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J1ルーキー大宮、勝利で第1歩を記す
2005Jリーグ ディビジョン1 第1節 G大阪vs大宮


文/orangesmile

 期待と不安が入り混じっていた。終盤戦を13連勝で突っ走りJ1昇格を決めた昨季のメンバーを中心に、MF藤本主税やFWクリスティアンら新戦力を加えて挑むJ1開幕戦。『やれるはず』という気持ちと、『どれだけやれるのだろうか』という相反する思いが、キックオフの笛が鳴るまで私の心から離れなかった。

 何事も最初が肝心、とばかりに試合開始直後からG大阪が激しいプレッシャーをかけてくる。敵陣からでも積極的にプレスをかけてくるため、パスをつないでボールを運んでいく大宮本来の攻撃の形が作れない。ボールを持たれるとMFフェルナンジーニョやMF二川孝広を中心に、アラウージョと大黒将志の2トップが大宮ゴールを襲う。
 素早いパス回しにDFがついていけず、クリアしてもまたボールを拾われて波状攻撃を受け防戦一方の前半。ボールに対する寄せの早さ、ワンタッチでパスをつないでくるテクニックなどにうまく対応できず、いつ点を奪われてもおかしくなかった。

 後半に入り幾分慣れた部分はあっただろうが、簡単なミスからボールを失う場面が何度も見られて『やはりJ1だと相手にならないのか』という思いが強くなる。それでも最後の場面で踏ん張り、失点を許さない。
 劣勢のなか、三浦監督が動いた。55分にMF金澤慎に代えて守備力に定評のある斉藤雅人を、59分にFWクリスティアンに代えてトゥットを投入。中盤の守備を厚くするとともに、FWをスピードのあるトゥットと桜井のコンビに変えてカウンターを狙う。
 「試合を膠着させたかった。相手が焦れたところをカウンターで取れればいい」という三浦監督のプラン通りに試合は進んでいく。


 彼は怒っていた。試合中何度も両手を左右に広げ、「ボールを寄こせ!」と言わんばかりの表情を浮かべる。前線までボールが届かず、FWとしては一番イライラする試合展開だっただろう。それでもただひたすら待った。そして81分、ついにチャンスが訪れる。

 センターサークル付近から藤本→トゥットとつないだボールをゴール正面で受ける。眼前には日本代表DF宮本恒靖。巧みなフェイントでマークを外し、鋭く振りぬいた右足から放たれたボールは、GKの右手をかすめてゴール左隅に吸い込まれていった。大宮アルディージャ記念すべきJ1初ゴールは、地元大宮東高出身のFW、桜井直人。
「あえて難しい選択をした。チャレンジしたい気持ちが強かった」と大宮へ移籍してきた彼がチームを救った。チームメイトとの歓喜の輪が解けた後、静まり返る万博記念競技場で唯一喜びを爆発させていたゴール裏へ両手を突き上げ、その歓声に応えた。

 まさかのリードを許したG大阪は、より一層攻撃の手を強める。開幕戦、しかも昇格してきたチーム相手に負けるわけにはいかないのだろう。89分にはFW吉原宏太のヘディングが、前に出てきたGK荒谷弘樹の頭上を越えてゴールへと向かっていく。絶体絶命のピンチ。同点だと覚悟した瞬間、必死に戻ってきたDFトニーニョがゴールラインぎりぎりのところで大きくクリア。競技場全体に落胆の声が広がる。
 そしてロスタイム、競技場が再び静まり返った。左サイドを抜け出した藤本がエリア内まで持ち込み、中への折り返しを途中出場のFW森田浩史が押し込む。ファーストタッチが貴重なだめ押し点となり、G大阪の息の根を止めた。


 「選手はよくやってくれた。ただ、まだまだJ1でやるには力不足な部分もある」という三浦監督の言葉は、謙遜でもなんでもないだろう。しかしそれはJ2から昇格してきたチームの宿命とも言える。限られた戦力のなかで、最低目標である“J1残留”をどうやって達成するか。この日の戦い方にヒントはある。

 コンパクトなゾーンディフェンスはある程度通用した。毎試合このぐらいのレベルでやれれば、そう大崩れすることはないだろう。あとはいかにして得点を奪うか。しかし藤本の「みんなが100%チームのために頑張り、その結果が2−0というスコアにつながってすごく良かった」という気持ちがチーム全体にあれば、恐れることは何もないと私は思う。

 まだ34分の1が終わっただけ。長い道のりはまだまだ続くが、大宮にとってこれ以上ない形で大きな第1歩を踏み出した。
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