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サッカーボールを模った国見町の街頭
長崎からの船出
第33回 Kyuリーグ 第4節 V・ファーレン長崎vs新日鉄大分


文/ふかえ まさひろ

■長崎のサッカー事情

「長崎はサッカー王国」などという言葉を、他の地区の方からたまに耳にすることがある。確かに高校サッカーでは島原商業や国見、つまり小嶺氏や関係者の功績は素晴らしいものがあり、国見町にいくとサッカーボールの街灯やサッカー関係のみやげ物を多数目にすることが出来る、というか最近また増えている。でも、全県的というよりは島原半島限定の感はあり、他の地区では特にサッカー熱が、他見に比べて高いというのは正直言ってあまり感じにくい。

 Jリーグ公式戦開催可能なスタジアムは県央部にある諫早市の県総合運動公園陸上競技場で、天皇杯の5回戦クラスの試合がほぼ毎年開催されるほか、横浜フリューゲルスが準活動地域として熊本・鹿児島とともに長崎で公式戦を何度か開催したことがあり、深夜にTVK製作の「ASフリューゲルスアワー」が長崎でも放送されていたことがある。この他、アビスパ福岡やサガン鳥栖、大分トリニータ、横浜マリノスなどがホームゲームを開催したことがある。

 2000年に日蘭交流400年記念としてフェイエノールトを招いて親善試合を開催したことがあったが、長崎にチームがないのでアビスパを招いて平日に行った、なんてことや、2002年FIFAワールドカップでは全国でキャンプ誘致合戦が行われたが、九州では唯一、長崎だけが候補地が全くなかったというのもあった。また昨年から福岡、今年は鳥栖が島原市で開幕前のキャンプを数日張っている。

 ついでに、私が定期購読しているエルゴラッソだが、首都圏だと金曜発売の「週末のJリーグプレビュー」号が、全ての結果を知った月曜に届いているのが現状である。異論はあるだろうが、現在佐世保市に住んでいる私の主観で見ると、長崎とはこんな感じである。

■V・ファーレン長崎

試合前に現れた小嶺氏に歓声が。この日は「長崎プロサッカークラブ
推進委員長」として、地元テレビ局の中継の解説も担当。
 小嶺氏は以前から、長崎にJクラブを、という構想を公言しており、昨年にその動きが具体化した。3月に有明SCと国見FCが合併し、2004年の県リーグで優勝。11月には「県が主体となってJリーグを目指すクラブ作り」という動きが報道等で表面化し、県も専従職員を置くなど急ピッチで展開している。

 チームは2005年1月に鹿児島で開催された九州各県リーグ決勝大会に出場し、FC琉球には敗れたものの準優勝。国士舘大サッカー部の事件の関係で地域リーグ決勝大会3位のホンダロック(宮崎)がJFL昇格した事もあり、入れ替え戦無しでKyuリーグ昇格が決定した。その後、名称公募、選手セレクション、大口スポンサー決定など、本当にあわただしく4月の開幕、そして、ホーム開幕を迎えた。

 Kyuリーグのシステムについては、昨年5月26日付の拙稿「雨中のサバイバル」にも書いたが、今年は主に、以下の変更があった。

1. 昨年までのセントラル方式から、セントラル(宮崎・沖縄・熊本2回)とH&Aの併用に。年5試合は「ホームゲーム」として開催可能。
2. 有料試合が可能になった。琉球とV・ファーレン長崎のホームゲーム入場が有料。長崎は500円。
3. 今年は上位2チームが地域リーグ決勝大会に進める。

 リーグとしては、選手全員がプロ契約というロッソ熊本(旧アルエット熊本)と、FC琉球を軸に展開するものと予想される。

 前置きが長くなったが、V・ファーレン長崎(以下長崎)は開幕の宮崎ラウンドで沖縄かりゆしFC、ニューウェーブ北九州に連勝、FC琉球には敗れ2勝1敗勝ち点6の3位。一方、新日鉄大分(以下新日鉄)はサン宮崎に圧勝、海邦銀行SCにPK勝ち(Kyuリーグは90分で同点だとPK戦で決着、PK勝ちは勝ち点2、PK負けは勝ち点1)してニューウェーブ北九州に圧勝し、勝ち点8の4位という状態で対戦した。

■地元の期待を担って

V・ファーレン長崎の試合チケット、当日のみで500円(18歳以下は無料)
この日は左下の番号が抽選番号になっていて、私はこれで地元醤油
会社のつゆセットが当たりました(笑)。
 5月15日、快晴の諫早市の県総合運動公園陸上競技場には、11時の開門から県内各地から観客が詰め掛け、唯一開放されたメインスタンドは両端を除き埋まった。選手入場の際にはサポーターグループが配布した青い紙を広げたりして盛り上った中、13時にホーム開幕戦の笛が鳴った。

 Jリーグでも活躍し、チーム唯一のプロ選手の原田と、大商大からJFLの誘いを断って長崎入りした田上の国見OBダブルボランチを中心に4−4−1−1といった形の長崎に対し、4−2−3−1というか3トップ気味の新日鉄。開始20秒でファーストシュートを放つなど、序盤は中盤での早いプレスから新日鉄が主導権を握る。一方の長崎は前線になかなかラストパスを出せずに、右サイドのMF宮崎を中心にミドルレンジのシュートを狙う展開。

 先制点は前半25分。新日鉄がMF軸丸のシュートから得た左サイドからのCKを、ファーサイドにいた長崎DF税所が中央にヘッドでクリアしたところ、これがちょうど絶好の折り返しボールとなってしまい、軸丸がダイレクトボレーを叩き込み、新日鉄が先制した。その後も29分には三重野のパスからシュートを打つなど、軸丸をフリーにさせる事が何度か見受けられた。

 長崎は1トップの松浦、トップ下の田尻を狙って長いボールを出すもミスも目立ち、新日鉄は慌てずカウンター狙い。38分には長崎GK堤が飛び出したところ、新日鉄FW長木がロングシュートを放ち、戻ってきた長崎のDFがゴール直前で何とかクリア。41分には新日鉄FW古園の放ったシュートがクロスバーに当たるなど、新日鉄ペースで前半終了。


■先輩の貫禄を見せた新日鉄

V・ファーレンは健闘及ばず0−1で敗れる
 後半の立ち上がり、長崎は2人交代し、田尻を上げ2トップに。開始早々の原田のFKや、石本、田上のミドルシュートなど長崎が攻め立てる展開。64分には混戦から原田のミドル、68分には右サイドから田上のクロスをオーバーラップしたDF堀川があわせようとするもいずれもゴールならず。新日鉄も70分、首藤の右サイドからの低いクロスに三重野が足を伸ばすも届かず、と、ゴール前の攻防が増え、場内も沸く場面が出てくる。

 このあたりまでは新日鉄は数的優位の形を作りボールを奪っていたが、その後も80分に宇土のヘッド、81分には中村のボレーと長崎の攻めが続いたので、83分に新日鉄は松下を入れ守備の安定を図る。長崎は86分にベンチから上がれとの指示があり、堀川が前線に上がり3バック3トップにして攻めるものの、逆にロスタイムに新日鉄のカウンター攻撃を受け、左サイドからのクロスを中央でフリーの長木がヘッドであわせるもゴール右に外し、新日鉄ベンチのほぼ全員がずっこける。

 長崎は最後、小嶺に変えて投入した橋本も前線に上げ、なんとか同点を狙うものの、3分のロスタイムでゴールは生まれずタイムアップ。0−1で新日鉄大分が逃げ切り、長崎は連敗となった。




■V・ファーレン長崎の歴史は始まったばかり

 新日鉄大分はさすがにKyuリーグ常連ということもあり、チームとしてしっかり出来ている感じがした。来週は八代でロッソ熊本戦だが、楽しみでもあり、見られないのが残念でもある。

売店。ホーム開幕戦に間に合ったグッズはTシャツとステッカーのみ。
早速着替え声援を送る人は結構多かった。
 一方、長崎は新チーム立ち上げしてまだ間がないこともあり、チームとしての連携にもう少し時間がかかる気がした。原田以外はアマチュア(配布されたプログラムには全選手の勤務先も載っていた)で、またアルエット熊本からの移籍組は熊本から通っていて、全体練習もなかなかままならない状態みたいだが、今後に期待したい。また、運営でもクラブの重要な運営資金源と位置付ける後援会の募集が、ホーム開幕に間に合わないなど、まだまだなところはいろいろあったが、これは今後、走りながら考えていくしかないだろう。

 この日は結局約6200人(子供が入場無料なので正確な数字はわからないようだ)の観衆がスタンドを埋め、ピッチ看板も10枚以上、地元メディアも新聞各社にテレビ・ラジオ全局(FMも含め)が取材に訪れ、NIB長崎国際テレビ(日テレ系)では当日夕方にカメラ5台、アナウンサー3人を使っての地上波録画中継まで行われた(試合の後半だけ、という奇妙な中継だったが)。

 これまでの試合にも地元テレビが取材して夕方のニュースで取り上げたり、新聞も何度も特集を組むなどメディアも協力的で、ようやく出来た長崎のチームを支えようという息吹は感じられる。これを今後どう継続させつつ発展させるか。チームも運営も、マスコミもサポーターも、これからいろんな事を思い、悩み、経験してどう進化いくのだろうか。Jリーグへ向けて長崎からの船は船出したばかりだ。私もこれから、長い目で見守りたいと思う。


(V・ファーレン長崎) (新日鉄大分)
GK: 12堤 GK: 26田辻
DF: 2堀川 5税所(77分/31中村) 16石本 7前田(HT/3大濱) DF: 29柴田 13甲斐 16芦刈 4首藤
MF: 14原田 22田上 10宮崎 19小嶺(89分/25橋本) MF: 8後藤(83分/3松下) 18古園(康)(67分/27田崎) 17軸丸
FW: 9田尻 23松浦(HT/6宇土) FW: 14古園(純)(56分/5二宮) 9長木 10三重野(89分/15西村)
SUB: SUB:
シュート/長崎9:新日鉄9  FK/長崎13:新日鉄18  CK/長崎3:新日鉄5
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