルウェーの選手たちから、失うモノがあるスウェーデンのDFが身を避けたいと感じても仕方ない。

 また、前半はワールドカップ当時の中盤をダイヤモンドにした4−4−2でなく、4−3−3を試したこと。膝の故障を抱えるリュングベリは後半からの出場で、75分に退いたスヴェンションと2トップが共存したのは僅か30分ほどでしかなかった(もっともこの30分間に2失点を喫しているのだが)。いつもと違うシステムへの戸惑いもあったはずだ。

 確信犯的なお祭りムードに水を注して恐縮だが、この1試合の結果だけで「勝てる」とまで言い切ることはできない。



 さて、それではスウェーデンの戦術は…
                                    (続く)




<なでしこジャパン(日本女子五輪代表)メンバー> <スウェーデン女子五輪代表メンバー>
(ゴールキーパー) (ゴールキーパー)
1  山郷のぞみ  Yamago, Nozomi 1  ヨエンソン  Joensson, Caroline
18  小野寺志保  Onodera, Shiho 18  リンダール  Lindahl, Hedvig
(ディフェンダー) (ディフェンダー)
2  矢野喬子  Yano, Kyoko 2  ウェストベリ  Westberg, Karolina
3  磯崎浩美  Isozaki, Hiromi 3  トゥエルンクヴィスト  Toernqvist, Jane
4  大部由美  Obe, Yumi 4  マークルント  Marklund, Hanna
5  川上直子  Kawakami, Naoko 5  ベンクトソン  Bengtsson, Kristin
12  山岸靖代  Yamagishi, Yasuyo 7  ラーション  Larsson, Sara
13  下小鶴綾  Shimokozuru, Aya 8  エストベリ  Oestberg, Frida
(ミッドフィルダー) (ミッドフィルダー)
6  酒井與惠  Sakai ,Tomoe 6  モストローム  Mostroem, Malin
7  山本絵美  Yamamoto, Emi 9  アンデション  Andersson, Malin
8  宮本ともみ  Miyamoto, Tomomi 13  シェリン  Schelin, Lotta
15  柳田美幸  Yanagita, Miyuki 14  ファーゲストローム  Fagerstroem, Linda
16  小林弥生  Kobayashi, Yayoi 15  ショーグラン  Sjoegran, Therese
17  安藤梢  Ando, Kozue 17  ショーストローム  Sjoestroem, Anna
(フォワード) (フォワード)
9  荒川恵理子  Arakawa, Eriko 10  リュングベリ  Ljungberg, Hanna
10  澤穂希  Sawa Homare 11  スヴェンション  Svensson, Victoria
11  大谷未央  Otani, Mio 12  オクヴィスト   Oeqvist, Josefine
14  丸山桂里奈  Maruyama, Karina 16  オルソン  Olsson, Salina
(バックアップメンバー)
19  宮崎有香  Miyazaki, Yuka 19  ノルディン  Nordin, Frida
20  近賀ゆかり  Kinga, Yukari 20  ソフィア・エリクソン  Eriksson, Sofia
21  鈴木智子  Suzuki, Tomoko 21  アンナ・マリア・エリクソン  Eriksson, Anna-Maria
22  福元美穂  Fukumoto, Miho 22  アストローム   Astroem, Maja
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