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 頑張れ!女子サッカー 05/04/08 (金) <前へ次へindexへ>
環境がどれだけの力を与えるか。TEPCOの躍進が発展の鍵を握る。

 開幕!!なでしこリーグ その2
 第17回L・リーグ開幕直前特集(後編)

 文/文/西森彰
 なでしこブームの影響か、今シーズンは女子サッカーを取り巻く環境にポジティブな変化が見られた。日テレ・ベレーザの主力選手がアルバイトから社員へと待遇が改善されたり、さいたまレイナスFCが浦和レッズの傘下に入ったり…。

 その中でも、環境が劇的に改善されたのが東京電力女子サッカー部マリーゼである。母体となっている東京電力鰍フバックアップも大きく、最初の対Lクラブとなったさいたま(現浦和)戦では、4千人の招待者だけでなく、落選者にもグッズを配布するなど、応援キャンペーンを展開。YKK AP時代からのファンも取り込んで、盛り上がりを推進している。

 県内メディアのバックアップも大きく、NHK福島では、開幕戦(岡山湯郷戦)を地上波で中継する。また、さいたま戦を中継した福島テレビでは「OH!MYマリーゼ オーレ!」というミニ情報番組を毎週放送し、マリーゼのCFも流されている。福島民報、福島民友などの地元有力紙も、事あるごとに記事で取り上げている。この地元の大きな期待に応えたい。

 戦力面でもYKK AP時代の選手をベースに、日本体育大学を卒業した丸山桂里奈、TASAKIペルーレFCを退団していた早坂優らを獲得。補強もままならなかったYKK APフラッパーズの末期に比べると戦力アップは歴然だ。だが、大部由美が言うように「それでいきなり優勝できるほど甘くはない」。チーム移管の手続きなどでチームの始動は、他に比べて半月ほど遅れた。またケガ人や体調を崩す選手が相次ぎ、実質的にスタートが切れたのは新戦力が合流した3月半ばから。仕上がりの面で若干の不安を抱えているのも事実だ。



カクテルライトの下、宝塚は2組に分かれて練習を行なっていた。
TASAKI仲井監督も「高槻はかなり良くなっている」と警戒感を強める。
 宝塚バニーズレディースSCは、幾多のスーパーセーブでゴールマウスを守った守護神・安田真季ら、昨年の主力を含め多数の選手がクラブを離脱した。しかし、同じ兵庫県勢のTASAKIペルーレFC・仲井昇監督は「宝塚は選手が入れ替わっても、きっちりと仕上げてくるところですから」と、その復元力を認めている。女性指揮官・島田素英監督のもと新チーム作りの最中。忍びの里レディーストーナメントでは4バックと3バックを併用していた。

 岡山湯郷の本田美登里監督が「宝塚には、粘りのディフェンスがありますから」と言うとおり、そのサバイバル能力は大したもの。一昨年のL1参入決定戦では、大本命の岡山湯郷、そしてASエルフェン狭山FCをアウェーで降して、見事にL1参入を決定。昨年もYKK APフラッパーズ、スペランツァF.C.高槻、大原学園JaSRAらの、下位勢との対戦では互角以上の戦いを演じている。

 L1参入決定戦で見る通り、アウェーゲームも苦にしない。だが、これは本当の意味でのホームゲームを行なえないハンデの副産物。地元・宝塚市にL・リーグを開催できるグラウンドが無いため、今年の開幕戦も主催ゲームながら、相手の本拠地・高槻市萩谷総合運動公園サッカー場で行なわれる。当面の目標となるL1残留へ向けて極めて重要な意味を持つこの高槻戦も、アウェーで開催せざるを得ないのだ。



 L1所属8チーム、L2所属7チームの全てに先駆けて、宝塚と開幕戦を行なうスペランツァF.C.高槻も、下小鶴綾が大学卒業に伴って退団(TASAKIへ移籍)。その豊富な経験をチームに還元していた高倉麻子も引退し、昨年から残ったメンバーは12名。「今シーズンのウチは、ただ勝つだけでなく、環境面の改善も目指していかなければいけません」と、福永亜紀監督も成績だけでなく、苦しいクラブ事情の好転にも目を配っている。

 下部組織・ラガッツァFC高槻スペランツァには、新たな才能が育ちつつある。しかし、同年代限定のステージで勝つことに満足してしまっている彼女らが、福永監督からしてみると歯がゆい。「遊び半分でもできてしまうから。そこで満足して天狗になってしまう選手が多い」。今の高槻の主力にもラガッツァ出身の選手は多く、その背中を追いかけ追い越すだけの努力をしてほしい。

 このチームの軸は新たにキャプテンとなった庭田亜樹子だろう。シーズン半ばまで3勝4敗とまずまずの成績を残しながら、後半戦は2分け5敗。大崩れの原因は、ケガ人の続出だが、とりわけ庭田の負傷が痛かった。運動量豊富に中盤を駆け回ってリンクマンの役割を果たすかと思うと、一発のスルーパスを前線に供給する。昨シーズンは2列目をすることも多かったが、今シーズンはボランチとして起用されそうだ。



作陽高校の胸を借りる岡山湯郷。サプライズを起こせるか?
 L1所属8チームの最後にご紹介するのが、L2から昇格した岡山湯郷Belleだ。岡山県北部の美作町(現美作市)が町おこしの一環としてスタートさせ、創部5年目を迎える今シーズン、ようやくL1の舞台に上がった。「大宮がガンバ相手に見せたようなサプライズを起こしたい。やっぱり、ああいうのは自分たちに重ねちゃいますね」と本田美登里監督。シーズン開幕が近づくにつれ気合が入ってきている。

 攻撃を司るのは宮間あや。「最近、あまり見ないサッカー小僧。移動中のバスの中でもゴムボールをリフティングしているくらい」(本田監督)。日本の女子サッカー界でも1、2を争うファンタジスタだ。大型FWの田中静佳、スピードスターの中田麻衣子が前線に張り、ベンチにも鈴木保L・リーグ事務局長が太鼓判を押す、中学生FW・加戸由佳が控える。

 ディフェンスは昨年L2を勝ち抜いた3バックから、4バックにシステムを変更。守護神・福元美穂も、なでしこジャパンに選出されている大型GKで、リーグ後半戦は超攻撃的布陣にも関わらず、PK以外に失点を喫していない。そして、最終ラインの藤井奈々とボランチの北岡幸子が、これまでに培ってきた経験を若いチームに還元し、波を抑える役割を果たしている。

 昇格が見えてきた昨年の秋に「今のままではL1でも6位くらい。良い準備をすれば3強の下、伊賀の上を狙えると思う」と語っていた宮間。その後、さいたま(現浦和)にお灸を据えられ、作陽高校の男子チームにぶん投げられながら、レベルアップを図ってきた。NHK岡山でも地上波放送が行なわれるTEPCO戦は、完成度の差を生かしたい。



 L2については、開幕前の練習やプレシーズンマッチを見ていないところも多く、詳細については割愛させていただきたい。昇格争いは、返り咲きを狙う大原学園JaSRAと、昨年2位のアルビレックス新潟レディースが一応の中心。これに続くのは昨年3位のASエルフェン狭山FCと、今季からL2に参戦してきたINACレオネッサか。

 躍進著しいルネサンス熊本は、昨シーズンの忍びの里で林田と良い連携を見せていた塚本舞の加入が効いてくるはずだ。清水第八SCは環境・ハードの面から改善している途中。ジェフユナイテッド市原・千葉レディースもJクラブ系チームとして、今シーズンは意地を見せたい。

 一人の加入、一人の離脱ですぐに力関係が変わるL2。こちらもできる限りスケジュールに折り合いをつけながら、中倉編集長ら各スタッフとレポートを掲載していく予定だ。

 選手、スタッフ他関係者の皆様、そして読者の皆様、今シーズンもよろしくお願いいたします。

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