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 頑張れ!女子サッカー 05/08/04 (木) <前へ次へindexへ>

 大橋ジャパン、厳しい船出。北朝鮮女子代表にリベンジを許す。
 東アジア女子サッカー大会2005 なでしこジャパン(日本女子代表)vs.北朝鮮女子代表

 文/西森彰
2005年8月1日(土)19:30キックオフ 韓国・全州ワールドカップスタジアム
試合結果/日本女子代表0−1北朝鮮女子代表(前0−1、後0−0)
得点経過/[北朝鮮]リ・ウンスク(38分)


 女子サッカーの世界地図にはミドルイーストがぽっかりと抜け落ちている。おそらく宗教上の理由が一番大きいのだろう。昨年、日本で開催されたアテネ五輪予選に参加した国も多くは東アジア、そして東南アジアの諸国。力関係では北朝鮮、中国が2強を形成し、少し離れて日本、そして韓国が追う構図であるから、この「東アジア女子サッカー大会」の勝者はすなわち現時点での「アジア女王」と言える。

 もっともこの4カ国内の力関係は徐々に変化してきており、一昨年に韓国が日本の壁を破り、女子ワールドカップに出場権を一足先に手にすると、昨年は日本が北朝鮮を破ってアテネ五輪に出場。昨年の五輪予選でも優勝し、一時は五輪本大会でも優勝を争っていた中国は、アテネ五輪で屈辱の予選グループ落ちを喫した。現時点での評価は不透明なものがある。実際、今大会初戦ではホームの韓国が、中国を破るサプライズも起こしている。

 その結果を受けての第2試合が日本対北朝鮮。北朝鮮にとっては、昨年のリベンジ・マッチとなる。一方の日本にとっても、この韓国で行なわれたユニバーシアード大会決勝で北朝鮮に敗北を喫している。スタンドのほぼ全員が北朝鮮を応援する異様な雰囲気の中で敗れた借りをここで返し、力関係が完全に逆転したことを内外に知らせたい。日本でもゴールデン・タイムに生中継されたこの試合は、互いの意地がぶつかる消耗戦になった。



 この日も4−2−3−1で布陣した日本に対し、北朝鮮も予想通り4−3−3。注目はシステム上、どうしても喧嘩四つになる、中盤の戦いだった。酒井與惠、柳田美幸のダブルボランチにボールを当てて展開したい日本だが、北朝鮮の強烈なプレスが高い位置から襲い掛かる。後方からビルドアップしていく日本の特徴を研究していたかのような戦いぶり。壮行試合のオーストラリア女子代表戦同様、日本は苦しい戦いを余儀なくされた。

 大橋浩司監督が言う「ハイプレッシャー」の中での戦いで、日本は徐々に自分たちのペースを失っていく。相手をパスでいなしてボールポゼッションを確保しながら、バイタルエリアに侵入するチャンスを窺う。その自分たちのサッカーができない。日本ボールになっても、前の選手がマークされている所へ蹴っては、また奪い返される。とにかく縦にボールを入れる北朝鮮のペースに巻き込まれてしまったのだ。

 そしてこの試合唯一のゴールが生まれたのは、前半も残り僅か。北朝鮮がカウンターから、チョウ・ユンミが右サイドでボールをキープしてフォローを待つと、サイドバックのソン・ジョンスクが苦しい時間帯で基本に忠実なウェーブを行い、矢野喬子の背後に走ってパスを呼び込む。完全にフリーになったソン・ジョンスクを見て、日本はキャプテンの磯崎浩美が、仕方なくこれを防ぎに中央のブロックから移動する。

 ソン・ジョンスクは一度、センタリングを磯崎にぶつけてしまったが、後方でフリーのチョウ・ユンミにボールを戻す。それまで常にターゲットになっていたリ・クムスクへのハイ・ボールを警戒した瞬間、ニアサイドのリ・ウンスクへグラウンダーのボールが出た。リ・ウンスクは下小鶴綾を背負いながら、利き足の前方にボールを転がし、振り向きざまのシュート。下小鶴のブロック、山郷のぞみのセーブも僅かに届かず、日本のゴールネットが揺れた。



 1点を追う日本はハーフタイムに大野忍を大谷未央に交代。さらに60分過ぎにDFの豊田奈夕葉を下げて、宮間あやを投入。壮行試合で好感触を得ている3バックにシステムを変更し、中盤から前の選手を増やすことでイニシアチブを奪い返しに行く。前半から飛ばしていた北朝鮮の選手はリ・クムスクを始めとして、次々に足を攣っていくが、それでも抵抗を止めない。

 大会全体の優勝を狙う意味ではこのスコアをキープしつつ同点を狙う考え方もあったが、大橋監督が目指したのはあくまでこのゲームでの勝利。残り10分を切って最後の選手交代は酒井與惠から丸山桂里奈。柳田の1ボランチに、安藤梢、澤、宮間の中盤。そして前方には丸山、永里優季、大谷という超攻撃的布陣。さすがの北朝鮮も受けに回るが、ゴール前に白い壁を作ってゴールを許さない。

 終盤、セットプレーのチャンスをいくつか得た日本だが、最後まで北朝鮮の集中は途切れなかった。0対1。男子A代表と同じスコアで、なでしこジャパンも初戦を落としてしまった。



「自分たちが主導権を握って、北朝鮮、中国と戦う」という大橋監督の目標は、この試合においては達成できなかった。フレッシュな時間帯に、相手のサッカーにつき合わされ、無駄なガソリンを消費させられた。そして自分たちがペースを奪い返した頃には、すでに大きな展開を試みるだけのキックを行うだけの足が残っていなかった。日本に自分たちのサッカーをさせなかったのは、2日後の試合のことなど忘れたかのようにハイプレッシャーをかけ続けた北朝鮮の気迫だった。その結果、消耗戦に陥った。

 大きな展開ができなくなっていた日本、ファールでしか止められなくなっていた北朝鮮。その状況下でサイドに交代選手を投入していった大橋監督の采配にも疑問が残る。両軍選手の疲労度を考えると、丸山、宮間らを中央に入れていればボールタッチの機会はさらに増えたはずだし、最悪でもFKを拾えたように思う。壮行試合同様、選手交代でシステムを動かしても大きな混乱は起きなかったが、あの時以上の効果があっただろうか。

 幸い、このゲームを落としたからといって大会が終わるわけではない。まだ強敵の中国、そして開催国・韓国とのゲームを残している。理想を高く掲げる大橋監督のサッカーが、苦しいアウェーの試合でどこまで通用するか。中国戦以降も注目したい。


(日本女子代表) (北朝鮮女子代表)
GK: 山郷のぞみ GK: ハン・ヘヨン
DF: 豊田奈夕葉(62分/宮間あや)、磯崎浩美、下小鶴綾、矢野喬子 DF: ソン・ジョンスク、キム・ファソン、コン・ヘオク、オム・ジョンラン
MF: 酒井與惠(82分/丸山桂里奈)、柳田美幸、安藤梢、澤穂希、大野忍(H.T/大谷未央) MF: チョウ・ユンミ(72分/キム・タイシル)、リ・ウンスク、リ・ウンギョン
FW: 永里優季 FW: パク・キョンスン、リ・クムスク、ホ・スンフィ
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