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 webnews 04/12/27 (月) <前へ次へindexへ>
いざ出陣!先頭は2得点を上げた牧野(武蔵丘短大・2年)
激闘、110分!!点の取り合いはPK戦で武蔵丘短大が制す。
第13回全日本大学女子サッカー選手権大会 準決勝 神奈川大学vs.武蔵丘短期大学

2004年12月23日(祝)13:30キックオフ 神戸ユニバー記念競技場 観衆:500人 天候:曇
試合結果/神奈川大学4−4(4PK5)武蔵丘短期大学(前1−1、後3−3)
得点経過/[武蔵丘]牧野(15分)、[神奈川]堀田(30分)、百武(50分)、[武蔵丘]上尾野辺(64分)、[神奈川]堀田(73分)、[武蔵丘]牧野(79分)、[神奈川]薮崎(82分)、[武蔵丘]松長(89分)


取材・文/中倉一志

「本当はスペインが好きなんですよ(笑)」。4−4というゴールの奪い合いの末、PK戦を制して決勝戦に駒を進めた河合一武代表(武蔵丘短大)は笑顔で答えてくれた。スペースへスルーパスを送って裏へ飛び出す神奈川大学と、長いボールを中心に大きな展開からゴールを目指す武蔵丘短大。「記者席で試合を見ながら、まるでスペイン対イングランドみたいだって言ってたんですよ」と話しかけた時のことだった。

 高い位置取りのフラットスリーと、中盤をパスワークでつなぐのが持ち味の武蔵丘短大。しかし、この試合に限って河合代表はギャンブルに出た。「相手にプレッシャーがかかっていなくても更にラインを高くすること」。裏に蹴り込まれるボールを相手と一緒に追いかけたのではカバーしきれない。ならば、その逆手を取って相手をオフサイドに引っ掛けようという狙いだ。

 そしてもうひとつが、相手のボランチの後ろのスペースを使うことだった。神奈川大のダブルボランチは日本代表の矢野喬子とユニバーシアード代表の百武江梨。「繋ごうとしては中盤で引っかかって折り返される」ことを繰り返してきた武蔵丘短大は、そのエリアを避けてプレーすることを選択した。「百武の後ろで勝負がしたかったので、その後ろへ放り込めと。本当は繋ぐサッカーが好きなんですけれどね」(河合代表)。



キックオフ前、精神を集中させる神奈川大
延長前に円陣を組む神奈川大学
 この狙いが功を奏した。ラインの裏へ、どんどん蹴って来る神奈川大のプレッシャーを凌いだ後の15分、武蔵丘短大は柴田からのフィードを左サイドライン際で受けた牧野が振り向きざまに左足を一閃。約30メートルはあろうかという位置からのシュートが見事にゴルマウスを捉えた。そして、この後はラインを高く上げて神奈川大の飛び出しを防ぎ、裏へ抜けたボールは、まるでスイーパーのような位置取りをするGK鈴木がことごとくクリアしていく。

 30分、神奈川大は稲葉がドリブルでDFを振り切って同点ゴールを上げたが、前半を通してみれば、武蔵丘短大のギャンブルにはまり、思うように攻撃を組み立てることが出来ないままに前半を終えた。一方、武蔵丘短大も長いボールを蹴って、そのこぼれを拾って攻め上がるという攻撃では、それほど多くのチャンスは得られない。勝負を分けるのは次の1点と思われた。しかし、ここから思いもよらないノーガードの打ち合いが始まった。

 口火を切ったのは神奈川大。50分、右サイドからのクロスに百武が頭で合わせる。負けじと武蔵丘短大が奪った同点ゴールは64分。左からのコーナーキックに上尾野辺がゴール前中央で合わせた。しかし、武蔵丘短大のきわめて浅いフラットなラインに慣れた神奈川大学は再三最終ラインを突破し始める。そして73分、裏へ抜け出した堀田がスイーパーの位置にいるGK鈴木を左に交わして無人ゴールへ流し込む。すると武蔵丘短大は79分、ボランチの後ろでボール受けた牧野がドリブルで持ち込んでゴールネットを揺らした。



 しかし攻めるのは神奈川大。武蔵丘短大の高いラインの攻略法を身につけ、中盤でリズムを作っては何度もスルーパスを送り込む。そして82分、抜け出した藪崎が飛び出してくるGK鈴木の動きを見極めて頭上を抜くループシュートを決めて4点目。さすがにこれで勝負はついたと思われた。しかし、武蔵丘短大は諦めない。ロングキックの精度を誇る柴田が徹底してゴール前にボールを送り込んでパワープレーに出る。ハーフウェイライン付近から楽々ゴール前に届くキック力は神奈川大のDFを慌てさせるには十分だ。

 そして劇的な同点ゴールがロスタイムに生まれる。最後のチャンスに賭けた武蔵丘短大のクロスボールかペナルティエリア内にこぼれた。そこに詰めたのが松長。混戦の中から放たれたシュートがゴールネットを揺らした。どこまで続くのか分からない点の取り合い。延長戦では、お互いに決定的なシュートを2本ずつ放った。しかし、スコアは4−4のまま動かずに120分間が終了。勝負はPK戦に委ねられた。

 そして、神奈川大の2人目のキッカーのシュートが右ポストを叩いたのに対し、武蔵丘短大は5人全員が成功。120分間の死闘に終止符を打った。



PK戦の勝利が決まった瞬間。頂点まで残るはあとひとつ
 神奈川大にしてみれば、リードを奪った時点で、矢野と百武を最終ラインに下げてDFラインを固めるという選択もあった。勝利という二文字を掴むためには最も現実的な方法だったはずだ。しかし、鎌田勝監督はその選択を決断しなかった。「その方法ではなく、他の方法で戦うことでプラスにして欲しかった」。神奈川大は創部してまだ4年目のチーム。チームの成長のために敢えて同じ戦い方を最後まで通したのだ。結果は敗れたが、それもまたひとつの選択だ。「この経験が将来につながるはず」と鎌田監督。初めて悔し涙を流した選手たちは必ず来年の大会でリベンジを果たしてくれるだろう。

 さて決勝戦進出を決めた武蔵丘短大。勝つために自分たちのサッカーを封印して臨んだ準決勝は紙一重の内容になったが、最後まで長いボールを蹴り続けたことが勝利を引き寄せた。「明日は自分たちのサッカーで攻める。相手は多少蹴ってくるが、それをコントロールして繋ぎたい。落ちついてやれば上手くやれるはず」と河合代表。全日本女子選手権の予選で日体大を4−1と下している事実が自信につながっているのだろう。お家芸の繋ぐサッカーで、大会5連覇を目指す女王日体大に挑む。





(神奈川大学) (武蔵丘短期大学)
GK: 佐藤富士(85分/渋江美紗子) GK: 鈴木瑠理
DF: 渋谷聡子(70分/杉田香) 住江真祐子 横山起永 DF: 鈴木舞子 李正美 柴田里美
MF: 鈴木麻友 百武江梨 矢野喬子 福田沙矢香(52分/薮崎愛) 稲葉彩依里 MF: 榎木園美加(65分/藤本優希) 武者宏美 松野みどり(75分/望月香菜美) 天満舞(81分/堀広実) 松長朋恵 上尾野辺めぐみ(69分/波多野早)
FW: 堀田えり子(85分/立岡幸子) 虎尾直美 FW: 牧野愛美
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