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 webnews 04/11/03 (水) <前へ次へindexへ>
完勝の浦和、一直線に優勝へ前進!苦しさ増すC大阪に降る冷雨。
2004Jリーグ ディビジョン1 2ndステージ 第11節 セレッソ大阪vs.浦和レッドダイヤモンズ

2004年10月30日(土)16:04キックオフ 長居スタジアム 観衆:22,778人 天候:雨
試合結果/セレッソ大阪0−2(前0−1、後0−1)浦和レッドダイヤモンズ
得点経過/[浦和]田中(13分)、エメルソン(67分)


取材・文/貞永晃二

 秋雨の空に赤と黒のサポーターの大音量コールが響く。初のステージ制覇へ着々と進むチームを支えるのは自らを”WE”と呼ぶ彼らだ。

 完全にホームスタジアムを乗っ取られた感さえあるC大阪。年間最下位に沈んだまま迎える残り5試合はチームの運命だけでなく、選手個々の存在価値をも左右する重要な試合なのだ。新潟中越地震の被害者の方たちに対し黙祷を捧げながらも、その祈りに「どうか勝てますように」そう願いを込めてしまうのがサポーターの気持ちだろう。



 立ち上がりは三都主のFK、CKと浦和が攻勢の展開。押されながらもC大阪は久藤がミドルで狙い反発する。ともに望む形での攻撃が組み立てられず、イライラしながら時間が経過していく。

 首位と最下位との対戦であることを考えれば、本来ホームチームの勝利は考えにくいことだが、この追い詰められた状況下では全ての試合で勝ち点3奪取を目指さざるを得ない。勝利のためには先制点が重要となり、早い時間での失点だけは避けたいということになる。C大阪は守備的な入り方には成功していた。しかし、やってはいけないミスがまたもや飛び出してしまう。

 13分、エメルソンへのパスを身体を入れて奪ったDF千葉。大きな敵陣へのキックで済まさず、つないでいこうと考えたのだろうか。GKへのバックパスを選択した。このチャンスとは思えない瞬間に一人鋭く反応したのが田中達。ボックスの中で拾い、出遅れたGK伊藤の位置をあわてず確認し右足を振った。こぶしを突き上げる田中達に再びフルボリュームのコールが注がれる。

 先制した浦和は明らかに選手がスムーズに機能し始める。早いリスタートからエメルソンのシュート性のクロスに田中達が身体を投げ出す。さらにこのリーグ・リーディング・スコアラーは永井から受け鋭いターンでゴールを狙う。

 一方C大阪の出来も決して悪くはない。守備での全員の奮闘はスタンドにいても気持ちの伝わるものであり、ロングボールの「的」西澤をあえて外した小林監督の意図はショートパスをつなぐ攻撃に表れていた。そしてしつこい守備がチャンスを生む。36分、プレスが実り、大久保が抜け出す。前半唯一となったチャンス、しかしここは内舘の「適切な」ファウルで防がれてしまう。内館には「黄色」が提示され、しばらく起き上がれない大久保には理不尽にも容赦ないブーイングがアウェーゴール裏から浴びせられる。

 降り続く雨の中、ピッチでは浦和のシュートの雨がC大阪を襲う。永井はロング・ドリブルから、エメルソンはインサイドへ持ち込んで左足で、そして三都主はドライブ・シュートで。ことごとくGK伊藤が好反応を見せて弾き出し、なんとか一点差で前半を終わらせた。



 一点を追うために小林監督は動く。久々のスタメンだった徳重に代えてドリブラー・酒本の起用だ。サイドから効果的な切り崩しを仕掛け、浦和のアウトサイドの封じ込めも出来ればまさに一石二鳥なのだが。

 一方、浦和は前半につかんだリズムを後半のピッチでも忠実に再現してみせる。持ち前のスピードに豊富な運動量を加えたスリートップがドリブルで、ワンツーでとC大阪DFを右往左往させる。さらに後ろの選手の飛び出しが頻繁となり追加点は時間の問題にも思えた。しかしC大阪GK伊藤は必死の形相でゴール前に立ちはだかる。守備範囲はお世辞にも広いとはいえないのだが、至近距離のシュートへの反応は「当たり」の日のプレーは手がつけられないほどだ。田中達、エメルソンそして永井が起点にもフィニッシャーにもパサーにもなるため押し込まれるC大阪は攻撃に手が回らない。

 なんとか局面を打開したいC大阪だが、西澤は姿を見せない。今度は左アウトサイドの佐藤をスピードスター苔口に代える。しかしさほど状況の変化を生み出せない。山ほどあるチャンスも決め切れない浦和。圧倒的なボール支配も最少得点のリードでは心休まるはずがない。

 しかし真打ちは67分に驚愕のシュートを決めて見せた。C大阪ゴール前バイタルエリア、DFがクリアしきれないボールを拾ったネネからパスを受けた背番号10は足下のボールを足裏でコントロールしDFに身体を預けながら、キックのポイントを右前に作り出し猛烈な速度で右足を振った。最高のパフォーマンスを見せていたGK伊藤は反応したものの空しいものだった。ネネはパス・アンド・ムーブで動き出し微力ながらもシュートを助けていた。決してエメルソンの「個」だけではないところが浦和の著しい成長の証なのだろう。

 痛すぎる2失点目にもC大阪は下を向かず、得点を狙う。しかし、うまく組み立てるもののラストパス、サイドからのクロスの精度は致命的に低い。絶望的に天を仰ぐ大久保の気持ちが手に取るように伝わってくる。それでも74分、久藤のクロスを森島がバイシクルで狙いこぼれがボックス内で大久保の前に転がる。強烈な左足シュートだったが、サイドネットを揺らしたに過ぎなかった。苦境にあえぐチームで新しく主将を命じられたこの男の集中力は
この瞬間切れてしまったようだ。直後の執拗なマークに右手を大きく振り回し鈴木の腹部を打ち一発レッドをもらってしまったのだ。

 楽になった浦和の攻撃は決して緩まない。スリートップのうち一人得点のない永井が、猛烈な動きでゴールに襲い掛かる。巧妙なカーブで狙い、強烈なミドルを放ち、エメルソンへは見事なスルーパスまで供給した。C大阪も必死にカウンターをしかけるものの、巧みにシュートコースを消す浦和の守備に防がれてしまう。ブッフバルト監督は選手交代で時間を消費させ、また一歩優勝への道を踏み出すホイッスルを聞いた。
 

 
 これは王者と呼ぶにふさわしい戦いぶりだと表現せざるを得ない。DFアルパイが出場停止だったことを全く感じさせないスリーバック、攻守に動き回る長谷部と鈴木、もはや手がつけられない3人のFW。両サイドの二人がやや目立たなかったが守備面ではC大阪にサイド攻撃を許さなかった。もうセカンドの優勝は時間の問題だ。そして横浜FMとの「最後」となるチャンピオンシップでも有利であることは間違いない。少々のけが人はものともしないだろう。以前は攻撃が「すごい」と感じさせるチームだった浦和を「強い」と感じさせる試合だった。

 ピンクのサポーターは感じたはずだ。イエロー、レッドのコレクターだった両チームのナンバー10に大きな変化が生じていることを。エメルソンと大久保の個人の成熟度の差がその主因なのは明白だ。しかしチームの成長で、一人だけで頑張る必要がなくなったことがプレー面での余裕につながったエメルソン。一方まだまだ頼られる存在であり、マークが集中し求めるパスをなかなか受けられない欲求不満に苦しむ大久保。この差は大きなものだ。しかしチームの順位、自らの立場、残り試合数を考えて歯を食いしばってファウルには耐えて欲しいとサポーターは願っているのだ。きっと大久保がチームをJ1残留へと導いてくれることを信じながら。


(セレッソ大阪) (浦和レッドダイヤモンズ)
GK: 伊藤友彦 GK: 山岸範宏
DF: ラデリッチ 柳本啓成 千葉貴仁 DF: 内舘秀樹 田中マルクス闘莉王 ネネ(89分/堀之内聖)
MF: 布部陽功(76分/西澤明訓) 久藤清一 徳重隆明(45分/酒本憲幸) 佐藤悠介(58分/苔口卓也) 森島寛晃 MF: 山田暢久 長谷部誠 三都主アレサンドロ 鈴木啓太
FW: 古橋達弥 大久保嘉人(76分/退場) FW: 田中達也(86分/岡野雅行) 永井雄一郎 エメルソン
SUB: 羽田敬介 齋藤竜 SUB: 都築龍太 平川忠亮 酒井友之
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