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 webnews 04/12/28 (火) <前へ次へindexへ>
独特なサッカーセンスを見せた牧野(武蔵丘短大10)。卒業後はアルビ
レックス新潟でプレーすることが決まっている。
王者の貫禄。日体大が武蔵丘短大を寄せ付けず5連覇を達成
第13回全日本大学女子サッカー選手権大会 決勝 日本体育大学vs.武蔵丘短期大学

2004年12月24日(金)12:00キックオフ 神戸ユニバー記念競技場 天候:晴
試合結果/日本体育大学4−1武蔵丘短期大学(前2−0、後2−1)
得点経過/[日体大]丸山(20分、28分)、[武蔵丘]牧野(60分)、[日体大]菅山(66分)、丸山(77分)


取材・文/中倉一志

「うちは日体大には相性がいい。明日は攻めます。ガンガン行きます」(河合一武代表・武蔵丘短大)。その言葉は日体大に対するチャレンジャーと言うよりは、むしろ自信を窺わせるニュアンスを伴っていた。日体大には春と、秋のリーグ戦で敗れたものの、直近の関東女子サッカー選手権では4−1で勝利。その事実からすれば、決してうなずけないものではなかった。

 実際、立ち上がりの主導権は武蔵丘短大が握った。武蔵丘短大のフォーメーションはフラット3の3−6−1。中盤で小気味良くボールを回して1トップの牧野へ。高い技術と独特のセンスを持つ牧野が起点を作り、2列目の松長、堀が裏へ飛び出し、両WBの榎木園と天満が両サイドを駆け上がる。3バックシステムを敷く日体大の両サイドのスペースを巧みに突いてチャンスを作り出していく。そして最初の決定機は10分。タイミング良く切れ込んだ牧野がGKとの1対1からシュートを放つと、ボールがクロスバーを叩いた。



ゴール前で競り合う田村奈津枝(日体大4)。最終ラインを統率して武蔵
丘短大の反撃を1点に抑えた。
 しかし、ここで浮き足立たないのが日体大の勝者のメンタリティ。連戦のため動きは重く、攻撃といえば最前線の丸山桂里奈に預けるだけ。それでもピンチの芽は確実に摘んでいく。武蔵丘短大のサイド突破にはWBが対応。そのフォローにストッパーが付いて数的有利を崩さず、中央では残りの2枚に、反対側のWBを加えた3人が待ち構えて相手に隙を与えない。最終ラインの中央を任せられたキャプテン田村奈津江のカバーリングの良さも目を引く。

 そして15分、武蔵丘短大の最終ラインのミスを突いた松窪がGKと1対1に。このシュートはGK鈴木がかろうじて弾き出したが、ここから日体大が主導権を奪い返した。華麗というよりは力強さという言葉が似合う日体大の攻撃。丸山が相手のDFラインをぐいぐいと押し込み、丸山にマークが集中して出来たスペースを松窪、川澄が使う。武蔵丘短大のフラットな最終ラインはカバーリングに難を見せ危ういシーンが増えていく。

 そんな日体大の先制点は20分。望月からのパスを受けた丸山が胸トラップから振り向くと、相手のマークをものともせずにパワフルなドリブルからゴールネットを揺らした。その後も日体大は早いタイミングで丸山にボールを預け、その力強さを武器に試合を進める。そして28分、セットプレーに対し武蔵丘短大がオフサイドトラップを仕掛けたが、その逆手を取った日体大は3人がゴール前でフリーに。最後は丸山が押し込んで2点目をゲットした。



スタンドから見守った武蔵丘短大部員。この悔しさは来年晴らす。
 2点のビハインドを追う武蔵丘短大は、後半に入ると両WBを高い位置に配して積極的に攻撃を仕掛けた。日体大の堅いDFに弾き返されながらも、何度も日体大ゴールを目指して前に出る。そして60分、遂に武蔵丘短大は1点を返すことに成功する。牧野が左45度の放ったシュートがDFに当たってコースが変わり、そのままゴールマウスに吸い込まれたのだ。サッカーでは最も難しいとされる2−0のスコア。1点を返した方がリズムを掴むのは良くあることだ。スタンドから声援を送るチームメイトのボルテージが上がる。

 しかし日体大は主導権を手放さない。両サイドで数的有利を崩さず、中央に穴を作らない堅固な守備で武蔵丘短大の反撃を抑えると、高い位置からプレッシャーをかけ、丸山にボールを集めては相手のラインを力づくで後方に追いやった。そして迎えた66分、CKのこぼれ球を菅山が蹴りこんで事実上の決勝ゴールをゲット。さらに77分には丸山が角度のないところから自身のハットトリックとなるゴールを決めて武蔵丘短大を突き放した。

 これで日体大は5連覇を達成。「日頃のトレーニングの成果。ここで点を取るぞといったときの流れを他の大学よりも知っている。流れとしては準決勝の大体大と同じような試合。15分くらいまで凌いで、20分の先制点と、その8分後の追加点。あれで落ちついた」とは森田英夫監督。流れるようなパスワークや、際立った戦術があるわけではない。しかし、堅実な守備と丸山を中心にした力強さ、そしてチャンスとピンチを的確にかぎ分ける勝者のメンタリティ。日体大は5連覇にふさわしいチームだった。



優勝盾を受け取る丸山桂里奈。決勝戦ではその存在感を見せ付けた。
「2−1になったところで、あのままいければおそらくやれると思っていたが、うちのミスを相手は必ずものにする。そういう点が違う」とは河合代表(武蔵丘短大)。しかし、足元の技術の高さとパスを繋ぐサッカーは大学女子の中では独特の色。そして、その色で対抗できる感触も掴んだはずだ。「パスを繋いで意図的にDFラインを崩してゴールにインサイドでパスをするサッカーが理想」という河合代表。学園本部の全面的なバックアップも受けて更なる飛躍を誓ってスタジアムを後にした。

 一方、安定した力を発揮した日体大は、先発メンバーのうち4年生は田村と丸山の2人だけ。1年生が4人、2年生が3人もレギュラーとしてピッチに立った。若いチームは、まだまだ多くの可能性を秘めている。「他のチームが立ちたくても立てないところに立ち、他のチームが欲しくて仕方がないタイトルを取れて、しかも5連覇を達成できた。今まで先輩たちが築き上げてきたものを引き継いで、後輩に『6連覇してね』という言葉がかけられるのが嬉しい」とはキャプテンを務めた田村。後輩たちは彼女の願いを引き継いで新たな歴史を刻んでいくことだろう。







(日本体育大学) (武蔵丘短期大学)
GK: 大友麻衣子(90分/奥平みどり) GK: 鈴木瑠理
DF: 井上夏実 田村奈津枝 菅山夏織(90分/石田直子) DF: 鈴木舞子 李正美 柴田里美
MF: 中村早樹(63分/相澤優子) 浅野麻衣子(87分/下山千晴) 角田英子 網川玲奈(78分/吉田瑞季) 川澄奈穂美 MF: 榎木園美加(70分/吉田衣里) 武者宏美 望月香菜美(45分/松野みどり) 天満舞(30分/上尾野辺めぐみ) 松長朋恵 堀広美
FW: 丸山桂里奈 松窪裕子 FW: 牧野愛美
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