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 webnews 04/12/24 (金) <前へ次へindexへ>
長崎に乗り込んだザスパサポーター
ザスパ潰える。東京Vが現実的なサッカーで準決勝へ。
第84回天皇杯全日本サッカー選手権大会 準々決勝 ザスパ草津vs.東京ヴェルディ1969

2004年12月19日(日)13:04キックオフ 長崎県立総合運動公園陸上競技場 観衆:10009人 天候:晴
試合結果/東京ヴェルディ1969 3−1 ザスパ草津(前2−0、後1−0)
得点経過/[東京]林(2分)、李(35分)、平本(56分)


取材・文/中倉一志

 トーナメント戦の醍醐味はジャイアントキリング。普段は戦うことさえ叶わない相手に、これしかないという一発勝負の戦いを挑んで上位チームを破る。短期決戦ならではの戦い方と結果。だからこそトーナメント戦は面白い。そして、今年の天皇杯では例年以上のジャイアントキリングが相次いだ。その中で最も注目を集めるのがザスパ草津。4回戦でC大阪を、5回戦ではJリーグ2連覇を果たした横浜F・マリノスを破って準々決勝に駒を進めてきた。

 そのザスパの準々決勝の相手は東京ヴェルディ1969。昨年に引き続きベスト8まで進んできた。しかし、その東京Vは第76回大会(1996年度)での優勝以来、天皇杯、リーグ戦を含めてタイトルを獲得していない。大本命の横浜F・マリノスが破れた今大会は、絶好の優勝のチャンス。しかも、Jリーグ勢が3試合続けてザスパに敗れることだけはプライドが許さない。いつも以上に強い気持ちでピッチに立つ。そして10,009人の観衆の注目を集める中、13:04に長崎県立総合運動公園競技場にキックオフの音が鳴り響いた。



久しぶりのタイトル奪取に向けて気合の入る東京Vサポーター
 ザスパの3試合連続のジャイアントキリングを期待する者と、J1が底力の違いを見せ付けて勝つことを期待する者。しかし、その両者ともに予想しなかった形でゴールが生まれた。時間は2分、平本が左サイドからドリブルでペナルティエリアに切り込むと、思わず小田島が身体で止めに入った。鳴り響くホイッスル。そしてイエローカードとともにPKが宣告された。これを林が落ち着いて決めて東京Vが1点を先行。そして、この1点が試合の流れを決めてしまった。

 5回戦の横浜F・マリノスとの延長の死闘から中3日のザスパ。その影響はフィジカル面だけではなく精神面にも大きな影を落としていた。加えて、5回戦で受けたレッドカードで主力である山口と籾谷が出場停止。ここまでの快進撃の再現を期待することは難しかった。前に出たくても動かない身体。長いボールを宮本に当てても前線手のキープがままならない。やむを得ず低く構えて東京Vが入ってくるのを待つしかなった。

 しかし、勝つことを最優先に現実的なサッカーを展開する東京は決して仕掛けない。低く構える相手の様子を窺うように最終ラインでゆっくりとボールを回し、時折、右から山田、左から相馬が駆け上がる。そして、隙を見つけた時だけ2トップがスピードを上げてゴールを狙う。リスクを最低限に抑え、確実なときだけシュートに持ち込む。勝利を掴むために現実的な、そして確実な方法だ。そして35分、CKに李唐珍が頭で合わせて2点目をゲットした。



「もっと積極的に全てのプレーをしろ」。植木監督はハーフタイムに檄を飛ばす。そしてシステムを4−4−2から3−5−2に変更。右の小田島、左の寺田を高い位置に上げて突破を狙わせた。そして、この采配がザスパの選手に戦う気持ちを呼び起こさせ、ようやくリズム感のあるサッカーが戻ってきた。3本のシュートしか打てず、ほとんどチャンスらしいチャンスがなかった前半と打って変わってゴール前に迫るシーンが増えていく。

 しかし、それは相手にカウンターのチャンスを与えることにもなる。東京Vは重心を後ろに置きながらも試合を終わらせる3点目を目指してカウンターを狙う。そして12分、スローインのボールを山田、飯尾とつないで平本へ。平本はザスパの動きが止まったことを確認すると、トップスピードに乗ってドリブルを開始。ザスパDF陣を切り裂いて左足を一閃すると、ゴール左隅が大きく揺れた。試合の行方は、これで決定的になった。

 それでもザスパは攻め続けた。勝負が決まったからなのか、すっかり足が止まり、パスもつながらず、個人でプレーをし始めた東京Vを何度も、何度も押し込んだ。途中出場の佐藤がターゲットマンとして高い位置に起点を作ってチャンスも作り出した。しかし、ゴール前では必ず身体を寄せてFWに自由を与えない東京Vの最後の壁が崩せなかった。「やはり力の差をまざまざと見せ付けられた」(植木監督)。ザスパの挑戦は準々決勝で終わった。



スタンドには多くの子供たちの姿が
 東京Vのベスト4進出は5大会ぶり。準決勝は長居スタジアムでG大阪と対戦する。「何年もタイトルをとっていないんで取りたい」と平本一樹。かつては圧倒的な強さを誇った東京Vも過去7シーズンもタイトルと縁がない。やってきたチャンスを何がなんてモノにしたいところだろう。「日本でクリスマスを過ごせるということが嬉しい。今年はまた違ったクリスマスになると思う」。そう語ったアルディレス監督にクリスマスプレゼントは届くのだろうか。

 さて、準々決勝で天皇杯を去ることになったが、ザスパは力以上のものを発揮した大会だったと言えるだろう。しかし、彼らの戦いは天皇杯にあったわけではない。最大の目標はJ2で戦い抜けるチームに成長することだ。「J1と戦った結果、自分たちの中に差を感じて、これから練習していけるかということが一番大切。行きたくてしょうがなかったリーグなので、その中で活躍できるように満足せずに頑張らなくてはいけない」。チームを去る植木監督の言葉を胸に、ザスパは新たなステージでチャレンジを続ける。


アルディレス監督(東京ヴェルディ1969)記者会見
植木繁晴監督(ザスパ草津)記者会見


(ザスパ草津) (東京ヴェルディ1969)
GK: 小島伸幸 GK: 高木義成
DF: 小田島隆幸 依田光正 小川雅己 DF: 李唐珍 米山篤志(76分/玉乃淳) 富澤清太郎(87分/柳沢将之)
MF: 鳥居塚伸人 小久保純 山崎渡(54分/佐藤正美) 堺陽二(HT/セレゾ モラエス) 寺田武史 MF: 林健太郎 山田卓也 相馬嵩人 小林大吾 小林慶行
FW: 宮川大輔(77分/酒井良) 吉本淳 FW: 平本一樹 飯尾一慶(89分/小野雄平)
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