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 頑張れ!女子サッカー 05/06/07 (火) <前へ次へindexへ>
早く「勝ち点3」という結果が欲しい宝塚。

 浦和、安藤のハットトリックで、健闘・宝塚を逆転。
 2005L1リーグ 第8節 宝塚バニーズレディースSCvs.浦和レッドダイヤモンズレディース

 取材・文/西森彰
2005年6月5日(日)11:30キックオフ 高槻市萩谷総合運動公園サッカー場 観衆:約500人 天候:晴
試合結果/宝塚バニーズレディースSC2−4浦和レッドダイヤモンズレディース(前2−1、後0−3)
得点経過/[宝塚]今枝(19分、21分)、[浦和]安藤(31分、47分、76分)、若林(55分)


「つい3ヶ月前まで女子サッカーを知らなかった人間が、チャンピオンチームをいきなり『ホイッ』と渡されたわけなんですから。プレッシャーもあるし、何といっても他チームとの力差がまだ把握できていない部分が辛いです。今日も『前半で3対0』を目標にしていたら、とんでもない展開になるし…」

 今年から浦和レッドダイヤモンズレディースの指揮を取ることになった坂庭泉監督。上のセリフは神戸ユニバー総合運動公園陸上競技場で、宝塚バニーズレディースSCに1対3の辛勝を収めた時のものだ。3月にチームが移管し、自チームの選手たちを把握するだけでも手一杯。まして、相手のチームに対する予備知識はゼロ。これではゲームプランを立てるにも立てられない。手探り状態の中でこなした第1クール、4勝3敗の5位は及第点と言えるだろう。

 その第1クールの対戦では、前半を見た大橋浩司・なでしこジャパン監督をして「浦和よりも良いサッカーをしていますね」と感心させた宝塚。浦和、TASAKIと強豪相手に先制し、力の片鱗は見せているのだが結果がついてこない。「サッカーは結果が全てですから。『頑張った、良くやった』で終わらせていてはダメ」。7連敗の厳しい現実と向き合う島田素英監督のチームは、厳しい戦いを続けている。



 なでしこジャパンの親善試合や、ユニバーシアード代表の合宿等で、与えられた3週間の中断期間、どちらのチームも時間をかけて対処してきた。浦和が取り組んだのは新フォーメーション。中盤をそれまでのダイヤモンドからボックスに変えた。ダブルボランチに高橋彩子と岩倉三恵、その前方で右に北本綾子、左に木原梢。エース・安藤梢は若林エリと最前線に置かれた。

「一回り戦ってみてそれぞれの選手の特徴を私なりに掴んで、それを生かせるような布陣にしました。まず、高橋の1ボランチではきついのでダイヤモンドからボックスに。そして北本は、自分で強引に抜けていくようなシーンが少なかったので2列目の右に、反対に安藤にはもう少し高い位置で後ろの選手にボールを落としてもらいたくて、一番前に置きました」(浦和・坂庭監督)

 もっとも、中断期間も代表組は抜け、安藤たちが新フォーメーションで練習できたのはたった2日。おまけにDFリーダーの田代久美子ら、負傷による欠場者も出ていた。恐る恐るという感じで立ち上がったディフェンディング・チャンピオン。そこを失うものの無いチャレンジャーが襲った。



ドリブルでつっかける宝塚・三浦。浦和を最後まで苦しめた。
 宝塚は「後ろをしっかり守って、縦に早く攻める」をコンセプトに、カバーリング等守備を再確認するとともに、フィジカルトレーニングを積み、厳しい戦いに備えてきた。コイントスに勝って風上を選び、立ち上がりから激しく立ち上がった。中盤から激しいプレスをかけ、こぼれ球やルーズボールの競り合いを次々に制する。

「向こうがボーっとしていた部分も」(島田監督・宝塚)確かにあったが、スペースに走る今枝梢、三浦香子目がけて、縦に速いボールを入れて、凹凸ができた浦和の最終ラインを脅かす。最初の決定機こそ浦和が生み出したが、その後は完全に宝塚がペースを握る。

 14分、阪上由紀代からのロングボールを、右外のスペースで受けた三浦がドンピシャのタイミングでシュート。16分にはボランチ・清原祐子のロングシュート。17分にもロングボールを三浦が走り勝ってシュートまで持っていく。三浦の2本のシュートは浦和GK・小金丸幸恵のビッグセーブに防がれ、清原のシュートもポストに弾かれたが、ゴールの匂いは漂ってきた。

 そしてそれが現実のものとなったのは19分。清原からのパスを今枝が受けてシュート。再三、好セーブを見せていた小金丸だったが、これはノーチャンスだった。呆然とする浦和に追い討ちをかける宝塚の選手たち。2分後、相手ゴール前で生まれた混戦を制し、ボールを奪った今枝が再び浦和のゴールネットを揺らす。その直後にも浦和DF・笠嶋のブロックに防がれたものの、三浦が決定機を迎える。思いがけない展開にスタンドが騒然とし始めた。



浦和・安藤はPKでハットトリックを達成。
 そこまでフィフティボールでひとつも勝てない浦和。「あの前半はシステムとか、どうとかいう問題じゃありませんね。今シーズン、ずっとああやって『受けて立ってやろう』と戦っている。受けて立てるほどの力は無いのに。それがこのチームの一番の問題」と坂庭監督が嘆いた。「前年度女王」という看板をどこか捨てきれない、消極的姿勢がこの日も顔を覗かせていた。

 その悪い流れが断ち切られたのが31分。ペナルティボックス手前で岩倉からのボールを受けた安藤が、前を向いてドリブルに入り、フェイントで簡単にDFの体勢を崩し、コースを作る。安藤のファーストシュートが宝塚のゴールネットを揺らした。

 この直後、宝塚ゴールで転がっているボール目がけて浦和の19番が猛然と走った。勢い余って転倒するが、ボールを小脇に抱えて素早く起き上がり、センターサークルを目指す。若林が見せた泥臭いこの姿勢こそ、昨年のさいたまレイナスFCが持っていたハートだった。ようやく浦和が目覚めた。

 ハーフタイムに坂庭監督が喝を入れたこともあり、後半は見違えるような動きになった浦和。47分に再び安藤のゴールで同点に追いつくと、そこからチャンスの山を築く。中断期間に持久力をアップさせていた宝塚も、1点を取られると集中が切れていたこれまでのような戦いぶりが嘘のような抵抗を見せるが、もう流れは戻らなかった。

 55分、木原からのパスで右サイドを抜け出した若林が逆転ゴールを奪う。さらに高橋が倒されて得たPKを安藤がきっちりと決めてハットトリック達成。「決定的なシーンで、シュートをきっちりと枠に入れてくる。その辺りの違いもあったと思います」(島田監督)。粘る宝塚を、文字通り振り切る形で、浦和が今シーズン5勝目を手に入れた。



そろそろ実力を発揮したい前年度女王・浦和。
 宝塚は、またもや奮闘が結果につながらず、8敗目を喫した。「(惜しいゲームでしたが)いや、一瞬でも勝ったとかそういうことは思いませんでした。ただ、決定的なシーンは向こうと同じくらいあったと思う。やっぱりそこで入れられないとリーグでは勝てませんね」と島田監督は振り返った。それでも開幕時と比べてゲーム内容は格段に向上している。

「いまさら難しいことをやろうとしてもできないし、基本をひとつずつきちんとこなしていきます。そして少しでも多く、相手のゴールネットを揺らせるようにしていきたい」と島田監督。だからこそ、早い時期に勝利という形で、継続していることの方向性を確かめたい。


 さて、勝利した浦和だが、前半の戦いぶりは小首を傾げざるを得ない内容。田口前監督時代から受けて立つ戦いになると脆さを見せていたが、その悪癖は残っているようだ。「昨年、チャンピオンになっちゃっていますし、レッズということでホームの試合になると3,000人くらいのお客さんが来る。受けて立つのは仕方ないにしても『負けられない』というプレッシャーに負けてしまっています」と坂庭監督。

 また、有力クラブらしく代表合宿になると数名単位で選手が引き抜かれるようになった。チームの全体練習にも影響が出始めている。さらにこの6月は北本、森本麻衣子が教育実習に参加し、平日練習には参加できない。今後、東京電力女子サッカー部マリーゼ、そして伊賀FCくノ一と上位チームとの直接対決が続く中で厳しい状況だ。それでも坂庭監督は女子サッカー界全体を見渡し、ポジティブな方向に捉えている。

「ウチはクラブチームですし、チームの中で教育学部の選手が教育実習に行く、周りの選手がそれを認めてあげる、というのは良いことだと思います。100%サッカーだけというのも否定しませんが、自分の生き方を広げる上で良いことにはどんどんチャレンジしたほうが良いし、もっと学生や、既婚者、子連れの選手が出てきても良いと思います」

 女子サッカー未経験の指導者が、結果を出すまで時間がかかるのは当然のこと。試行錯誤しながら、チーム力アップを図る過程をファンと一緒に見守りたい。


(宝塚バニーズレディースSC) (浦和レッドダイヤモンズレディース)
GK: 伊藤美華 GK: 小金丸幸恵
DF: 小林恵、田中真由美、阪上由紀代、近藤朋香 DF: 山本有里、笠井香織、笠嶋由恵、西口柄早
MF: 清原祐子(66分/柏原慶子)、重松真由美、伊丹絵美、矢田貝実希子 MF: 高橋彩子(89分/待井菜々子)、岩倉三恵、北本綾子(81分/保坂のどか)、木原梢
FW: 今枝梢(78分/上田早紀子)、三浦香子 FW: 若林エリ(86分/松田典子)、安藤梢
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