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 webnews 03/12/11 (木) <前へ次へindexへ>
平山、起死回生の決勝弾。日本、グループ首位で決勝トーナメントへ。
FIFA World Youth Championship UAE2003 グループD エジプト代表vs.日本代表

2003年12月5日(金)20:30キックオフ アルマクトゥム・スタジアム 観衆:11,800人
試合結果/エジプト代表0−1日本代表(前0−0、後0−1)
得点経過/[日本]平山(79分)


文/中倉一志

 ボールキープ率はエジプトの62%。シュート数も日本の8本に対してエジプトの15本。ゲームの主導権はエジプトが握っていた。しかし、日本はひたすら耐えてチャンスを待った。そして79分、そのときがやってきた。谷沢からのフィードを受けて飛び出す平山。ワンタッチ目を大きく左に流して2人のDFを一瞬でかわす。さらに飛び出してきたGKを「ひらり」とジャンプして飛び越えると、目の前には無人のゴールが待ち受けるだけだった。値千金の決勝ゴール。日本は首位でグループリーグ突破を果たした。



 グループリーグ最終戦、日本は苦しい立場に立たされていた。勝ち点5でグループリーグの日程を終えたコロンビアと、勝ち点4を確保しているエジプトが既にグループリーグ2位以内を確保。勝ち点3の日本が決勝トーナメントに進出するには引き分け以上の結果が求められていた。しかも相手はアフリカチャンピオンで前回大会3位のエジプト。日本にとっては難しい相手だ。しっかりと守って少ないチャンスを物にする。それが日本に課せられた戦い方だった。

 予想通り、エジプトは立ち上がりから攻勢をかける。5分、スルーパスに反応したエトワリーがDFラインの裏に飛び出して日本をひやりとさせる。続く6分、強烈なFKがクロスバーをかすめる。技術、スピード、フィジカルに優るエジプトは、その後も一方的に日本を攻め立てた。日本にとっての救いは、エジプトの戦術がそれほど高くないということ。必死になってボールホルダーを捕まえさえすれば、決定的なチャンスを作られることはない。

 しかし、守るのが精一杯という感はぬぐえない。高い位置でキープすることはかなわず、セカンドボールはエジプトに拾われる。そのため押し上げられずに守備に追われる。この繰り返しが続く。しかし日本は粘り強く守り抜く。41分には、モタブの決定的なヘディングシュートをGK川島が見事に弾き返した。その一方で、30分過ぎから攻撃面に、わずかながら光明が見え始める。反撃のチャンスの糸口は見えた。あとはどうやって前線でボールをキープするかだ。



 後半、再びエジプトが猛攻を仕掛ける。3分、5分、6分、際どいシュートが日本ゴールを襲う。7分、モタブがGKと1対1に。しかし、またもや川島がスーパーセーブを見せてゴールを守る。10分、11分、さらにエジプトのシュートが飛ぶ。日本は必死になって我慢の時間帯を凌ぐ。結果的に見れば、この時間帯を凌ぎきったことが、その後の展開に大きな影響を与えることになる。エジプトの立場に立てば悔やまれる時間帯ということになるのだろう。

 56分、大熊監督は小林大吾に代わって谷沢を投入。成岡をボランチの位置に下げてトップ下を任せた。今大会、流れを変える選手として起用されている谷沢だが、この試合でもその役割を果たすことになる。ボールキープは相変わらずエジプトだが、エジプトの猛攻が止み、ゲームが落ち着き始めたのだ。そして67分には阿部に代えて平山を投入。コロンビア戦で高い能力を見せた平山は、前線でエジプトと対等に渡り合い、ボールをキープして前線で起点になる。

 56分以降、膠着状態に入ったゲームだったが、この2人の投入で日本はジワジワと反撃体制を整えていく。そして79分の冒頭のシーン。日本は遂に先制点を叩き出した。直後の37分にはエジプトにGKとの1対1の場面を作られたが、これを追走した栗原が見事なスライディングタックルでボールをカット。勇気のあるプレーだった。粘り強い守備と、ここ一発の集中力。日本は厳しい戦いを制して決勝トーナメント進出を決めた。



 グループリーグを通して感じることは、日本の守備意識の高さだ。それは、ただ守っているというのではなく、苦しい時間帯を凌ぎさえすれば必ず好機が訪れるという自信に裏付けられた守備意識の高さだ。厳しい戦いながら安定した戦いができるのは、この守備によるところが大きい。コロンビア戦こそ混乱をきたして4失点を喫したが、守備に関しては、今のところ十分に通用していると言っていいだろう。

 その一方で、課題はトップにボールが収まらないこと。相手の攻撃に押し込まれていいボールを供給できなかったことも一因だが、3試合とも同じ問題を抱えている。そんな中、平山が十分に通用することが分かったことは大きな収穫だ。相手の動きが鈍くなってくる後半の時間帯に、しっかりと前線でキープできる平山の存在は、日本の切り札になりつつある。高さだけではなく足下の巧みさを併せ持っているのも頼もしい。

 決勝トーナメントの初戦はライバル韓国。現在4連敗中だが、世界の舞台で5連敗を喫することは許されない。これから先、至る所でしのぎを削りあうことになる韓国には是が非でも勝利しておきたいところだ。すばらしいあたりを見せる川島。前線での存在感を見せる平山。スーパーサブとしての役割を担わされている坂田。日本は万全の体制で韓国戦に臨む。


(日本代表) (エジプト代表)
GK: 川島永嗣 GK: エクラミー
DF: 菊地直哉 永田充(73分/栗原勇蔵) 角田誠 DF: エルザヤト(64分/アセム) アズミー ゼフリー
MF: 徳永悠平 今野泰幸 成岡翔 小林大悟(56分/谷沢達也) 鈴木規郎 MF: サイード(51分/サクリ) ファディ サミール アブドラボ アブデルワハド
FW: 阿部祐大朗(67分/平山相太) 茂木弘人 FW: モタブ メトワリー(73分/ワヒド)
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