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 頑張れ!女子サッカー 04/08/14 (土) <前へ次へindexへ>

 問題はコンディションだけ。気迫で中2日を乗り切れ!
 なでしこジャパンvs.ナイジェリア女子代表プレビュー

 取材・文/西森彰
「たぶん、いちばん悔しがっているのはあの子じゃないかと思います」

 試合終了後、そうおっしゃっていたのは安藤梢のお母さん。「レイナスでもいろいろなポジションをやらせてもらったんですけれど、トップ下なんですよね。でもこういう悔しい思いをしながら、どんどん強くなってきましたから」と気遣いながらも、その復活を信じている。それは、今シーズン、さいたまレイナスFCの試合に足繁く通った上田栄治監督も同じ気持ちだろう。期待する選手だからこそ、カナダ戦後半のようにFWをやらせたり、タイ戦のスタート時やスウェーデン戦のように左サイドで勝負させたりするのだ。

 左SHで先発している小林弥生もアメリカ遠征で、この日の安藤同様に途中出場しながら、試合終了を待たずに下げられた経験がある。4月の予選直前まで故障に悩まされていた彼女はベンチに下げられてからも決して腐らず、本大会でこうしてレギュラーを奪い返している。

 火消し役を演じた柳田美幸も、2月の長期合宿時に疲労骨折で出遅れながら、集団に必死で食らいついていった。手薄だった左サイドのDFを短期間でそこそここなすユーティリティさを身に付け、ようやく本来のポジションで使われるようになってきた。上田監督が「ハートの強さ」で選んだ18人のメンバー。もちろん、安藤にも巻き返しを期待だ。



 さて、世界ランキング4位のスウェーデンを完璧に撃破したなでしこジャパンの2試合目は、アフリカチャンピオンのナイジェリアが相手だ。直前の親善試合ではワールドチャンピオンのドイツ女子代表と戦い1対3と善戦しているナイジェリア。丸山桂里奈ら一部の若手を除き、ナイジェリアとは未対戦になるなでしこジャパンだが、バックアップメンバーに回った近賀ゆかりや宮崎有香らが、御殿場でのミーティングの際に、その特徴を伝えている。

 Jヴィレッジで、御殿場で、上田監督が選手たちに聞かせ続けた魔法の言葉は「スウェーデンは勝てない相手ではない。ナイジェリアは負ける相手ではない」。男子と同じように身体能力が非常に高いナイジェリアだが「体が大きいし、速いし、高い。ただし、チーム戦術としては日本が上。恐れる必要は無い」と上田監督は自信を見せる。スウェーデンよりは、実力的に見ても劣るはずだ。

 上田監督の自信の根拠は昨年行なわれた女子ワールドカップの成績だ。グループリーグではアメリカ、スウェーデン、北朝鮮、ナイジェリアが同居し、並びもその順番。アメリカとはアウェーの親善試合で1対1のドロー。北朝鮮とはホームでアジア予選を戦い、3対0の快勝している。そのモノサシ通りに、スウェーデンには1対0で勝った。上田監督が出した不等式の答えが正しいものであれば、日本が勝利を得る可能性は大きい。



 これまでのナイジェリアの対戦成績を調べてみたが、スウェーデンと対照的に先行タイプのチームらしい。前半は好勝負を演じながらも、時間を追うごとにペースが落ちる傾向にある。個人の能力に任せた戦い方をベースにしている結果、疲労で攻守のバランスが崩れると取り返しがつかなくなるのだろう。アメリカでプレーするマーシー・アキデ(フィラデルフィア・ローズ)をはじめ、6人が海外のクラブに籍を置いている。彼女たちの経験が代表チームに還元されるようなら決して侮れないが・・・。

 ナイジェリアが、アキデやヌクオチャの個人能力に頼る中央突破で来るならば、センターラインの守備が非常に安定している日本にとって思う壺。スウェーデンのスヴェンションでさえ2、3人でかかれば仕事はできなかった。彼女以上のストライカーなどそうはいない。単純な裏への一本だけが怖い。スウェーデン戦同様、ラインコントロールが重要な要素になるだろう。

 ボールを奪ったら、いつものようにサイド攻撃で攻略するまで。敵が身体能力で勝負してくるタイプだけに、スピードタイプの川上直子よりも、華麗なフェイントで相手を翻弄する小林弥生(または山本絵美)の左サイドに期待したい。そして、好調な2トップだけでなく、エースの澤穂希にゴールが欲しい。ルーズなディフェンスであれば、スペースを見つけて飛び込む澤には、一度ならずゴールチャンスがお膳立てされるはずだ。
 


 上田監督はクォーターファイナルまで5日間の間隔があることを考えて、スウェーデン戦同様のメンバーで臨むつもりだ。ドイツが中国を8対0で破ってくれたおかげで、日本はこの試合でよほどの大敗を喫しない限り、2ndラウンド進出は間違いない。ただし、引分けてしまうと、ナイジェリア対スウェーデンの結果次第で、ドイツと対戦する可能性を残してしまう。恐れず、侮らず、きっちりと勝ち点3を奪わなければいけない。

 気になるのはナイジェリアよりも、強行スケジュール。スウェーデン戦を見るために、アテネから陸路でボロスへ入ったファンなら、その疲労の大きさを体感しているはずだ。アテネから車で4時間。空港がある北部の大都市・テッサロニキからでも2時間はかかる。空港が無いボロスからアテネへの移動は、地図で見るよりも遥かにキツいのだ。タフなゲーム後、中2日のスケジュール。しかも、相手は新手だ。当然、控え選手も含めた18人全員での戦いになる。

 有利と不利は裏表。厳しいスケジュールも、1位抜けすれば対戦相手の足かせになる。そのアドバンテージを手に入れるためにも90分間の我慢比べに勝って欲しい。




<なでしこジャパン(日本女子五輪代表)メンバー> <ナイジェリア女子五輪代表メンバー>
(ゴールキーパー) (ゴールキーパー)
1  山郷のぞみ  Yamago, Nozomi 1  デデ  Dede, Precious
18  小野寺志保  Onodera, Shiho 18  オニナンヤ  Onyinanya, Ogechi
(ディフェンダー) (ディフェンダー)
2  矢野喬子  Yano, Kyoko 3  エゼ  Eze, Felicia
3  磯崎浩美  Isozaki, Hiromi 6  イキディ  Ikidi, Faith
4  大部由美  Obe, Yumi 12  オニェカ  Onyeka, Celestina
5  川上直子  Kawakami, Naoko 13  クダイシ  Kudaisi, Yinka
12  山岸靖代  Yamagishi, Yasuyo 14  サビ  Sabi, Akudo
13  下小鶴綾  Shimokozuru, Aya 17  ヌウォス  Nwosu, Chima
(ミッドフィルダー) (ミッドフィルダー)
6  酒井與惠  Sakai ,Tomoe 2  クポ  Ekpo, Effioanwan
7  山本絵美  Yamamoto, Emi 5  アメー  Ameh, Ajuma
8  宮本ともみ  Miyamoto, Tomomi 8  ヌワディケ  Nwadike, Rita
15  柳田美幸  Yanagita, Miyuki 10  アキデ  Akide, Mercy
16  小林弥生  Kobayashi, Yayoi 15  ママドゥ  Mmadu, Maureen
17  安藤梢  Ando, Kozue
(フォワード) (フォワード)
9  荒川恵理子  Arakawa, Eriko 4  ヌクウォチャ  Nkwocha,Perpetua
10  澤穂希  Sawa Homare 7  バッチュ  Mbachu, Stella
11  大谷未央  Otani, Mio 9  イグボジオヌ  Igbojionu, Blessing
14  丸山桂里奈  Maruyama, Karina 11  オコロ  Okolo, Vera
16  エグベ  Egbe, Nkechi
(バックアップメンバー) (バックアップメンバー)
19  宮崎有香  Miyazaki, Yuka 19  ゴドウィン  Godwin, Stella
20  近賀ゆかり  Kinga, Yukari 20  オトゥエ  Otuwe, Gift
21  鈴木智子  Suzuki, Tomoko 21  ウシータ  Usieta, Gloria
22  福元美穂  Fukumoto, Miho 22  ジョンソン  Johnson, Elizabeth
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