飯尾一慶選手（東京ヴェルディ1969）インタビュー
第84回天皇杯全日本サッカー選手権大会　決勝　東京ヴェルディ1969vs.ジュビロ磐田


日本一になった感想を聞かせてください。

　涙が出てしまいました。個人的な事情とかも色々とあるんですけれど、ここまで優勝という二文字を経験することがなかったので、こんなにすごいものなのかなという実感が涙になって現れたんだと思います。（試合終了のホイッスルがなった瞬間は）言い表せないくらい本当に嬉しくて。残りの５分間がすごく長く感じたんで早く終われと思っていました。


きっかけになったのは飯尾選手自身のゴールでした。

　平本がヘディングで勝って、それが入ると思ったんですけれどポストに当たって、たまたま僕のところに来たんで、これはあいつとの一生のゴールだと思って。


平松選手が何度か決定的な場面を決められず、嫌な流れの中でのゴールでしたが。

　でも、あいつは絶対点を取ってくれると思っていたし、それに近いアシストもしてくれると思っていました。あいつは必ずやってくれると思ってました。


今日の試合は選手として特別なことを持って臨んだということはありますか。

　ここまで来るのに結構長かったわけですから、そういう意味では、こういうチャンスあまりこないわけじゃないですか、決勝の舞台に立てるという。ですから、泣いても笑っても、これが最後の１試合なんて全力を尽くして戦おうとみんなで言っていました。


飯尾さんご自身にとっては、この天皇杯は躍進の天皇杯ということになるのでしょうか。

　桜井さんが怪我をして自分に出番が回ってきて、桜井君が出てないから駄目だなって言われたくもなかったし、もちろん桜井君のためにも決勝に間に合ってくれると思ってやってきたわけですから、自分が出て少し成長できたかなと思います。


これで日本一。終われる立場になりましたが、いかがですか。

　初めての体験なんで、終われる立場というのは。よりいっそう努力をして更なるレベルアップをしていかないと追い抜かれてしまうんで、これからも、１日、１日を大切にして練習していきたいと思います。


世界と戦えるチャンスにも繋がりました。

　そんなチャンスは滅多にないと思うので、是非、出場したいと思います。


ベレーザとのダブル優勝についてはいかがですか。

　先にやってくれて優勝してくれて弾みをつけてくれたと思うし、自分たちも負けられないなという気持ちになりましたんで、ベレーザのみんなには本当に感謝しています。


ゴール直後のパフォーマンスなんですけれど、下に誰かのユニフォームを着ていたようでしたが。

　はい、桜井君のユニフォームを着ていました。16番のユニフォームを着てプレーしました。僕は、今年のシーズンで１点も取っていないんですよ、リーグ戦でも、ナビスコカップも、天皇杯でも。だからまさか自分が取れるとは思っていなかったので、着てみるもんだなと思いました。多分、僕、もうこのチームには来年はいないんで、そういう思いで。桜井君には普段本当に良くしてもらっていて、それて出られなくて悔しい思いをしているのが分かったんで着ようと思いました。


どうしても立ちたかった決勝戦の舞台で、後半はベンチで見守ることになりましたが、お気持ちはいかがでしたか。

　交代したことについては全然何も思っていません。それは戦術的なことなんで、優勝するための交代だったと思います。それよりも、今シーズンの１年間を振り返って、いろんなことがあった１年だったんで、そういうものがこみ上げてきて辛かった部分がありました。