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 頑張れ!女子サッカー 05/08/05 (金) <前へ次へindexへ>

 取り逃がした勝ち点3、そしてアジア初タイトル。
 東アジア女子サッカー大会2005 なでしこジャパン(日本女子代表)vs.中国女子代表

 文/西森彰
2005年8月3日(水)17:30キックオフ 韓国・大田ワールドカップスタジアム
試合結果/日本女子代表0−0中国女子代表(前0−0、後0−0)


 初戦の北朝鮮戦で最後の猛攻実らず、敗戦スタートとなった日本女子代表=なでしこジャパン。第2戦の相手はアテネ五輪予選の決勝で敗れた中国女子代表である。こちらも韓国女子代表に敗れ、今年に入ってからの調子落ちを裏付けた。日本にとっては、中国に対する苦手意識を払拭し、優勝に望みをつなげたいところ。



 この日の日本は4-4-2。北朝鮮戦では相手の強い攻撃力に備えて守備力の高い4名を揃えていたが、この日のDFラインは右から矢野喬子、磯崎浩美、下小鶴綾、宇津木瑠美。初戦で先発した豊田奈夕葉がサブに下がり、豊田のいた右に矢野、矢野のいた左に宇津木が起用された。もちろん、キープレーヤーになるのは宇津木。大橋浩司監督が、4バックと3バックを兼ねられる選手として右の川上直子と並べて挙げていた若手だ。

 この日、宇津木は大橋監督の期待に応えた。中国の右ウイング・Bi Yanを手玉に取り、攻撃に守備にタイミングよくポジションを取る。Han Duan、Ji Tingには、矢野、磯崎、下小鶴が数的優位を作って対応する。何回か危ない場面もあったが、それはあくまでサッカーという競技で訪れるピンチの範囲内。決定的なミスは無く、DF陣の踏ん張りが日本の優勢に寄与した。

 中盤でも4対3、5対4と常に人数で勝った。これは大谷未央と永里優季の2トップが左右に流れる動きを見せて、サイドバックを最終ラインに釘付けしたから。左右に振りながら展開する日本のボール回しに振り回された中国の選手たちは時間を追うごとに動けなくなっていった。



「頃や良し」

 中盤にスペースが生まれたのを見て、大橋監督が勝負に出る。キックオフから縦横に動き回って中国の選手たちを道連れにした安藤梢を下げ、宮間あやを投入する。宮間は相手の出方に合わせるのではなく、自分からスペースに動くことで相手に合わさせるタイプ。宮間の投入は五分五分の展開から主導権を奪いに行く意思表示だ。

 さらに点で合わせられるタイプの大谷から、ドリブラーの大野忍への交代。鉛のように足が重い中国のDFにとっては災難以外の何物でもない。永里もペナルティボックスに居座ってプレッシャーをかけ、2トップのマークで空いたスペースを埋めるために中盤の選手がカバーに戻る。そしてボールホルダーを追い回す役目は必然的にFWに…。北朝鮮戦の日本のように、中国は悪魔のサイクルに陥った。

 これを見て日本は最終ラインがハーフウェーラインまで上がり、相手陣内でコンパクトな布陣をする。もうDFというよりは左サイドハーフになっている宇津木、途中交代の宮間、中盤を制圧した酒井與惠と柳田美幸ら複数の選手が起点になって、日本のチャンスが生まれる。中国をロープ際に追い込んだ日本にとって、残る問題はフィニッシュだけだった。

 だが、永里へのクロスは僅かに合わない。柳田のシュートは僅かに枠をはずれる。ロスタイムに意表を突いた宮間のパスを受けて放った、澤穂希のシュートはGKに防がれる。最後に左から入ったクロスに澤が飛び込み合わせたが、これもクロスバーを直撃し、ゴールの外へ消えていった。0対0のスコアレスドロー。八面六臂の活躍を見せていた澤は、試合終了の笛を聞くと大の字に倒れこんだ。



 北朝鮮戦同様、終盤にペースを掴んだなでしこジャパンだが、チャンスの山を築きながら、決定力不足に泣いた。シュートミスはそれまでのプレーで選手の足が上がっていたのが原因。これを解消するには「バランス良く全員が動く」というのが理想だが、それがチーム作りの段階で出来るはずもない。「守備をある程度サボらせる」か、「ボールを引き出しに行く回数を減らす」かだが、それはチーム全体が壊れるリスクも孕んでいる。

 現時的な策としては、途中出場の選手たちにボールを預けることを徹底すること。幸い、初戦の丸山桂里奈や大野のようなドリブラー、そして宮間のようなテクニシャンがベンチには残っている。シュート力が十分に残っているフレッシュな選手にボールを回すことで、他の選手たちの負担も減り、プレーの精度が増すはずだ。

 翌日に行なわれた北朝鮮女子代表と韓国女子代表の試合は、開催国の韓国が北朝鮮に勝つアップセットを演じた。よっぽど凄いホームタウン・デシジョンが効いたのか。もしくは調子の悪い中国、日本戦で消耗しきっていた北朝鮮という順番で当たれる試合日程に恵まれていたのか。いや、それらがあったとしても、日本が勝てなかった2強に対して連勝したのだから、力をつけているのは間違いない。

 すでに優勝の目は消えた。それでもまだまだやらなければいけない課題は残っている。勢いのあるホームチームが相手。望むところじゃないか。今やっていることへの手応えと信頼を持ち帰るために、最終戦は必勝を期して欲しい。


(日本女子代表) (中国女子代表)
GK: 山郷のぞみ GK: Xiao Zhen
DF: 矢野喬子、磯崎浩美、下小鶴綾、宇津木瑠美 DF: Ge Yang、Zhang Ying、Li Jie、Wang Jian
MF: 酒井與惠、柳田美幸、安藤梢(69分/宮間あや)、澤穂希 MF: Qu Feifei、Pan Lina、Yuan Fan
FW: 大谷未央(75分/大野忍)、永里優季 FW: Bi Yan、Han Duan(58分/Teng Wei)、Ji Ting
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