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 頑張れ!女子サッカー 04/09/15 (水) <前へ次へindexへ>

 地元・埼玉、堂々と決勝へ駒を進める。
 第59回国民体育大会(まごころ国体) 成年女子準決勝
 埼玉県成年女子代表vs.宮城県成年女子代表
 取材・文/西森彰
2004年9月13日(月)10:00キックオフ 越谷市立しらこばと運動公園競技場 観衆:2,000人 天候:晴
試合結果/埼玉県成年女子代表3−0宮城県成年女子代表(前半3−0、後半0−0)
得点経過/[埼玉]岩倉(19分)、オウンゴール(34分)、安藤(34分)


 第59回国民体育大会(まごころ国体)のサッカー競技は9月11日から14日までの4日間連続開催。各チームは主催県が自信を持って送り出した埼玉県成年女子代表は、現在L・リーグの首位を走るさいたまレイナスFCを中心に編成されている。バックスタンドには国体見学に来た小学生の一群が陣取り、きちんとみんなで行儀良く見ている学校、席を移動しながら友達としゃべりある学校など、双眼鏡で眺めていると傾向があって面白い。

 そんな地元の子供たちを含めて、観衆は2,000人。「主催県だから、大きな応援もあるし、期待というプレッシャーもある。『その中で何ができるか、というのを見ているよ』と選手たちには言っています」と埼玉の田口禎則コーチ(さいたまレイナスFC監督・今大会はコーチ登録)。この日の対戦相手は1回戦で伊賀FCくノ一を主力とする三重県成年女子代表をPK戦の末に振り切り、前日は広島県成年女子代表を7対1と破って、準決勝へ勝ち上がった宮城県成年女子代表である。



 試合開始からしばらくは一進一退の攻防。宮城は中村真実、遠原志穂美の両サイドが、さいたまのサイドへ積極的にチャレンジした。「宮城の3−5−2システムの両サイドからの攻撃を封じること。これが最大のポイントだと思っていた」(田口コーチ)埼玉はサイドハーフの木原梢と岩倉三恵が、負けじと高いポジションをキープしながらプレーする。互いにサイドで相手を後ろに引っ張りあう我慢比べを続けたが、攻撃回数の多い埼玉の圧力によって、宮城陣内でプレーが続くようになった。

 そして19分、4バックの右サイド・山本有理の攻撃参加から、宮城のペナルティボックス内へボールが送られる。ボールを受けた佐藤舞がキープしながら、宮城DFを引き付けておいてバックパス。岩倉がこれを落ち着いて決めて埼玉が先制点を挙げた。この得点から1分後、宮城も五十嵐章絵のミドルシュートがゴールバーを叩くチャンスがあったものの、その後は完全な埼玉ペースに。

 そして、35分ハーフで行われた前半のロスタイム。まずはASエルフェン狭山FCの若林エリから、パスを受けた安藤梢が宮城DFの寄せを掻い潜ってグラウンダーのシュートで2点目を加える(クリアに入った宮城DFの足に当たっていたので、試合後、記録上は宮城のオウンゴールに訂正)。さらに、中盤でボールを持つと巧みなフェイントでマークを交わし、左足で強烈なミドルシュートを放つ。この時間帯の2得点で試合は決まった。後半は得点を加えることはできなかったものの、埼玉はゲームを支配したまま試合終了の笛を聞いた。

 宮城はシュート4本に終わる完敗だった。中村、遠原が守備に追われてからは、攻撃の起点を失い、前線になかなか良い形でボールをつなげない悪循環に陥った。「両サイドを押し込んで相手を5バック状態にする」(田口コーチ)埼玉の術中に嵌ったと言えよう。だが、戦力縮小化傾向のある中での準決勝進出は立派。母体となるYKK APフラッパーズの後半戦巻き返しに期待したい。



「(『豪快な一発でしたね?』という質問に)はい、自分でも気持ちの良いゴールでした。ちょっとコースが高かったので入るかわからなかった。バーに当たった後、ゴールの中に入ってくれてホッとしました」(安藤)

 なでしこジャパンの一員として臨んだオリンピックでは、左サイドハーフでの起用を消化しきれず、悔しい思いをした。「なでしこジャパンのトップ下には澤穂希という素晴らしい選手がいる。安藤も良いものを持っていますが、トップ下で使われないのなら、使ってもらえるところでしっかりプレーしなければいけない。私は安藤にこう伝えました。『君が選べるのは自分がどういうプレーをするか。そして周りの選手をどう生かすかなんだよ。君は監督を選べないんだよ』と。安藤も分かってくれたようでした」(田口コーチ)。

 安藤自身にとってもオリンピックはネガティブなことばかりでは無かったようだ。「外国の選手が遠い位置からでもシュートを決めるのを見て良い刺激になりました」。この日のゴールはまさにそんな練習の賜物だ。レンジを伸ばすトレーニングは「以前からやっていましたよ。私は何も言いません。彼女が自主的に練習していたものです」(田口コーチ)。オリンピックでその意識がより強くなったのだろう。そんな安藤の活躍がこのチームを引っ張っている。

 埼玉の中心となるさいたまレイナスFCは攻撃力で2強と見劣っていたが、今年はイニシアチブを握った後も、しっかりと相手を崩せるチームに変わってきている。「いや、まだまだTASAKIさんなんかと比べると、DFラインから試合を作ることができません。ただし、彼女たちはこの1年で攻守の切り替えが本当に早くなりました。外から見ている人には、そこが成長した点に見えるのでしょう」(田口コーチ)。そして成長したチームは翌日、見事にひとつの壁を突き破ることになる。


(埼玉県成年女子代表) (宮城県成年女子代表)
GK: 山郷のぞみ GK: 石川敦惠
DF: 山本有里、田代久美子、笠嶋由恵、西口柄早 DF: 大部由美、宇野涼子、青木知里
MF: 高橋彩子、木原梢(68分/森本麻衣子)、岩倉三恵、安藤梢 MF: 北郷裕子、鹿毛亜希子、中村真実(H.T/棚橋美智子)、遠原志穂美、五十嵐章恵
FW: 佐藤舞、若林エリ(62分/法師人美佳) FW: 鮫島彩(H.T/本間真喜子)、佐藤春詠
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