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 頑張れ!女子サッカー 04/12/21 (火) <前へ次へindexへ>

 新生なでしこジャパン、チャイニーズ・タイペイを圧倒!!
 キリンチャレンジカップ2004 日本女子代表vs.チャイニーズ・タイペイ女子代表

 文/西岡貴史
2004年12月18日(土)14:00キックオフ 国立スポーツセンター西が丘サッカー場 観衆:3549人 天候:晴
試合結果/日本女子代表11−0チャイニーズ・タイペイ(前8−0、後3−0)
得点経過/[日本]荒川(5分)、宮間(8分)、大野(9分)、宮間(20分)、大野(23分)、澤(39分)、荒川(40分)、大野(42分)、北本(56分、68分、92+分)


 アテネ五輪でベスト8進出を果たしてから4ヶ月、「なでしこジャパン」が帰ってきた。大橋浩司新監督が率いる「なでしこジャパン」の初陣の舞台。しかも、日本女子の国際Aマッチとしては初めて単独で開催されることもあって注目度は高く、スタジアムの周りには、開場時間を待ちきれないファンとサポーターが早くから列を作った。新生なでしこジャパンの先発にはどんな顔ぶれが並び、そしてどんなサッカーを見せるのか。誰もが期待に胸を膨らませている。

 大橋監督が選択したフォーメーションは4−2−3−1。注目を集めるのが2列目の両サイドに起用された宮間あや(岡山湯郷Belle)と大野忍(日テレ・ベレーザ)の2人だ。ともに代表戦は初先発だが、足元の技術の高さと攻撃力には、元々定評のある選手。世界に通用するスキルの高さを大切にする大橋監督にすれば当然のファーストチョイスだったのだろう。そして、もう1人の注目選手が代表初選出の高校生プレーヤー・豊田奈夕葉(日テレ・ベレーザ)。負けん気の強そうな顔つきとアップの時から存在感を感じさせる立ち振る舞いは大器の片鱗を窺わせた。



 注目の試合は日本の一方的なペースで進んだ。開始直後の5分、荒川恵理子(日テレ・ベレーザ)がゴールネットを揺らすと、わずか4分間の間に3得点。そして20分に宮間が4点目をゲットすると、ここから前半だけで5点を追加。チャイニーズ・タイペイにシュートを打たせなかったばかりか、ハーフウェイラインを越えることさえも許さなかった。もともと実力では日本が上。さらに相手は平均年齢が20歳のチームという事情もあった。しかし、そんな事情を差し引いても日本の圧倒的な攻撃力が目立った前半だった。

 日本の攻撃は酒井から始まる。ボールを左右に捌いてから小刻みにパスを回し、そして荒川恵理子(日テレ・ベレーザ)へ。荒川がボールをキープしている間に、右から宮間、左から大野が中へ絞って攻撃を仕掛ける。そして、全員で引いて守るチャイニーズ・タイペイの注意を中へ引き付けておいて、両サイドに出来たスペースに川上、豊田がオーバーラップを仕掛ける。選手の個人戦術・スキルの高さに裏付けられたサッカーだった。

 メンバーを6人入れ替えた後半も日本はチャイニーズ・タイペイを圧倒。後半から出場した北本綾子(さいたまレイナス)がハットトリックを達成してトータルスコア11−0でチャイニーズ・タイペイを下した。しかし、後半は組織力という面では課題も残った。このシステムでは、1トップのキープ力と、2列目の左右の選手の動き出しとポジショニングがポイントとなるのだが、そういう点では前半と比較すると物足りなさが残ったことは否めない。



 さて、荒川の力強いポストプレーに支えられての4−2−3−1システムだが、この攻撃的なシステムを機能させたのは2列目でプレーした宮間と大野の活躍があってこそと言える。左サイドで先発した大野の役割は、荒川に絡んで2列目から積極的に裏を狙うこと。その狙い通り、得意のドリブルで何度も最終ラインを切り裂き、CKに頭で合わせてゴールを奪ったほかに、スピードで裏へ飛び出して点で合わせるという得意のパターンで2ゴールを奪った。

 右サイドの宮間の役割はゴールを狙うことはもちろん、類まれなセンスを生かして2列目からの攻撃の起点を作ること。やや絞った位置で起点を作り、ゴール前に飛び込む選手、そしてサイドを駆け上がる川上と連携してチャンスの山を作り出し、自身の2得点を含め、前半の8ゴールのうち7得点に絡む大活躍を見せた。圧巻は6点目を生んだ澤へのラストパス。相手のDFが密集してスペースが殆どない場面だったが、高さ、コース、スピードともに、ここしかないところへ左足でボールを送り、ピンポイントで澤の頭に合わせた。

 そして、もう一人の注目の選手である豊田も、代表初選出とは思えない落ち着いたプレーを披露。左サイドのスペースを見つけて駆け上がり、終始、高い位置でのプレーを心がけた。いくつかのミスもあったが、18歳という若さと初選出ということを考えれば許容範囲。これからが楽しみな選手だ。



 チャイニーズ・タイペイとの力の差があったこともあり、お披露目のような試合になったが、それでも「新生なでしこジャパン」の方向性を垣間見ることが出来た一戦だった。日本が世界のトップクラスと戦えるようになるためには、体格で差がある欧米諸国との競り合いに勝つことが大きなポイント。そのために、フィジカルを鍛えることも手段のひとつだが、その差を戦術・技術のスキルアップで埋めるという考えが強く反映しているように見えた。宮間、大野の先発起用と、この2人の大活躍は、こうした考えに裏付けられてのことだろう。

 しかし、この試合は「新生なでしこジャパン」の初陣。これから様々な選手を集め、様々なトレーニングを積んでいく上で、少しずつ修正をしながらチームが出来上がっていく。この日試したシステムと、この日の先発メンバーが「なでしこジャパン」であるという保障はどこにもない。むしろ、激しい競争は今から始まったと言うべきだ。果たして、「なでしこジャパン」はどんなチームに仕上がるのか。これからの活動に注目したい。





(なでしこジャパン) (チャイニーズ・タイペイ)
GK: 山郷のぞみ GK: 陳 惠珊(54分/黄 思甄)
DF: 磯崎浩美 川上直子(65分/山岸靖代) 下小鶴綾(80分/四方菜穂) 豊田奈夕葉 DF: 余 佩■、許 綺玲、郭 慈惠、呉 欣容(11分/劉 嘉倫)
MF: 酒井與惠(59分/原歩) 柳田美幸 宮間あや(HT/丸山桂里奈) MF: 李 淑清(87分/林 信秀)、林 佳鳳(80分/盧 家□)、藍 美芬
FW: 澤穂希 荒川恵理子(HT/北本綾子) 大野忍(HT/安藤梢) FW: 莊 淑美(59分/羅 淑芬)、林 玉惠(73分/蔡 利真)、蔡 欣云
※■=かんむりが「雨」、あしが「文」、□=へんが「王」、つくりが「文」
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