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 頑張れ!女子サッカー 05/09/20 (火) <前へ次へindexへ>
Jヴィレッジ・ニュージーランド戦からはシステムも選手も大幅に変わった。

 本田ジャパン、世界への挑戦 (4)
 〜ユニバーシアード日本女子代表戦記〜

 取材・文/西森彰
 8月10日(水)、20時30分、ハルカプナーシ・フットボールスタジアムビルで、ユニバーシアード日本女子代表の本大会が始まった。チェコ女子代表とのゲームのメンバーは下記のとおり。先発は対清水FCジュニアユース戦で固めていた11人である。合宿に入るまで散々迷った末、本田美登里とチームスタッフが選択したのは4-2-3-1だった。

 (ユニバーシアード日本女子代表 グループリーグ第1戦VSチェコ)
 GK: 松林美久
 DF: 岩倉三恵、岩清水梓、宮崎有香、西口柄早
 MF: 那須麻衣子、庭田亜樹子(71分/河田優)、渡辺夏奈(82分/中川理恵)、近賀ゆかり、川澄奈穂美(59分/佐藤衣里子)
 FW: 江口なおみ(58分/北本綾子)

 伸るか反るかの大一番に臨む者は「自分たちの戦いができれば…」という常套句を口にする。だが、これは簡単なように見えて難しい。たったひとつのミスに心身のバランスを奪われた競技者が、脆くも体勢を崩してしまう。良くある光景だ。本田は、ひとつひとつそのリスクヘッジを行なった。キャプテンの選定にもそれが表れている。

 静岡合宿最初のミーティングで、本田がキャプテンに指名したのは、所属チームのスペランツァF.C.高槻でも主将を務めている庭田亜樹子だった。そして副キャプテンには伊賀FCくノ一の宮崎有香を選んだ。宮崎は練習中から大きな声でチームを盛り上げていくムードメーカーである。庭田は第1クールを故障でほとんど棒に振り、ようやく5月の選考合宿に間に合った選手。宮崎も選考合宿で負傷し、ニュージーランド女子A代表戦には出場していない。

「庭田は『自分が』と出て行くようなタイプではなく、むしろシャイな性格。でも絶体絶命な状況に追い込まれた時に、最後まで試合を捨てずにボールを追いかけるのは彼女だと思う。だから背中で引っ張ることを期待して選びました。性格的には宮崎が向いているのかも知れませんが、彼女のポジションはセンターバック。ミスが失点につながるポジションです。その時に自分がキャプテンだと逃げ場がなくなってしまう。フル代表ならそんな言い訳は許されないだろうし、それで潰れるのは仕方がないかも知れない。ただ、そのメンタリティをこの世代の選手に求めるのは酷だと思いました」

 そしてキャプテンに任命された庭田が、日本の本大会での戦いが始まって1分も経たないうちにゴールを決める。外に一度叩いてゆっくりと相手ゴールに向かい、もう一度ボールを受ける。前方のプレーヤーが相手のDFを引きずり、目の前にはゴールマウスに向かう道しるべが記されていた。庭田の足にスイートスポットを捉えられたボールは、チェコのゴールネットを揺らしていた。

「なでしこに選ばれたこともある選手がいる中で『自分がキャプテンで良いのか?』という気持ちはありました。高槻では私くらいの年齢の中盤の選手がキャプテンになるのが慣例なんですが、選抜チームですから。チェコ戦のゴールはまぐれですね。前が開いていたんで打ったら、気持ちよく入りましたね。本当に良いところにミートしたみたいで、練習でも一度も打ったことのないようなシュートだったんで、気持ち良かったです」(庭田)

 キャプテンの秒殺シュートで、波に乗った日本は近賀ゆかりの2ゴールを加え、チェコを3対0と退けて勝ち点3を手に入れた。



 グループリーグ2戦目の相手はカナダ。ワールドユースで負けた経験を持つ選手も多く、チーム内にはカナダを警戒する声もあった。しかし本田はカナダに留学していた江口なおみから得た「(カナダの)有力選手はアメリカの大学に引き抜かれている。アメリカはシーズン中だから、そういった選手は出ない。絶対に日本のほうが上」という情報をもとに、自分たちの力を優位に考えてゲームプランを組んだ。

 (ユニバーシアード日本女子代表 グループリーグ第2戦VSカナダ)
 GK: 松林美久
 DF: 岩倉三恵(82分/奥田亜希子)、岩清水梓、宮崎有香、西口柄早
 MF: 那須麻衣子、庭田亜樹子、渡辺夏奈、近賀ゆかり(90分/伊藤美菜子)、川澄奈穂美(46分/佐藤衣里子)
 FW: 江口なおみ(46分/北本綾子)

 試合は「あっという間に最短記録を更新されました」と庭田が笑った近賀の秒殺ゴールで始まった。しかし、その後は粘土質の地盤、しかも芝が生え揃わないピッチ条件下で、フィジカルコンタクトに活路を探るカナダに苦しんだ。「L・リーグのグラウンドよりも、よっぽどひどかった。1日に数試合やることもあったけれど1試合目だからマシとかいう問題でもない状態。パスを転がす日本よりも浮き球で勝負する向こうにあっていた」(本田監督)。自然にゲームはこう着状態に陥り、そしてカナダに追いつかれる。しかし、指揮官も選手も全く動揺していなかった。

「慌てるな」

 静岡合宿中の2日間、練習を見守った風間八尋が伝えた言葉が、大会を通じてひとつのキーフレーズとなっていた。「君たちはひとつひとつの基本プレーがきちんとできている。だから、慌てる必要は全くない。普段どおりに止める。そして蹴る。自分たちのサッカーができれば、絶対に世界でも通用するし、勝てる。決して慌てないように」。「慌てるな」という言葉自体は、どのカテゴリーでも良く発せられる言葉だが、世界を知る風間が具体性を持たせたながら口にしたことが大きかった。

 日本は苦しい展開の中でも、互いに声をかけあって、腐らずに立て直す。そして終盤、幸運なオウンゴールで決勝点を奪う。この時点で2連勝の日本は、参加12ヶ国中、最も早く決勝トーナメント進出の切符を手にした。
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