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 webnews 04/12/25 (土) <前へ次へindexへ>
受け継がれる勝者のメンタリティ。日体大、大体大を降し、決勝へ。
第13回全日本大学女子サッカー選手権大会 準決勝 日本体育大学vs.大阪体育大学

2004年12月23日(木・祝)11:00キックオフ ユニバー記念競技場 天候:晴
試合結果/日本体育大学3−0大阪体育大学(前1−0、後2−0)
得点経過/[日体大]松窪(26分、58分、70分)


取材・文/西森彰

 大学女子サッカーの総決算でもある年末の一大イベント・全日本大学女子サッカー選手権大会(以下インカレ)。第9回大会以降4連覇を達成しているのが、日本体育大学だ。2004年度のL・リーグ新人王に輝いた村岡夏希(伊賀FCくノ一)を始め、法師人美佳(さいたまレイナスFC)、岩田久美(TASAKIペルーレFC)、吉村萌(大原学園JaSRA)大堀幸恵(アルビレックス新潟レディース)…。主力が大幅に抜けた日体大だが、大会5連覇に賭ける意気込みは大きい。

 これに立ち向かうのは、関西勢唯一の生き残り・大阪体育大学。インカレ予選を兼ねた関西リーグでは5戦全勝、得点55、失点2の圧倒的な強さを見せて、この大会に臨んできた。予選リーグでは関東第4代表の早稲田大学に競り勝って、女王への挑戦権を得た。「関西のチームは勢いに乗って向かってくるイメージがある」と日体大の森田英夫監督も、大体大の上昇ムードを警戒していた。



 果たして、キックオフから主導権を握ったのは、白のアウェーユニフォームに身を包んだ大体大。4−4−2の左サイドハーフに位置する尾原亜由香の動きが活発で、小気味良いドリブルからチャンスを作り出す。逆サイドの大西亜矢子も、これに呼応して教科書どおりに、日体大3バックの横にできるスペースを突いた。左右から中央に折り返されるチャンスボールの山。大体大の攻勢が、日体大の防衛線を破るのは時間の問題にも思えた。

「15分から、20分くらいまでは、私が固くなっていた。でもピッチにいる選手たちは落ち着き払っていた」(森田監督・日体大)

 大体大にサイドを破られても、最後のシュートさえ、まともに打たせなければ良いと割り切っていた。いつもの対戦相手より1テンポ速い詰め、そして「インカレ4連覇」の金看板が、大体大の選手にプレッシャーをかけた。日置ちはるがDFと体を入れ替えて放ったシュート。そして、尾原のシュートミスがフリーでいた大西の頭に合ったチャンス。しかし、萎縮したようにゴールマウスを捉えられない。

 劣勢の中、日体大は、とにかく2トップへボールを当てる。単純だが、大体大のDFがひとつミスをすれば、すぐに1点に繋がる。こうしてプレッシャーをかけておいて、26分、「2トップがマークされたところで、穴を見つけてドリブルで入っていくのが持ち味」(森田監督)という川澄奈穂美が、右サイドをエンドラインまでえぐり、マイナスのボールを折り返す。全員の目がボールに行った大体大DFの間隙を縫って走りこんだのが松窪裕子。相手のお株を奪う攻撃で、日体大が先制に成功した。

 1点を奪った日体大は、その後、ゲームを上手くコントロールした。大体大のサイド攻撃を最終ラインでしっかりと受け止めて、そこからカウンターを狙う。大体大はフィニッシュの手前までは上手く事を運びながら、そこで手詰まりの悪循環に陥った。相手に焦りの色が出てきた57分、日体大は左から切れ込んだ松窪が強烈なシュート。GKがファンブルしたところを丸山桂里奈が詰め、右のポストを叩いたリバウンドを再び松窪。2点目だ。

 さらに3分後には、GK奥平が蹴ったボールを、松窪が頭でつなぎ、丸山がキープ。大体大DFが引きつけられると、再びスペースに抜けた松窪へリターンして決定的な3点目。「(代表から戻ってすぐにインカレ)疲れていないっていったら嘘ですけれど、今日は調子が悪かった」と反省していた丸山だが、ここでは決定的な仕事をして「なでしこジャパン」メンバーの面目を保った。

 日体大は交代枠全てを使い、翌日の決勝へ戦力を温存しつつ、逃げ切った。



 日体大の森田監督は「毎年、大体大とのゲームが、ひとつの山になっている。この関西のチームは勢いがあるし、ファイティングスピリットに素晴らしいものがある」と対戦相手を称えた。確かに、3対0の試合内容ではなかった。シュート数は10対12。ポゼッション自体も大体大が勝っていたのだから。ただし、日体大の勝利そのものは、当然の帰結だったように思える。

 ハットトリックを達成したのは3年生の松窪、疲れを引きずりながらも2、3点目を演出したのは4年生の丸山だった。連覇を経験している彼女たちが、チームを引っ張ったことは間違いない。だが、先制ゴールをアシストした川澄や、この日も0封したGK・大友麻衣子など、出場した1年生7人(先発に4人、途中出場で3人)も、きっちりと自分の役割を果たした。これが連錦と続く伝統の力であろう。

 経験の差も大きかった。ベスト4のうち3つを占める最激戦区・関東。日体大はその強豪揃いの相手に、毎試合が決勝戦のような戦いを続けてきた。それに対して大体大は、関西では敵無しの存在。真剣勝負の場数が、関東の学校に比べて極端に不足している。相手ペースの苦しい時間帯を、辛抱して切り抜けた日体大。焦りから、差し違えに腹を立ててボールをピッチに叩きつける選手も出た大体大。この差は小さいように見えて意外と大きいのかもしれない。

「インカレ常勝」を義務付けられている日体大。次の決勝で勝てば、脅威の5連覇達成となる。


(日本体育大学) (大阪体育大学)
GK: 大友麻衣子(79分/奥平みどり) GK: 竹内さおり
DF: 井上夏実(79分/石田直子)、田村奈津枝、菅山夏織 DF: 池内里紗、山本亜里奈、内田菜緒子、鶴岡裕子
MF: 中村早樹(87分/下山千晴)、浅野麻衣子、角田英子、綱川玲奈(75分/相澤優子)、川澄奈穂美 MF: 鈴木綾、濱中沙希(77分/島村裕子)、大西亜矢子、尾原亜由香(82分/岡林直子)
FW: 丸山桂里奈、松窪裕子(85分/吉田瑞季) FW: 日置ちはる、神原史
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