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無念です。本当に無念です
第85回天皇杯全日本サッカー選手権大会 5回戦 ジュビロ磐田vs.アルビレックス新潟


文/石毛大介

 今までの観戦歴で初のヤマハスタジアム。サッカー専用スタジアムはいろいろ行ったことありますが、本当にピッチとの距離が近いこと近いこと。指定席が一番前だったので、選手や副審に声が届きそうな距離。今日は天皇杯5回戦。負ければ即終わり。「負けたけどいい試合だった。次に繋げよう」というリーグ戦のようにはいきません。どんな勝ち方でも勝たなくてはなりません。

 5年間アルビを率いた反町監督、そして戦力外となった選手らとあと何回一緒に戦えるのか。相手は強豪磐田。試合会場も磐田のホーム。チームの戦力等を考えると、明らかにアドバンデージは磐田。ですが僕は5年間率いてくれた反町監督への恩返しの意味でも、たとえ防戦一方になろうとも、最後の最後まで諦めないアルビサッカーを魅せてくれて、最後は辛勝で勝ち上がる。そんな想いで一杯です。これは僕だけではなく、遠路はるばる磐田まで来た方、そして何らかの事情で来られなかった全てのアルビサポの想いだと思います。最後の試合となってしまうのか・・・。神のみぞ知る、ってとこでしょうか・・・。


 案の定、人数をかけ、ボールだけが走るのではなく人も走る磐田の攻撃。ボールを持っても、持たなくても動きながらの展開です。あえて特筆しなくても分かると思います。中央からもサイドからも展開されてしまいます。

 しかしアルビもしっかりと守備ブロックが迎撃。球際でも簡単には負けませんし、マークの受け渡しもしっかりとして、簡単にアルビ守備ブロックを崩させません。ほころびかかっても、1人、1人がキッチリと身体を張って防ぎます。いつも見慣れたプレーです。ただこのせっかくの守備も、そこからの攻撃が遅い。攻撃に転じても厚みがなく、迫力に欠けます。リズムを作り出せず、繋いではいるんですが「前へ」の迫力さがなく、いつもの悪い時の単発感が否めません。いやこれは磐田がかなりアルビカウンターへの対策がしっかりとしていて、速い展開にしたくても出来ない、というのが正しいかもしれません。

「前回対戦した3得点の時のようには当然いかないと思っていたけど・・・。これはキツいな・・・」。それでも磐田の攻撃に対しても、しっかりと迎撃しているからか、磐田のチャンスが生まれても、ヒヤっとすることはそれほどありませんでした。磐田も緊急シフトで臨んでいるようですが、僕個人としては、磐田のチャンスが、こちらの肝を冷やすピンチとは感じないけど、アルビが攻撃に転じても、しっかりと磐田も迎撃するので、チャンスとは感じられず、攻守においてイーブンな感じがしました。

 それとエジにいつものキレがないのが非常に気になりましたが、試合後の反町監督は、「今週は雪でフィジカルトレーニングが出来なかったので、選手の動きを見ても『フィジカルトレーニングは必要なんだ』と考えさせられる部分があります。」と。うーん・・・敵は新潟の天候にもアリ、ということですか・・・ 


 前半を失点0で終えましたが、御の字だと思いました。しかしながら相手もアルビカウンターを警戒し対応している、というのがよくわかりました。やはりリーグで勝利した時のようにはいきません。たとえ緊急シフトの磐田といえど・・・ 後半も我慢の展開になりそうだな、という印象とともに、こちらの決定的なチャンスはなかったが、逆に脅威的なピンチもなかったから「もしかしたらいけるか・・・!」なんて思いましたヨ。

 しかし後半思わぬアクシデントが。守備の要、慶治が2枚目のイエローで退場になります。何とか磐田の攻撃を凌いでいただけに痛い退場ですし、さらに防戦の様相が濃くなるのは間違いありません。案の定、ポゼッション等において磐田が上回る展開を見せます。そして後半34分、磐田のCKから福西の頭で決められてしまいます。数的不利なアルビからすれば絶対に避けたかった失点。その後、アルビも懸命に追いつこうと必死になりますが、磐田が跳ね返します。アルビは10人ですから、そう簡単に攻めに重点を置けません。何とももどかしい時間が過ぎます。時間は無常にも終わりを迎えようとしていました。

「万事休すか・・・」しかし、後半も時間が過ぎ、電光表示板の時計が消えロスタイムに入ろうとした時、それが合図だったかのように、5年間浸透し続けた反町イズムが爆発します。梅山のシュートがこぼれ、優作の足元に。相手DFを背負いながらキープして、振向いて右足でシュート。磐田のゴールネットに突き刺さります。アルビ、ロスタイムで同点。ゴール裏、いや全てのアルビサポの大歓声がヤマハスタジアムを包み、そのボルテージは富士山をも越えんばかりです。特に反町監督は見たこともないくらいの喜び様で、ピッチ内に入っていましたヨ。そしてそのまま試合終了。延長へ入ります。


 これぞアルビサッカーというロスタイム間際での同点劇。しかし残り30分を考えると10人で磐田を迎撃するのは、かなりキツいでしょう。Vゴールではないですしネ。かえって大量失点・・・なんてことも考えてしまいました。90分間必死に食らいついていっていただけに、どれだけ残っているのか・・・。

 延長が始まると、やはりというか、アルビが防戦一方。「そりゃそうだよな・・・。10人だし・・・。失点も時間の問題かも・・・」。しかし、磐田がチャンスを迎えますが、なかなかゴールを割れません。いやそれよりもアルビの懸命な守備。時間が経ってもなかなかゴールが割れません。いや時間が経てば経つほどアルビディフェンスが光ります。しかし光るといっても華麗なものではありません。これでは攻撃に移れないであろう人数をかけて守ります。

 決してカッコよくは映らないかもしれません。むしろ無様でカッコ悪いと思います。しかし決して諦めず、最後の最後まで走り、身体をぶつけ、脚を伸ばし、どこでもいいから身体の一部に当ててやろう、何とかしてチャンスを潰してやろう、絶対にゴールを割らせない、とにかく自分の後ろにはボールはやらない、いや身体のどこかにかすりでもして、数ミリでもゴールマウスからズレてくれ、そんな気迫に満ち溢れたプレーです。何のために戦うのか、何のために勝とうとするのか、そういった一切の雑念を捨て、今この試合の乗り切る。そういった鬼気迫るものを感じます。時間が経過しても落ちない気迫。肉体が精神を超えたというのが妥当でしょうか・・・。

 ですが延長後半、磐田のCKがゴール前の混戦となり、押し込まれ磐田が突き放します。ところが、ゴール前の混戦で磐田とGKの野澤と接触しましたが、ノーファールの判定に対して主審と副審にアルビが猛抗議。特にビックリしたのが、主審に対して菊地が見たこともないくらいの猛抗議。副審を呼びつけます。そして副審の元へ、藤井、菊地、勲、末岡が詰め寄り猛抗議。僕のちょうど真正面での副審への猛抗議。4人とも猛抗議ですが、特に菊地は凄かった。異議でイエローが出ないか、心配するほどでした。そこへ江尻コーチが割って入り選手らを引き離しますが、もちろん納得のいく表情ではありません。試合が再開されますが、アルビも残り時間を必死にプレーしますが、タイムアップ。アルビ敗戦。反町監督最後の采配となりました。


 試合後ゴール裏へ挨拶にくる選手たち。今日で最後の者もいます。涙している選手もいました。負けはしたものの、勇敢に戦った選手らに皆、惜しみない拍手を送っていました。あの延長でのシーンについて、試合後の反町監督も「最高裁までいったって、別に判決は変わりませんから」と言っていたように、審判の決定は最終決定です。ですから、余計に皆の猛抗議が切なくなりましたし、僕個人も本当に無念で仕方ありません。どうせ終わるなら、完全にアルビが凌駕されて完敗したかった。僕がそう思うのですから、反町監督をはじめ、スタッフを含め選手らは本当に無念だったと思います。無念です・・・ 本当に無念で仕方ありません・・・

 今年一年、選手スタッフの方々にはお疲れ様でした、そしてありがとうございました、という気持ちで一杯です。最後の最後に、これぞアルビサッカーというのを魅せてくれました。「僕がチームを率いてから5年間、こういうチームを作ってきたので、それが出せたというのは非常にうれしく思います。」試合後の反町監督のコメントですが、それは僕らが一番思っています。最後にそういうサッカーを出してくれた、全てのアルビスタッフの方たちに感謝しています。

 これが今年最後の観戦記になりました。磐田から帰宅後、体調を崩してしまいました。去年もシーズン終了後、体調を崩したような(対ジーコジャパン後) シーズン終わって気を張っていたものが切れてしまうのでしょうか・・・。アハハ・・・。

ものスゴイ日程無視の観戦記でしたが(編集長スイマセン)、何とか観戦した試合は全てカバーできました。いつもこんな観戦記を見て頂いてありがとうございます。それなりにアクセスがあると聞いています。アルビサポの多さには驚かされます。本当に本当にありがとうございます。皆さんからすれば、まだまだ日が浅いアルビサポですが、これからもアルビを応援したいと思います。ダメ出しされないように頑張りますが、来年もどうか暖かい目でみてください。

 来年もシーズンパスを購入しました。皆さんも、もうかなり寒くなっておりますが、また来季を元気で迎えましょう。そしてアルビを応援しましょう。ではちょっと早いですが、皆さんよいお年を。では。
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