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 webnews 04/10/14(木) <前へ次へindexへ>
追い詰められても攻める浦和、名古屋を破ってナビスコ2連覇に臨む!
2004Jリーグヤマザキナビスコカップ 準決勝 名古屋グランパスエイトvs浦和レッズ

2004年10月11日(祝・月)15:03キックオフ 名古屋市瑞穂陸上競技場 観衆:17.473人 天候:晴
試合結果/名古屋グランパスエイト1−4浦和レッズ(前0−2、後1−2)
試合経過/[浦和]エメルソン(26分)、田中(33分、57分)、[名古屋]中村(76分)、[浦和]田中(84分)


取材・文/砂畑 恵

 後半も残り半分を過ぎた71分、角田との競り合いで酒井が負傷し浦和は最初の交代カードを切る。更にその3分後、途中から足を気にする素振りを何度も見せていた山田に対し、ブッフバルト監督は千島へのスイッチを決断した。3−0で優位な立場であるが、攻守ともによいリズムを保っていた中盤を急遽、変更することは試合の流れを左右させる恐れもある。折しも名古屋ペースで試合が進む最中だった。



 ゲームは立ち上がりから凄まじかった。浦和が6分、ポストわずかに右に逸れる永井のシュートで好機を作ると、その1分後には名古屋が逆襲。中村が右サイドを破って浦和DFを慌てさせた。9分にはジョルジーニョの突破からマルケスがパスを受け浦和ゴールを襲う。すると透かさず浦和が攻勢に出てエメルソがシュートを放つ。ともかく目まぐるしく攻守が入れ替わる。球際でのぶつかり合いはどちらも譲らず、12分には海本幸と酒井がバッティングするシーンも。息せき切る序盤戦であった。

 そんな展開の中、名古屋が18分、ジョルジーニョのシュートでCKを獲得。しかし3度続いたCKは浦和が必死にゴール前を固め、得点には至らない。但しキッカー中村の速く、低いキックはの精度は高く、相手に脅威だ。そればかりか中村がボールに絡むとグランパスの攻撃は活気を帯びる。23分にはFKの早いリスタートから中村が間髪入れず吉村にボールを送る。吉村もコースが開いたと見るや、意表を突くミドルシュートを敢行。GK山岸が喰らい付いて弾き返した。

 小刻みに揺れる主導権の天秤。それを浦和が大きく傾かせた。名古屋の3バックは2人のFWを挟み込むようにかなり絞っていたため、タッチラインに張り出したアウトサイドの裏には大きなスペースが出来ていた。永井がそのスペースを巧みに突いたのだ。26分、味方からパスを受けると得意のドリブルで一気に中谷を振り切りペナルティーエリアへ迫る。ゴールライン付近まで深く抉ると、軽やかにクロスを上げた。井川の前に踊り出たエメルソンがヘディングでゴールをねじ込んだ。

 先制点を挙げた浦和の勢いは止まらない。33分、後方からのロングボールに相手と競り合いながら山田が頭で落とす。そのボールに詰め寄るDFに先んじ、エメルソンがロビングを上げる。再び山田の頭上にボールは戻るが、今度はDFの厳しいマークもあって山田は触れることが出来ない。だがそれを予測し田中は走り込んでいた。山田の背後に回り込むと、ボール跳ね上がりをダイレクトボレー。GK川島の指をかすめて美しいミドルシュートが決まった。



 2失点となった名古屋だが、前半の内に点差を詰めようと果敢に攻める。その名古屋に44分、ビックチャンスが訪れた。浦和陣内深くで中村、マルケス、ジョルジーニョとハイテンポにボールが渡る。最後は中村がジョルジーニョをブラインドにして地を這うようなミドルシュート。ボールの弾道は左ポストギリギリに飛び込むかに見えた。だがGK山岸が神がかりとも言えるナイスセーブ。惜しくも名古屋はノーゴールで前半を終えた。

 そこで名古屋は後半頭から動いた。角田と平林を投入。平林をポスト役にし、角田は海本幸のいた右サイドへ。デイフェンシブハーフのクライトンに高めにポジション取りをさせて攻撃に厚みを加えた。確かにクライトンが前線に顔を出せば浦和は警戒すべき選手が増えるわけだが、直ぐに選手同士のコンビネーションがしっくりいくとは限らないものだ。今ひとつ球の回りは悪く、パスが浦和の守備網に引っかかるシーンが目立つ。48分には中村が単独突破を図るも酒井に阻止され、50分にもマルケスがアルパイをかわしてシュートに漕ぎ着けるが鈴木にクリアーされた。

 そんな名古屋を尻目にまたしてもスコアを動かしたのは浦和だった。57分、エメルソンのクロスをDFがクリアーしたが、そのボールはそのまま田中に渡ってダイレクトボレーが炸裂。閃光一線、ゴールネットを揺らした。

 後がなくなった名古屋。決勝の舞台を目前にして簡単に引き下がるわけはない。ネルシーニョ監督は59分に角田をDFに下げ、岡山をピッチに送り出し、打てる手は全て尽くした。ベンチの期待に添うように岡山は右サイド攻め上がる。徐々に名古屋は攻撃のリズムに乗る。反対に後退する浦和。やがて冒頭の場面に行き着く。



 名古屋に押し込まれている時間だったこともあり、急に入った堀之内や千島にとり試合に順応するのは容易ではない。浦和は守備のバランスが悪くバタバタした感じが漂った。名古屋はそれを逃さなかった。76分、マルケスが寄せる堀之内をなぎ倒してスルーパスを出す。浅くなっていた浦和のバックラインの裏を取ったのは中村。鈴木が懸命にスライディングに行くが、中村が右足を振り抜きゴールを陥れた。

 追い上げムードが高まった名古屋は左に開いたマルケスにボールを集めて猛攻を仕掛ける。82分にはそのマルケスが持ち込んで角度のない位置からシュート。GK山岸も反応鋭くゴールを死守。それでも名古屋に追加点の期待が膨らんだ。

 そんな状況にブッフバルト監督が烈火の形相で選手を鼓舞する。打てば響くのが今シーズンの浦和らしいところ。守備に追い詰められてもチャンスとあらば点を奪う。84分、平川のマイナスのパスを受けた田中がDF4人の囲いを解いて、自身初のハットトリックとなるゴールを決めた。この得点で守備も安定。前線から烈しく相手を追い回し、ディフェンスラインも勇気を持って押し上げ、名古屋の攻撃を2度3度とオフサイドに仕留める。4−1と点差は開いたが浦和は名古屋との激闘を制した。



 名古屋にとり相性が良かったホーム・瑞穂での浦和戦だったが、5度目の準決勝も今までと同じく涙を飲む結果となった。ネルシーニョ監督は、最後まで点差を詰めようと諦めなかった選手の意欲は評価しつつ、決定機を逃したことが敗因と悔やんだ。でもそれだけもないように私は思う。最初こそボディーコンタクトを厭わなかったが、時間を追うごとに浦和へのプレスが甘くなり、終盤は走り負けていた。名古屋は守備の面でも粘り強さが不足していたと感じた。

 さて3年連続の決勝進出を決めた浦和。守備に安定を欠いた時間帯に1点返されたが、そこで踏ん張り立て直しがきく姿を見ると、ガタガタと崩れ落ちたひ弱かった頃のことが今は昔と実感する。浦和サポーターと選手が暗黙で交わす「約束の地」は決勝の会場・国立にあらず。表彰台への階段を1番最後に登ったところにある。


(名古屋グランパスエイト) (浦和レッズ)
GK: 川島永嗣 GK: 山岸範宏
DF: 井川祐輔(59分/岡山哲也) 海本慶治 古賀正紘 DF: アルパイ 田中マルクス闘莉王 ネネ
MF: 海本幸治郎(45分/角田誠) 吉村圭司 クライトン 中谷勇介 中村直志 MF: 山田暢久(74分/千島徹) 酒井友之(70分/堀之内聖) 平川忠亮 鈴木啓太
FW: ジョルジーニョ(45分/平林輝良寛) マルケス FW: 田中達也 永井雄一郎(86分/岡野雅行) エメルソン
SUB: 広野耕一 秋田豊 SUB: 都築龍太 内舘秀樹
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