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両チームの入場。この日も多くの取材陣が詰め掛けた。
「有明海ダービー」でのささやかな違和感
第33回 Kyuリーグ 第6節 V・ファーレン長崎vsロッソ熊本

2005年5月29日(日) 島原市陸上競技場 観衆:2,515人
試合結果/V・ファーレン長崎1−3ロッソ熊本(前0−0、後1−3)
得点経過/[長崎]税所(50分)、[熊本]関(55分)、町田(70分・87分)


文/ふかえ まさひろ

 2005年5月29日(日)に行われたKyuリーグ(九州サッカーリーグ)第6節。
前節、長崎市で行われた三菱重工長崎との「長崎ダービー」(三菱重工のホームゲーム)を1−5の圧勝で制したV・ファーレン長崎(以下V長崎)のホーム第2戦は、これも前節、新日鉄大分を2−0で下し開幕5連勝、今年のKyuリーグ優勝最有力候補のロッソ熊本(以下R熊本)を迎え、島原市陸上競技場にて行われた。


 この日の会場となった島原市陸上競技場は島原市の眉山の中腹にあり、メインスタンドからはピッチの向こうに有明海を挟み、遠く熊本を一望できる風光明媚な場所。島原市がここ最近プロスポーツのキャンプ誘致をしていることもあって、今年はアビスパ福岡とサガン鳥栖が開幕前に短期のキャンプを張っている。ついでに横の野球場はかつて西鉄ライオンズのキャンプ地だった。

 そして、私を知る福岡サポは「県内からなのに福岡より時間がかかる!!」と毎年愚痴を言いいながら現れる私の姿を見ているかも知れない。
 具体的に。ちなみに筆者は佐世保市在住。会場に一番近い所(島原外港駅と島原港は徒歩3分程度)から、乗車時間・乗り換え時間が短い便を乗り継いだとして帰りのダイヤを見るとこうなる。

島原外港17:36→(島原鉄道急行)→諫早18:44・諫早18:50→(JR快速)→佐世保20:00
島原港17:20→(島原鉄道高速船)→三池港→(バス)→大牟田→(西鉄特急)→福岡天神19:22

雲仙普賢岳
地元長崎のチームに熱い声援を送るサポーター
 佐世保まで片道2660円。福岡まで2960円と運賃こそ分があるものの、同一県内の移動にしては気軽に通える状況ではない(ちなみに行きは佐世保から3時間以上かかってます)。この「県内の移動距離」は、長崎のチームを語る上でこれから何度も出てくるであろう。

 当日は、島原外港駅から食料調達しながら山登りしつつ、途中でV長崎Tシャツを着た一家の車が拾ってくれて会場へ。こういう場合、「それとわかる格好」をして行くのは有利と経験していて、私もV長崎Tシャツを着ていて助かった。

 V長崎サポはゴール裏に陣取り国見高校のサッカー部員も合流。R熊本サポは多くがバックスタンドに陣取ってゴール裏は紅白の選手横断幕で文字通り埋まっていた。熊本−島原間はフェリーで最短30分ということもあり、熊本サポも300人近く来場していた。この日は500円のチケット買えば焼肉店の500円割引券をプレゼント。・・・・でも使えるのは島原店だけ。


 V長崎は前節と先発2人を入れ替え、一方のR熊本は前節負傷者が出たということで、この日は顔面骨折から復帰した町田を先発起用し、3−5−2を3−4−3に変更して臨んだ。晴天の中13時キックオフ。

 最初の決定機は前半9分、R熊本・関のCKを中央に上がった朝比奈がフリーでヘディングシュートを打つも、クロスバーを叩く。一方、前半風上に立ったV長崎も17分、オフサイドラインを抜け出した宇土がシュートを狙うも当たりそこね、20分には原田がボレーシュートを狙い、25分には宇土の左からのクロスに2人飛び込むなど攻勢に出る。しかし決定的なシュートを打つまではいたらない。逆に28分にはR熊本・関のCKを朝比奈がヘッドという、9分と同じようなシーンも見られた。

 前半はV長崎が両サイドのスペースや中盤からのロングボールを軸に攻めたてるものの、最後の詰めが甘くゴールならず。R熊本は3トップやGKとDFラインの連携が少々ちぐはぐな点も見られたものの、39分ごろからパスがつながりだし後半に期待を持たせる。結局0−0で折り返し。この時点で発券された当日チケットが1784枚との発表がある。


 ハーフタイムにFWを森本から松浦に入れ替えたV長崎の攻勢が実ったのは50分。 原田のFKをファーサイドに詰めていた税所がフリーとなり、ダイビングヘッドを決めV長崎が先制。ホームゲーム初ゴールにメインスタンド通路まで埋まった観客は沸きあがる。

 しかし、これでR熊本にエンジンがかかった。直後から反撃が始まり、5分後、右サイドから鈴木勝のクロスを関がヘディング。これがネットを揺らしたのを見届け鈴木勝は気合の入ったガッツポーズ。R熊本がすかさず同点に追いつく。この後試合は、風上ということもありR熊本が支配し、二重三重の攻撃をV長崎が何とかしのぐ展開に。

有明海を渡って来た多くの熊本サポーターも勝利に沸く。
 R熊本は68分に濱田を投入すると右サイドに入れ、右サイドにいた河野を前線に上げ、高部と町田の2トップ気味に変更。するとR熊本は69分、関のFKを町田がヘッドであわせるもGK正面。V長崎がほっとしたのもつかの間。GKからのフィードを中盤でカットしたR熊本は町田に渡し、町田は胸トラップからすぐさまループ気味のミドルシュートを決め逆転に成功した。
 
 こうなると試合は完全にR熊本ペース。足も止まってきたV長崎はゴールに向かう動きさえ出来ず、たまにキープしてもパスを出せず、ドリブルしたところを奪われる状態。そんな中、V長崎は80分に左ウイングに投入された石本が、86分に前転しての「一回転スローイン」(私は公式戦で初めて見た)を見せ、これがゴール前まで届きV長崎の選手がヘッドで合わせ、GK正面となるも場内が再び沸き返る。

 しかしその直後、右サイドから攻めたR熊本は、左に少しそれたシュート気味のクロスを町田が流し込み、自らの復帰を祝うこの日2点目で1−3となった。その後、V長崎は石本が再び一回転スローインを見せたり、ロスタイムもゴール前に再三攻め立てたものの、追い上げならず試合終了。

 先制されてからエンジンがかかった感のするR熊本が、V長崎の一瞬の隙を突いての見事な逆転勝ちで実力差を見せ付け、得失点差で2位に後退したものの開幕6連勝をあげた。一方V長崎も最後まで攻める姿勢を見せ、観客から惜しみない拍手が送られた。


試合後の池谷監督を囲む報道陣。今までのKyuリーグにはほとんど
無かった光景。
 繰り返しになるが、「J経験者含め全員プロ・毎日日中に練習・2月1日から始動」のチーム(例えば朝比奈・鈴木勝は元鳥栖、加藤はPJMフューチャーズや柏・札幌・広島などに所属、嘉悦は佐川時代に天皇杯で名古屋相手にハットトリックした嘉悦)と「原田以外は監督含めて全員本業が他にあり・練習は20時から週3回・3月中旬に始動」のチームの差がもろに出た試合であった。

 V長崎は生で見た相手が2試合とも強豪というのもあって、急造チームの限界と課題を見せ付けられた感じである。試合は真夏でも日中開催なのに、練習が20時からしか出来ないというのは今後余計にハンデになってくるかもしれない。しかしながら、この日も、アクセス最悪な中、多数の観客が県内各地から詰めかけ、報道以外でも長崎の主婦向けワイドTV番組などが取材に来ていた(話しかけた女性がその番組のレポーターだったりした)。熊本や福岡からも多数取材が詰め掛け、池谷監督への囲み取材はまるでJリーグ並みだった。

 そこでふと思った。
 ここ数年Kyuリーグを見に行くことが何度かあったのだが、今までは、たとえばヴォルカ鹿児島−沖縄かりゆしの首位攻防戦でも、北九州の本城補助競技場(アビスパが試合を行う本城の向かいの芝生の広場)で観客30人くらい、それこそベンチの後ろやコーナーのそばの芝生に座って見ていたこともある。

 今でも集中開催の場合はそんなものかもしれない。しかし長崎の観客の大半はそんなKyuリーグをまったく知らない。最初から多くのピッチ看板、多くのメディアでの露出(前週の長崎ダービーはNBCラジオで生中継があった)、多くの観客にファンサービス。今まで私が見てきたKyuリーグからすれば、その盛り上がりにはささやかな違和感さえ感じてしまう。

 そして、その「違和感」が時を経て「日常」となったときに、この街にもJリーグがふさわしいということになるのだろうか。そんなことを考えながら、今回もまた当たった「醤油とつゆセット」の箱を持って、山を下りふもとの温泉へと向かった。


(おまけ)
島原市陸上競技場へのアクセス解説がネット上でほとんど見つからなかったので、主観ですが書いておきます。
島原鉄道島原駅からタクシー1,500円程度。
島原港からタクシー900円程度。
島原鉄道島原外港駅からタクシー。
客待ちはいないので電話で呼ぶか、徒歩3分ほど下った島原港で乗車。島原外港駅は日中は有人・硬券あり。但し列車本数に注意(なお、島原鉄道は南島原−島原外港−加津佐間は将来的に廃止の話があります)。
島原駅前・島原港から島鉄バス「新山」行きで「二中前」下車。ただし一日3本のみ。試合に使えそうなのは島原駅前12:09、島原港12:18→二中前12:26。
島原外港駅から徒歩30分ほど。
駅を出て左に登り、スーパー(銀行ATMあり)やコンビニ(食料調達はここを過ぎると不可能・公園内の売店は飲料とお菓子のみ)を過ぎ、「南栄町」バス停の信号を左折。登っていくと第二中学校に突き当たる。ここまで20分ほど。
「二中前」バス停の前の分かれ道を右に登ると、突き当たりに案内看板が出てくる。あとは案内の通り。九大火山観測所の前を通れば到着。
駐車場も何ヶ所かあります。
島原外港駅そばなど、市内には無料で温泉が飲める湯飲み場が数ヶ所あります。糖尿病、肝臓病、痛風などに効果あるとか。


V・ファーレン長崎 ロッソ熊本
GK: 12堤 GK: 25加藤
DF: 2堀川、5税所、31中村、3大濱 DF: 2朝比奈、4鈴木祐、6福王
MF: 14原田、22田上、9田尻、19小嶺(80分→16石本) MF: 5山口、17鈴木勝、20関、23河野
FW: 4森本(HT→23松浦)、6宇土(58分→29平井) FW: 9高部(91分→24遠藤)、10嘉悦(68分→19濱田)、13町田
SUB: GK1三宅 DF34平原 MF10宮崎、17八戸 SUB: GK1太、21福邑 DF14松下、18高木、MF22大瀬良
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