topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 webnews 05/04/12 (火) <前へ次へindexへ>
流れを変えた太田の気迫。福岡、執念の逆転勝ち!
2005Jリーグ ディビジョン2 第6節 アビスパ福岡vs.ザスパ草津

2005年4月9日(土)14:04キックオフ 東平尾公園博多の森球技場 観衆:6,791人 天候:晴
試合結果/アビスパ福岡4−2ザスパ草津(前0−1、後4−1)
得点経過/[草津]宮川(6分)、吉本(54分)、[福岡]オウンゴール(60分)、グラウシオ(65分)、太田(70分)、有光(84分)


取材・文/中倉一志

 60分、川島からのパスを受けた有光が、相手DFに身体を預けられながらもゴールラインに平行に強引にドリブルを仕掛ける。そしてクロス気味に入れたボールがDFに当たってゴールネットに転がり込んだ。記録は草津のオウンゴール。しかし、強引に突破したところで勝負あり。有光のゴールへの執念が生んだ得点だった。この時点で福岡は、まだ草津に対して1点のビハインド。だが、もはや草津に福岡の勢いをとめる手立てはなかった。

 65分、グラウシオが続く。太田が落としたボールに素早く反応。中央の狭いスペースを抜け出してGKと1対1に。最後は落ち着いて右足で流し込む。逆転ゴールは70分。アレックスのクロスボールに太田が高い打点で頭で合わせると、きれいな弧を描いたボールがゴールネットへと吸い込まれた。そして締めくくりは有光。アレックスからのマイナスのクロスに右足であわせてゴールネットを揺らした。「このままでは終われないという気持ちを持って最後までやってくれたおかげ」(松田監督・福岡)。福岡の強い気持ちが勝ち点3を引き寄せた。



「前半からアグレッシブに来るチーム。点を取ると勢いが90分間続く。先制点を取ることと、乗せないことが大事」。草津との一戦を控えて松田監督はそう語っていた。ポイントは自分たちのサッカーをきちんとやり遂げて、しっかりと差をつけることだった。ところが、試合開始のホイッスルがなっても、選手たちからはいつもの張り詰めた空気が感じられない。最下位相手に油断があったわけではないだろう。しかし、試合はなんとなく始まった。

 そんな福岡の隙を草津が突いた。いつものようにアグレッシブな姿勢を見せる草津は、左SBの寺田が高い位置から突破を狙い、開始直後にセットプレーから小田島が放ったヘディングシュートが福岡のゴールポストをかすめる。そして6分、宮川のポストプレーから吉野がサイドを突破。そこからのクロスを宮川が左足で叩いた。流れるようなサイド攻撃に福岡DFは、ただボールを追うだけ。前節まで鉄壁とも言える守備を見せていた福岡の最終ラインを、草津がいとも簡単に破った。

 この1点が福岡に重くのしかかる。思いもよらない失点は福岡からリズムを奪い、攻守にわたって積極的にボールに関わる姿勢を奪い去った。そして草津は、両サイドのMFを低い位置において福岡のサイド攻撃に備え、守備的な姿勢を強くする。守りに安定感を欠く草津にとって、引いて守るのは決して得策ではないと思われたが、精彩を欠く福岡は攻撃のリズムが刻めない。グラウシオ、中村が局面で勝負を仕掛けて打開を図るが、連携を失ったチームは後が続かない。



 後半の頭から、松田監督は福嶋、宮本を下げて、太田と千代反田を投入。そして中盤をホベルトのワンボランチにしてグラウシオをトップ下に配した。戦術的な変更というよりは、気持ちを切り替えて攻撃的に行けという意思表示の采配だ。その狙い通り、福岡に攻撃のリズムがよみがえる。46分、48分、51分、そして52分。決定的なシュートが草津ゴールを襲う。ところがゴールを奪ったのは草津。千代反田のマークをはずした吉本がドフリーの状態からCKに頭で合わせた。

 形の上では選手交代が裏目に出た失点。福岡の選手が頭を下げる。草津にとってはこれしかない展開。さらにキックオフ時点で24.4度の気温は選手から確実に体力を奪っている。草津のジャイアントキリングが現実のものになるかと思われた。ところが、そんなムードを太田が一変させる。「俺が出て絶対に逆転してやると思っていた」。そう語る太田は気迫溢れるプレーで前線で起点を作る。それに触発されるように福岡の選手が再び顔を上げた。

 そして生まれた60分のゴール。これで福岡は完全に息を吹き返した。足が止まってしまった草津には1点を守りきる力は残されていなかった。63分、松田監督は松下に代えて山形を投入。さらに攻撃的姿勢を強める。ここからは福岡のゴールラッシュ。一時は典型的な負けパターンに陥った福岡だが、最後は実力の差をゴールの差に結びつけた。「やはりサッカーは90分。地力の差が出た」。そういって手塚監督はうなだれた。



 両チームの力関係から言って、福岡には勝ち点3が義務付けられていた試合。そういう意味では当然の結果とも言える。しかし、勝ち点3ともかく、福岡はこの試合で大きなものを手にした。厳しい試合を最終的に決定付けるのは勝利に対する強い気持ち。それを表現しての4ゴールは、何物にも変えがたいものだ。昨年からの課題とされている決定力不足を解消するために、何かきっかけが欲しかった福岡だが、そのきっかけを選手たちが自分の手でつかみとった試合だった。

 さて敗れた草津。悔しい敗戦も、現時点での持てる力は発揮したと言っていいだろう。課題は守備。カバーリングとマークの受け渡しに難が見られ、思い通りに進めていた前半でさえ簡単にスペースを取られ、足が止まった後半は、いいように1対1の局面を作られては突破を許した。前に出て行くことで守備をカバーする4−1−4−1のシステムは流れによっては機能するものの、やはり長いシーズンを戦い抜けるシステムではない。安定した戦いを続けるためには守備面の整備が急務だ。


※監督記者会見、ならびに試合後の選手コメントは以下でご覧になれます。
手塚聡監督(草津)記者会見 http://www.jsgoal.jp/club/2005-04/00018015.html
松田浩監督(福岡)記者会見 http://www.jsgoal.jp/club/2005-04/00018016.html
試合後の選手コメント http://www.jsgoal.jp/club/2005-04/00018013.html


(アビスパ福岡) (ザスパ草津)
GK: 水谷雄一 GK: 岩丸史也
DF: 川島眞也 宮本亨(45分/千代反田充) 岡山一成 アレックス DF: 依田光正 小田島隆幸 籾谷真弘 寺田武史(86分/堺陽二)
MF: 中村北斗 松下裕樹(63分/山形恭平) ホベルト グラウシオ MF: 氏家英行(74分/小久保純) 鳥居塚伸人 酒井良 山口貴之
FW: 福嶋洋(45分/太田恵介) 有光亮太 FW: 吉本淳(69分/御給匠) 宮川大輔
<前へ次へindexへ>
topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送