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長崎サポーターの横断幕。右は誰のことか、言うまでも無いですね
一歩ずつの季節
第33回Kyuリーグ 第12節 V・ファーレン長崎vs.FC琉球

2005年7月24日(日)13:10キックオフ 長崎県総合運動公園(諫早市)
試合結果/ V・ファーレン長崎 2−2(PK4−2) FC琉球(前1−0、後1−2、PK4−2)
得点経過/ [長崎]堀川(12分)、[琉球]比嘉(55分)、[長崎]田上(72分)、[琉球]藤吉(89分)
PK戦/ [長崎] 田上○ 田尻○ 水田○ 税所○
[琉球] 望月○ 佐藤真○ 永井× クリスティアーノ×


文/ふかえ まさひろ

 長崎がPK戦の末、3試合目でホーム初勝利を挙げた。長崎は12分、セットプレーから堀川のゴールで先制。同点となった72分には田上が今季初ゴールで引き離すものの、ロスタイムに藤吉のゴールで琉球が追いつく。しかしPK戦で4人全員が決めた長崎に対し琉球は3人目と4人目が失敗し、PK勝ちを収めた長崎が勝ち点2を加え、順位は5位のままながら、4位の北九州と勝ち点23で並んだ。
 一方、琉球はPK負けの勝ち点1を追加し30となり、全勝で首位を走る熊本との勝ち点差は6と広がった。


72分 田上の勝ち越しゴールにベンチ前で歓喜の輪ができる。
 琉球ホームでは2−0で琉球が勝利したこのカード、実は1月16日のKyuリーグ昇格を決めた九州各県リーグ決勝大会の決勝(8−0で琉球が圧勝)や、7月16日に福岡・雁の巣で行われた九州国体でも沖縄vs長崎という形で対戦しており(1−0、比嘉のPKで沖縄が勝利)、琉球の実質3連勝で今年4度目の対戦となった。

 基本フォーメーションの4−4−2ながら田尻をFW起用するなど中身をいじってきた長崎に対し、久々の地元での試合となる永井秀樹を2列目っぽいポジションに置く琉球。テレビ生中継の関係で灼熱の13時10分キックオフ。

 立ち上がりは琉球の攻勢を長崎がはじき返す展開。しかし先制点は長崎だった。12分。田尻からのクロスを松浦がヘッドで狙うも、これは琉球GK野田が上にはじいてクリア。このプレーからのCK、左サイド原田のショートコーナーを田尻が戻し、原田のクロスを中央に上がっていた堀川がヘッドで叩き込み先制。これは長崎の対琉球4試合目で初めてのゴールでもあった。

 これでピッチ上もスタンドも熱を帯びてきた試合は、その後は中盤で一進一退の攻防、ラストパスの出し所が見つからず、手詰まりとなる場面も多く見られた。またこの日の諫早市は晴天・最高気温33℃で、プレーが切れるたびにピッチ上の全選手が給水に向かっていた。

 25分には田尻、28分には松浦と長崎のFWがあわやゴールというシーンを作り、観客もますます盛り上がる。一方、前半残り10分くらいになると琉球が反撃のシーンが増えるも長崎のDFが体を張った守備で止める。主導権を握りきれない展開にいらだったのか、テクニカルエリアの外に飛んできたボールを琉球の与那城監督が取りに行って、第4審判に注意される場面もあった。1−0での折り返し。


 後半開始と同時に琉球は佐藤拓を投入。永井をトップの位置に移動して臨む。そして後半開始早々の46分、長崎の原田が相手との交錯プレーで左足を痛めるアクシデントで負傷退場。試合後本人に聞いたところ、古傷の再発ではなく打撲という事で一安心だが、長崎はこれで中盤の要を失うこととなった。

 54分、長崎は松浦が独走、ゴールが近くなったところで右に走ってきた畑にパス。しかし交代で入ったばかりの畑、この絶好のチャンスもシュートをGKに当ててしまい、そのプレーから逆に速攻を仕掛けた琉球がゴール前でFKのチャンスを得る。そのFKの場面で比嘉リカルドが蹴ったボールはGKと左ポストに当たり、返ってきたボールも混戦から押し込めずラインを割って、長崎のゴールキックかと思われた。ところが、琉球の選手はFKがゴールラインを割っていたとのアピール。主審も副審に聞いてからこれを認め、長崎の抗議も受け入れられず琉球が同点に追いつく。

 これで勢いに乗った琉球は、67分に左からゴール前を通ったボールを最後は當間が狙うもふかし、68分には藤吉も投入、2列目に下がった永井が71分、切れ込んでから浮かせたボールでゴールを脅かすもゴール前で長崎DFがクリアして間一髪防ぐものの、勝ち越し点の予感を漂わせる。


Kyuリーグは基本的にはアマチュアリーグ。試合後、まず相手ベンチに
挨拶に行くのが慣例。
 ところが73分、左サイドからのパスを中盤から飛び出してきた田上が中央で受け、そのままドリブルからシュートをゴール左に決め、長崎が勝ち越す。歓喜のスタンド、次第にメインスタンドも手拍子や声援が増えてくる。その直後の74分には、畑がドリブルでGK1対1のチャンスを作るも、今度もGKの足に当ててしまい、長崎は追加点ならず。畑は82分にもゴール前フリーでシュートを打つも、今度はバーの上に飛ばしてしまう。チャンスは作れていただけに決定力が今後の課題か。

 残り10分を切った頃から、永井や藤吉、佐藤拓を軸に琉球が猛攻をしかけてくる。長崎も松浦を下げ1トップにして守備を厚くしようとするも、琉球の波状攻撃をはじき返すのが精一杯という状況が続く。ロスタイム3分の表示が出て、このまま長崎が逃げ切るかと思われた手元の時計で91分過ぎ、ゴール前に選手が集まる中、右サイドからパスを受けた藤吉がエリア内から放ったシュートが長崎の選手の隙間を縫ってネットを揺らし、琉球が同点に追いつく。まさに歓喜に包まれる琉球ベンチ、ため息に包まれるスタンド。

 92分には琉球の松原がこの日2枚目のイエローカードで退場するも、2−2で後半終了。勢いは完全に琉球のものだったが、アウェー側のゴールで行われたPK戦は、4人全員が決めた長崎に対して、琉球は最初の2人こそ決めたものの、3人目の永井が左ポスト、4人目のクリスティアーノが蹴ったボールは、右に横っ飛びしたGK堤の足に当たり勝負あり。長崎はホーム3試合目で待望のホーム初勝利、一方琉球は痛すぎる星を落とすこととなった。



この日もテレビカメラが並ぶ。中央右の2台はスカパー用のカメラ。
7月からハイライト番組の放送が始まった。
 Jリーグの90分で同点なら引き分け、というのがすっかり定着したのだろうか、後半終了と同時に席を立つ人が、北九州−琉球戦のときと同様、この日も見られた。土日の連戦や真夏のデーゲームもあることだし、Kyuリーグ独特のシステムのPK戦も、考慮すべき時期なのかもしれない。

 もっとも、この日はPK戦があったことで、長崎の関係者や多くの観客にとっては救われた結果となった。この日は地上波テレビ(長崎国際テレビ)で生中継があったが、実況アナも試合後、「ホーム初勝利を伝えることが出来た」と笑顔だった。もっともPK戦まで行ったので、私の家では最後まで録画出来てなかったのだが・・・・(中継はあらかじめ20分延長枠があり、延長された)。

 試合前に関係者と話をした中で、これだけの有料入場者の試合を積み重ねることは、いろんな面で貴重な経験となるといった話になった。有料試合の主催など、今までは天皇杯準々決勝くらいだった長崎。この日も電光掲示板が「FC琉球vsV・長崎」とホームが逆になっていたり、ハーフタイムに流していた音楽が後半が始まって、3分ほどそのまま場内に流れつづけたといった不手際もあった。

 一方、この日の観衆は、猛暑、生中継、同時刻に高校野球の決勝(佐々町の高校が出たこともあって、佐世保から私が乗った行きの列車内は高校野球の応援客が多かった)もあって2,900人強と前回の諫早開催の半分以下だった。報道も開幕当初に比べて少しは落ち着いてきた感はある(といっても、地元テレビで応援の5分番組が新たに始まったりするなど、地域リーグでは十分異常な状態だが)。


試合後の選手監督による見送りは選手とサポーターの貴重な交流の
時間。ホーム初勝利もあって今までよりサインを求める人が多かった。
 残り6試合、勝ち点などを見ると、今年、長崎が地域リーグ決勝大会行きの2位以内に入るのは現状では困難と言わざるを得ない。しかし、今は運営もサポーターも一歩ずつ経験をつんでいく季節ではないだろうか。チームはようやく形となってきた感がするし、1月に0−8で負けた琉球相手に堂々渡り合っての勝利は何物にも代えがたい経験と自信になるだろう。その経験は今後何物に変えられないものとなるはずである。そう思いながら、今回は土産なし(さすがに来場者プレゼントの3連続当選はならず)で帰った。


(お知らせ)
前回のサポーター観戦記「これもKyuリーグ あれもKyuリーグ」で、Kyuリーグネット中継のことに触れましたが、結局中止となりました。
その代わり、スカパー216ch・ベターライフチャンネル(無料)で試合の1週間後くらいに全試合のハイライト番組が始まっています。放送時間はホームページなどでご確認ください。






(V・ファーレン長崎) (FC琉球)
GK: 12堤 GK: 1野田
DF: 2堀川 5税所 34平原 3大濱 DF: 3松原 5クリスティアーノ 6ダシルバ
MF: 14原田(48分→17八戸) 22田上 18前田(50分→35畑) 19小嶺(77分→21水田) MF: 9當間(68分→11藤吉) 8望月 10比嘉リカルド(77分→19石井) 4佐藤真
FW: 9田尻 23松浦(85分→31中村) FW: 33永井 16黒田(HT→7佐藤拓) 17関
SUB: GK1三宅 DF7前田 FW4森本 SUB: GK30和田 DF14渡辺 FW20宮城(琉球はベンチ入り6人)
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