topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 webnews 05/09/20 (火) <前へ次へindexへ>
3年ぶり6度目の優勝を飾った千葉県代表イレブン
圧巻、通算17得点。攻撃サッカーの千葉県代表が頂点に。
第60回国民体育大会(晴れの国岡山国体) 少年男子最終日


取材・文/中倉一志

 晴れの国岡山国体の名にふさわしく晴れ渡った第60回国民体育大会・夏季大会の最終日。朝早くから強い日差しが降り注ぎ、午前中のうちに気温は30度を越えた。そんな真夏を思わせるような気候の中、水島緑地福田公園陸上競技場で、少年男子決勝戦、ならびに3位決定戦が行われた。サッカーの試合をするには、いささかハードな条件だったが、それでも選手たちは連戦の疲れを感じさせずはつらつとプレー。最終日にふさわしい好ゲームを展開した。

 注目の決勝戦は、ここまで4試合を戦って14得点と破壊的な攻撃力を誇る千葉県代表が群馬県代表と対戦。16分に先制点を奪うと、激しく追い上げる群馬の攻撃をかわしてカウンターから効果的に2点を追加。終了間際の群馬の総攻撃を凌いで3年ぶり6度目の優勝を飾った。なお、決勝戦に先立って行われた3位決定戦は、滋賀県代表と東京都代表の顔合わせ。東京都代表がPKで先制したが、後半に勝負を仕掛けた滋賀県代表が逆転。銅メダルに輝いた。


■流れを変えた選手交代(3位決定戦 滋賀県代表vs.東京都代表)

2点目を決めてガッツポーズの青木孝太(15)。これが決勝ゴールとなった
 滋賀代表は3−5−2、東京代表が4−4−2で始まった3位決定戦。試合はパス回しに優れる滋賀がボールをキープしながらゴールチャンスをうかがい、東京が堅守を軸にカウンターを狙うという図式で進んでいく。しかし、気温31度という厳しい条件の中では、互いに必要以上のリスクは犯さず、試合はこう着状態が続く。試合が動いたのは27分、東京は益子(3年)からのパスを受けた村田(3年)がワンタッチでボールを流すと、そこへ走りこんで来た益子がボールをコントロールしてから右足でゴールネットを揺らして貴重な先制点をゲット。少ないチャンスをものにした東京が1−0で前半を折り返した。

 後半に入ると、滋賀は乾(2年)と楠神(3年)を投入して、試合の流れを引き戻しにかかる。前半と変わらぬ堅守を誇る東京だったが、この2人の投入で前へ、前へと出てくる滋賀の攻撃に次第に足が止まり始め、やがて滋賀が得意のパスワークで主導権を奪い返した。そんな滋賀の同点ゴールは51分。荒堀(3年)が出したラストパスがこぼれたところへ乾が飛び込んだ。その勢いのままに攻め立てる滋賀は終了間際の58分、乾、平原(3年)、青木(3年)と繋いで中央を突破して決勝ゴールを挙げた。

「準決勝で流した涙は今日、絶対に晴らそうと言って試合に臨んだ。後半がすごくよかったし、自分たちのサッカーが出来た。いいゲームだったと思う。1失点も後半に返せると言う選手の気持ちがあった。気持ちの面で凄く充実していた」とは森薫監督・滋賀。「勝って終われるというのはいいもの。1位と3位だけですから」と笑顔を見せた。合言葉である「日本一を取る」という目標は果たせなかったが、3位という結果は誇れるもの。今年行われた全国中学校大会でも滋賀代表はベスト4に入っており、滋賀県サッカー関係者のジュニアユース、ユース年代の指導が実った形になった。

「大きな目標はお預け。また次の世代にということで。次は、この国体で得たもの、自分たちが成長した姿を滋賀県で見せること」(同監督)。滋賀も、東京も、それぞれの選手は代表チームを離れて母校に戻り、この国体で得た喜びや悔しさを胸に新たな目標に挑む。更に大きくなった姿を再び全国の大会で披露することを誓って。

健闘及ばず4位の東京。しかし国体で得た経験は大きい

2005年9月13日(月)9:00キックオフ 水島緑地福田公園陸上競技場 試合形式:70分 観衆:200人
試合結果/滋賀県代表2−1東京都代表(前0−1、後2−0)
得点経過/[東京]益子(27分)、[滋賀]乾(51分)、青木(58分)

(滋賀県代表)
GK 高橋裕樹
DF 竹中陽祐 片山直哉(HT/乾貴士) 吉山幸宏
MF 田中雄大 金本竜市 平原研 荒堀謙次 瀧川陽(HT/楠神順平)
FW 平石竜真 青木孝太

(東京都代表)
GK 山下和渉太
DF 織茂敦 伊藤龍 新井辰也 三原直樹
MF 益子義浩 弦巻健人 村田翔 大竹隆人
FW 樋口亮(HT/佐々木景一) 藤波大登(59分/常盤聡)



■群馬のパワープレーも及ばず。千葉が3年ぶり6度目の優勝を果たす(決勝戦 群馬県代表vs.千葉県代表)

先制ゴールを決めた長谷川(青・10)
 群馬代表のフォーメーションはボックス型の中盤を敷いた4−4−2。高い位置からボールを追い、奪ったボールはボランチの位置からトップ下へ顔を出す高田大将(3年)が捌く。大きなサイドチェンジとディアゴナルパスを多用してスペースを意識したサッカーが持ち味だ。対する千葉代表は3−6−1。長身187の長谷川悠(3年)をターゲットにして、その長谷川が落としたボールに、トップ下でプレーする特手翔平(3年)と、船山貴之(3年)、森野徹(3年)の両サイドハーフが飛び出していく。

 先制点を挙げたのは、立ち上がりから試合を押し気味に進める千葉。16分、後方からのロングフィードが大きくバウンドしたところを巧みに身体を入れ替えて裏へ出た長谷川がGKと1対1に。GKの動きを冷静に見極めた長谷川は、心憎いループシュートをゴールに送り込んだ。しかし、ここからは一進一退の展開。群馬は堀越寛人(3年)が長谷川のマークについて自由を与えず、千葉は出足鋭く中盤でプレッシャーをかけ、群馬のパスワークを封じていく。

 そして、緊迫した展開を経てペースを掴んだのは群馬。攻撃的な姿勢を全面に出す群馬は、次第に持ち味のパスワークがリズムを刻みだし、スペースを巧みに使って前へ、前へとボールを運ぶ。流れは悪くない。しかし、高い集中力を維持する千葉も、押し込まれても決してシュートチャンスを与えなかった。そして前半のロスタイム、群馬が前がかりになった裏を突いた千葉は、特手、森野とパスをつないで中央突破。群馬のクリアがこぼれたところを村山充(3年)がゴールに流し込んだ。



持ち味を出して果敢に反撃を試みた群馬県代表だったが・・・
 後がなくなった群馬は、両サイドのMFの位置を高くして変則3トップのような形で前に出る。対する千葉は、堅守からカウンターという定石通りのサッカーで試合を進める。テンポ良くショートパスをつなぎ、勝負所でドリブルを仕掛け、必死にゴールを目指す群馬。群馬にとって決して流れは悪くない。だが、前半同様、シュートに持ち込ませてもらえない展開が続く。それにしても千葉の集中力は高い。2点リードしているという余裕に加え、苦しい戦いを勝ち抜いたことで守備にも安定感が出てきたようだ。

 とにかく点が欲しい群馬は、65分過ぎに最終ラインにいた堀越、大河原亮(3年)、市川祐樹(3年)を最前線に配置。そして2列目にFWと両サイドのMFの4人を並べて、徹底したパワープレーに出る。前線に放り込まれるボール。最前線でハイボールを競り合う群馬と千葉。そして群馬の2列目から4人が前線に飛び出していく。次の1点で試合の流れが変わりかねない展開に、観客だけではなく、関係者の目もピッチに釘付けになる。

 そして68分、その貴重なゴールが千葉に生まれた。中盤でボールをキープした千葉は、森野、長谷川の2人のパス交換から左サイドを突破。そこからの折り返しに船山が右足を合わせてゴールネットを揺らした。絵に描いたような見事なカウンター。点を取りに行っていた群馬にとっては、やむを得ない失点だった。これで決着がついた。「決勝戦では3点なんて取れるものじゃない。けれど、この子達は取れちゃうんですよ」とは島田洋監督(千葉)。千葉は評判の破壊力で国体の頂点に立った。



「いやあ、こいつら凄いですよ」。ピッチサイドで待ち構えていた報道陣に囲まれた島田監督は、そう言って口火を切った。2回戦の鹿児島県代表に始まって、静岡県代表、東京都代表、そしてこの日の群馬県代表と、並み居る強豪との連戦は一息も入れることはできなかったはずだ。しかし、「決まりごとは何もない」という多彩な攻撃は打ち合いを制する原動力となり、ここまで9失点の守備を修正して強豪・群馬の攻撃を0に抑えた。文句なしの国体チャンピオン。優勝カップを中心に記念写真に納まる選手たちの表情は誇りと自信に溢れていた。

群馬県の3位はチームワークの賜物
 一方、敗れた群馬も胸を張っていい大会だった。大会前は怪我人が多く練習試合に11人しか選手が揃わないこともあった中で掴んだ準優勝のトロフィー。チームがひとつになって戦った結果だった。「勝ち上がってきたのはチームワークのおかげ。チームとしてのスタート時からまとまっていたし、両エースがいない中、しかも怪我人が多い中でも雰囲気は良かった。チームワークの良さが、ここまで来た最大の要因」(眞野健彦監督・群馬)。悔しさとともに手に入れた経験の数々は、選手たちにとって何ものにも変えられない宝物になるはずだ。


2005年9月13日(月)10:50キックオフ 水島緑地福田公園陸上競技場 観衆:600人
試合結果/群馬県代表0−3千葉県代表(前0−2、後0−1)
得点経過/[千葉]長谷川(16分)、村山(34分)、船山(68分)

(群馬県代表)
GK 土田健太
DF 堀越寛人 笠原嵩太 大河原亮 市川祐樹
MF 吉岡聡(54分/松澤健祐) 高田大将 大朏秀人(62分/堤秀幸) 岩沼俊介
FW 田中亜土夢 藤倉千明

(千葉県代表)
GK 桐畑和繁
DF 石川大徳 鴇田将己 駒ヶ嶺克好 大島嵩弘
MF 濱屋祐輝 村山充 森野徹(69分/千明聖典) 船山貴之
FW 長谷川悠(69分/中台晶大) 特手翔平(61分/伊藤大介)
<前へ次へindexへ>
topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送