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全社への道 因縁の沖縄ダービー 〜第39回九州社会人サッカー大会〜


文・写真/ふかえ まさひろ

 日本サッカー協会主催の全国大会のひとつ、全国社会人サッカー大会、通称「全社」への出場権をかけた第39回九州社会人サッカー大会が8月23日(土)から25日(月)にかけて福岡県春日市で行われた。
 九州からの出場枠は4つ。既にKyuリーグ(地域リーグ)前半戦終了時での上位2チーム、ヴォルカ鹿児島と新日鉄大分は出場権を獲得しており、今回は残り2つの枠をかけた戦いになった。

 大会はKyuリーグ前半戦終了時での3位から6位のチームに各県代表を加えた12チームがC、Dの2ブロックに分かれてトーナメント形式で開催(ヴォルカと新日鉄はA、Bブロックの代表という形)。試合形式は40分ハーフ、決着つかなければVゴール方式10分ハーフの延長とPK戦。

          
【Cブロック決勝戦 沖縄かりゆしFCvs.FC琉球】

 なんと言っても注目は「前回大会優勝(ルミノッソ狭山と両チーム)」の沖縄かりゆしFCと、「その優勝メンバーがごっそり抜けて立ち上げて」、海邦銀行(Kyuリーグ)を下して沖縄代表として登場したFC琉球(現・県3部リーグ北)の因縁極まりない対戦なるかという点。ちなみにこの2チームは8月10日の天皇杯沖縄県予選(沖縄県サッカー選手権)準決勝で当たり、雨中の激闘の末、2−1、延長後半4分に松原良香のVゴールでかりゆしが辛勝している。
 24日、熊本教員を3−0と一蹴したかりゆし、Kyuリーグ6位のサン宮崎を3−1の逆転勝利で下した琉球。これで、2度目の沖縄ダービーが実現する事になった。

 今大会のかりゆしFCは10日の琉球戦でけが人が出たのと、天皇杯予選決勝(vs.沖縄大学)、ヴォルカとのKyuリーグ首位攻防戦と重要な連戦が続く上、去年優勝したはいいが、それで選手に疲労がたまり、肝心の地域リーグ決勝大会で敗退という「クラブとしての経験」から主力数名を温存。選手は12人しか遠征に帯同していない。なにせ、高校野球みたいなゼッケン(しかも背番号は手書きで18)つけた選手が途中出場して、おかしいと思ったら、GKの當間がサイドバックで出場している始末。しかも2試合とも。

 一方琉球は、前回の敗戦のリベンジとばかりベストメンバー。スタンドはベンガラ色の琉球のTシャツを着た琉球選手の家族に関係者、そして昨年末のチーム分裂のきっかけとなったラモス氏などが駆けつけ、沖縄のテレビ局もカメラを回す中キックオフ。

 試合はキックオフ直後に琉球の望月がタックルを受け負傷するアクシデント(26分に交代)があったものの、両サイドから佐藤拓也を中心に攻撃する琉球が押し、ハーフコートマッチに似た状況になるが、かりゆしGK浜村の好セーブもあってゴールを割れず0−0。
 後半も琉球は右サイドから濱田、リカルド比嘉を中心に攻め立てるが、最終ラインでかりゆしが止めカウンターの繰り返し。連日の試合、特に琉球は3日連続の試合ということもあって両チームとも次第に動きが止まっていく。

 そして後半ロスタイム、飛び出してGKと1対1になりかけた、かりゆしFWを引きずり倒して琉球DF佐藤真也が一発退場。これで延長はかりゆしペースに。時折雨の降るなか、足もつり、ゴールを決められない前線の選手にいらだった琉球DFの怒鳴り声が会場に響き渡る。その声の甲斐あったか、延長後半6分、琉球の佐藤拓也がGK浜村と1対1になるも、一瞬躊躇して足元のボールをGKにキャッチされる。
 土砂降りの雨になったPK戦は後攻のかりゆし1人目・長田が加登に止められるも、琉球4人目の関も止められサドンデスに。琉球6人目・濱田のシュートが枠の上を越えたのに対し、かりゆし6人目「GK兼急造サイドバック」の當間が決め勝負あり。その瞬間に雨がぴたりと止んだのは、出来すぎな感じさえした。

 かりゆし側はさすがに安堵の色を見せていたが、全社はどのようなメンバーで望むのだろうか。また、天皇杯に続いてかりゆしに破れ全国大会への道を断たれ、ショックから選手はしばらく起き上がれなかった琉球だが、実績をアピールしてJ入りへの特例制度を利用、クラブを早急に上のカテゴリーに上げたいと考えている人にとっても大きな痛手だろう。この結果が双方にどのような意味を持つのか。正直言って低調な内容だった試合以上に興味深い一戦となった。

(Cブロック結果)
1回戦 熊本教員蹴球団 3−1 ディナモ都城
FC琉球 7−0 川副クラブ
準決勝 沖縄かりゆしFC 3−0 熊本教員蹴球団
FC琉球 3−1 サン宮崎FC

決勝 沖縄かりゆしFC 0−0(PK5−4) FC琉球
[PK戦]
琉球 リカルド○ 田畑○ 松原○ 関× 高地○ 濱田×
かりゆし 長田× 金城○ 千葉○ 加納○ 佐賀○ 當間○
[出場メンバー]
(沖縄かりゆしFC) (FC琉球)
GK: 1浜村大樹 GK: 1加登永一
DF: 26国仲厚助 5千葉真也 6加納昌弘 DF: 2濱田照夫 4佐藤真也 6高地系治 
8望月隆司(→26分/3松原忠明)
MF: 12尾田博文(→82分/18當真嗣高) MF24小倉裕介
15永峰啓裕 7長田道泰 19大山敦史
MF: 7佐藤拓也  9當間正人(→54分/5田畑輝樹) 
10リカルド比嘉 14瀬沼正和
FW: 11佐賀一平 14金城一樹 FW: 17関貴史 25河原塚毅(→70分/20石川翔二)
[警告・退場]
(警告)かりゆし3 琉球2   (退場)琉球1(4佐藤真也)

          
【Dブロック準決勝 ニューウェーブ北九州vs.京セラ川内】

 日曜日の朝10時開始、白水(しろうず)大池公園は最寄駅からバスで20分と、アクセスが少々不便なところなので、観客の入りなど期待してなかったが、試合30分前でニューウェーブ北九州(以下NW)サポーターがゴール裏とバックスタンド、というか土手に20人ほどいた。

 酷暑の中でのNW-京セラ川内戦。前日にも試合をやった京セラの方が先手必勝とばかりに立ち上がりからいい動きで圧倒する。一方NWは全体的に体が重い感じ。
 先制点は前半20分、右サイドからのクロスを野見山秀樹が頭で決め京セラに。33分、その野見山からのスルーパスを別府が決めリードは2点に。
 しかしその直後の36分、NWは右に流れた井上が決め1−2で折り返す。

 後半は、54分に京セラのシュートが2本連続でクロスバーに当たるシーンがあったものの、ほぼ一方的にNWが攻める展開。しかし、とにかく点が入らない。
 京セラGKの仁田尾の好セーブや、ゴール前での決定的チャンスを何度も外し、このままかと思われた後半ロスタイム、2分が過ぎたところで大塚のシュートのこぼれ球を植木が決め同点。後半だけで18本目(筆者集計)のシュートがようやく同点ゴールになった。
 こうなれば勢いはNW。延長前半7分。盛田のCKをニアサイドにいた井手田がヘディングシュートでVゴール。NWが逆転勝利で決勝に進出した。

          
【Dブロック決勝 NW北九州vs.アルエット熊本】

 Dブロック決勝は、北九州と熊本のKyuリーグ上位対決。前に行われた沖縄ダービーの琉球応援団も帰りスタンドが一気に寂しくなる中、NWのサポーター集団は月曜なのにほぼ全員集合。前日と違って雨模様の中の試合に。

 4分、NWの井手田が抜け出しループシュートを狙い、惜しくも外れるが立ち上がりからNWが積極的な攻撃を見せる。
 しかし前半10分。左サイドから放ったアルエット・西村のFKがそのまま決まり先制。10分後、野本のCKを村上がヘッドで流し込み2−0。2日連続でNWはリードを許す展開。

 後半立ち上がり、アルエットは左SBだった藤家をボランチにして4バックを3バックに。そこをついたNWは6分、左サイドをえぐった久保からのクロスを井手田が決め1点差。その直後、相手パスをインターセプトした井手田がGKとの1対1を冷静に決めて同点。この後、前日同様NWの動きが俄然よくなるが、アルエットもNWの最終ラインのミスを突き反撃に出て、一進一退の攻防が続くものの、徐々にアルエットが押し込む。

 そして75分、NWのFKボールを奪ったアルエットは右サイドからの野元のクロスを吹氣がフリーの状態でヘディングで叩き込み3−2。その後NWも再三攻め込むが、ことごとく決定機を外して試合終了。NWは決定力に泣き、アルエットはJFLから降格以来、久々の全国の舞台に駒を進めた。

(Dブロック結果)
1回戦 ASポラーレ 1−1(PK2-4) 京セラ川内
三宅クラブ 0−6 国見FC
準決勝 国見FC 0−5 アルエット熊本
NW北九州 3V−2 京セラ川内
[得点経過]
[京セラ]野見山(20分)、別府(33分)、[NW]井上(36分)、植木(79分)、井手田(延長前半7分)
[出場メンバー]
(NW北九州) (京セラ川内)
GK: 1 西岡克浩 GK: 1仁田尾博幸
DF: DF 3久末智 23前田隆 28久保篤史 30井上幸次郎 DF: 4乙須繁樹(→44分/8中園文彦) 3下田晃 9遠藤拓哉
7岡留芳充
MF: 5平子整 7大塚隆二 12日高智樹 13盛田賢哉
MF: 10内田耕平 14松崎昭一 
15別府大輔(→69分/16日高征哉) 11森重健
FW: 9植木亨 27山野孝太郎 (→57分/11井手田文和) FW: 20野見山秀樹 13下智大
[警告・退場]
NW2 京セラ1

決勝 NW北九州 2−3 アルエット熊本
[得点経過]
[アルエット]西村(10分)、村上(20分)、[NW]井手田(46分・47分)、[アルエット]吹氣(74分)
[出場メンバー]
(ニューウェーブ北九州) (アルエット熊本)
GK: 西岡克浩 GK: 17中西慶太
DF: 3久末智 23前田隆 28久保篤史 30井上幸次郎(→45分/2荒木晋平) DF: 4村上一武 7中山貴夫 15内平卓博 19藤家千博
MF: 5平子整 7大塚隆二 12日高智樹 13盛田賢哉 MF: 5西村歌志 14野元恒兵(→75分/22藤田俊一) 8仲安啓介 18田尻秀一
FW: 9植木亨 11井手田文和 FW: 9相良利朗 6菅智史(→44分/10吹氣邦弘)
[警告・退場]
NW1 アルエット4
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