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 webnews 04/12/18 (土) <前へ次へindexへ>
力の差まざまざ。湘南がベストにない浦和に一蹴される
第84回天皇杯全日本サッカー選手権大会 5回戦 浦和レッズvs湘南ベルマーレ

2004年12月15日(水) 19:00キックオフ 岡山県陸上競技場桃太郎スタジアム 観衆:6.028人 天候:晴
試合結果/浦和レッズ3−0湘南ベルマーレ(前2−0、後1−0)
試合経過/[浦和]田中(10分、29分)長谷部(84分)


取材・文/砂畑 恵

 浦和に0−3の結果を振り返り、湘南・上田監督は渋い表情で、「完敗だと思います。我々としては今の力の差を感じながら、来シーズンに向けていい経験にしたいと思います」と短くコメントを残す。物言いは丁寧ではあるが語気の強さが印象的だった。

 天皇杯は様々なカテゴリーのチームが一堂に会する。格下のチームが守りを固め、ワンチャンスをモノにし勝つことも多いに有り得る。だが湘南は普段着の闘いで今日の試合に臨んだ。中盤をフラットにした4−4−2の布陣。FWは柿本を前線に残し、佐野が1.5列目でプレーする。「ディフェンシブにやっていても、相手とどういった差があるのか分からない」(湘南・上田監督)。結果重視ではなく、選手にJ1トップチームとの差を肌で感じて欲しい。そこに上田監督の本意があったのだろう。選手にも浦和に対する気合いが感じられた。試合開始50秒足らずで佐野のパスから坂本が相手ゴール前に攻め込んだ。高田もサイドから積極的に攻撃に絡む。9分には鋭いクロスを前線に送った。



 対する浦和の動きは身体が重い。チャンピオンシップの心身的疲労はそう簡単に癒えるないだろうし、Jリーグの行事と岡山への移動もあり調整も難しい。スターティングメンバーの顔ぶれもいつもとは変更を余儀なくされていた。そんな中で元気溌剌だったのは鈴木啓。その鈴木啓のパスから得点は産まれた。やや高めとなっていた湘南のディフェンスラインの裏に田中の飛び出すスペースを感じとってロングフィード。後方からの難しいボールにも田中がダイレクトで右足を振り抜いた。ボールは前掛かりになっていたGK鈴木正の手を弾き、ゴールへと転がり込んだ。

 この開始10分での浦和先制でゲームの雰囲気はがらりと変ってしまう。湘南は中盤が最終ラインの近くまでずるずると後退してしまったのだ。それによって出来たスペースを浦和がしっかり掌握する。トップ下の長谷部に3列目から鈴木啓や酒井、またサイドもどんどん内に切れ込んでゴール前へと攻め上がった。正直、トップコンディションとはあまりに言い難い浦和だったが、要所でのプレーを押えてスピードをアップする。

 みるみる混乱する湘南の選手達。浦和が見せる瞬時のボールへの寄せと動きに戸惑い、人数は足りているのにマークし切れず、次々と相手にフリーでシュートを打たれた。29分には自陣深くで戸田が鈴木啓にボールを奪われ、永井、田中と楽々ボールを繋がれて2失点目。まざまざと両チームの力の差を見せつけられる。



 それでも浦和のシュートミスにも救われて湘南は0−2でなんとか折り返すことが出来た。この点差なら浦和も完全な安全圏内へと逃げ切ったとは言えない。「前半のことは忘れて、開き直って思い切りやれ」(湘南・上田監督)と励まされた選手は後半になると気持ちを奮い立たせた。46分、サイドバックの加藤が攻撃参加。高田とパスを交わして相手のファウルを誘う。48分には途中出場の城定がミドルシュートでGK山岸を慌てさせた。バックラインも前半に比べ押し上げが効いている。時折みせる佐野のワンタッチパスもチームの攻撃にリズムを産んだ。

 だが湘南と浦和には決定的な違いがあった。それは「シンキングスピード」である。湘南は攻守の切り替えは早くなったものの、攻撃に移った時のテンポが緩い。ほんの少し次のプレーへの間を持つと、浦和の早いプレスに苛まれ、先回りされてパスカットされた。

 逆に浦和は長いスパンのパスを折り交ぜたダイレクトプレーを展開。疲れた身体を補うような省エネサッカーで湘南をピンチに晒す。また相手の守備陣形が整っていればタッチ数を少なくしてボールを動かし相手の隙を窺った。84分には相手のクリアーミスを突き長谷部がミドルシュートで3点目を挙げ、勝利を確実なモノにした。




 この試合で湘南はチャレンジャーでありながら、相手を上回る気迫が感じられなかったこと残念に思う。それでも後半に積極性を示し、選手は色々なことを感じたようだ。「局面でのちょっとの差が、90分間では大きな差になる」(湘南・中町)。「(自分のプレーが)通用するものもありませんでした。でも、これで終わるつもりはありません」(湘南・佐野)。言葉を尽くしても体験を通してしか得られないこと。それを礎に来シーズンに活かすことが、上田監督と選手に残された課題であろう。

 勝った浦和・ブッフバルト監督は「次にFC東京の準々決勝を戦えることを喜んでいる」と会見を締め括った。鈴木啓、山岸ら選手達も「リベンジマッチ」に意欲的だ。ただ今日の90分のプレーは概ね良かったが、リーグ戦やナビスコ杯でのパフォーマンスには遠く及んではいない。もっと天皇杯のタイトルへ執念を燃やして次の試合は闘って欲しい。


上田栄治監督(湘南ベルマーレ)記者会見
ブッフバルト監督(浦和レッズ)記者会見
湘南ベルマーレ試合後の選手コメント
浦和レッズ試合後の選手コメント
(浦和レッズ) (湘南ベルマーレ)
GK: 山岸範宏 GK: 鈴木正人
DF: 内舘秀樹(77分/坪井慶介) 堀之内聖 ネネ DF: 加藤大志 戸田賢良 浮氣哲郎 北出勉(HT/城定信次)
MF: 山田暢久 鈴木啓太 酒井友之 平川忠亮 長谷部誠(86分/横山拓也) MF: 中町公祐(80分/鈴木良和) 吉野智行 高田保則(77分/アマラオ) 坂本紘司
FW: 田中達也 永井雄一郎(60分/岡野雅行) FW: 佐野裕哉 柿本倫明
SUB: 都築龍太 室井市衛 SUB: 植村慶 白井博幸
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