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 webnews 05/11/10 (木) <前へ次へindexへ>
好調、FC東京。危なげなく福岡を下して5回戦へ
第85回天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦 FC東京vs.アビスパ福岡

2005年11月3日(木・祝)13:00キックオフ 味の素スタジアム 観衆:7346人 天候:曇り一時晴れ
試合結果/FC東京2−0アビスパ福岡(前0−0、後2−0)
得点経過/[東京]阿部吉朗(52分)、鈴木規朗(57分)


取材・文/中倉一志

 開場とともにFC東京側ゴール裏が次々と埋まっていく。その流れは止まることなく、程なくゴール裏1階席が満員のサポーターで埋められた。そんなサポーターの大声援を背中に浴びながら、FC東京イレブンがピッチの上に姿を現す。ピッチに並ぶイレブンは当然のようにベストメンバー。思わぬ不振に陥り、リーグ戦、ナビスコ杯ともにタイトル争いに加われなかったFC東京にとって、天皇杯はタイトル獲得の今シーズン最後のチャンス。万全の体制で福岡を迎え撃つ。

 一方、アウェイの地に乗り込んできた福岡はリーグ戦とはがらりと変わる顔ぶれがスタメンに並ぶ。J1昇格争いが佳境を迎える中、前節のリーグ戦を含めて1週間で3試合を消化するタイトなスケジュールを乗り切るために、怪我や疲労からの回復状況を優先させたためだ。しかし、リーグ戦での出場機会のない選手にとっては、数少ないアピールの場所。選手たちのモチベーションは高い。



 天皇杯への意気込みを表すかのように、立ち上がりから積極的な動きを見せるFC東京が主導権を握る。1トップのルーカスが巧みにボールを引き出して起点を作ると、右からは阿部が、左からは鈴木が飛び出していく。加えて、馬場、鈴木、阿部が巧みにポジションチェンジをしながらボールを回し、心境著しい梶山がタイミングよく攻撃参加を試みる。中盤の底では今野がバランスを取り、ジャーン、茂庭を中心とする最終ラインは堅固な壁を作る。

 だが、福岡も負けてはいない。FC東京のぶ厚い攻撃にひるむことなく、前からボールを追ってプレッシャーをかける。ジャーンにはボールをキープされるものの粘り強く身体を寄せて決定的な仕事をさせず、2列目から飛び出してくる阿部、馬場にも、良く喰らいついている。そして10分過ぎからは、シンプルなパス回しからサイドへ展開してチャンスも作り出す。ターゲットになる太田の強さと、大塚のスピードが光る。

 20分過ぎからは再びFC東京のペース。金沢が放った強烈なミドルシュートを皮切りに、26分には阿部が、28分には、今野、馬場が決定的なシュートを放つ。それでも、福岡はゴールを許さない。しつこく前からプレッシャーをかけ、突破を図るFC東京に最後まで喰らいつき、決定的な場面では身体を投げ出してゴールを守った。決してFC東京が悪かったわけではない。福岡のアグレッシブな姿勢がそれを上回った。結局、前半はスコアレスのまま終了した。



 失う物を持たないチームが上位チームにアグレッシブにぶつかる天皇杯では、上位チームにとっては初戦が難しいのはいつものこと。主導権を握りながらも、決めきれないうちにリズムを崩すパターンは良く見られる光景だ。この日の味の素スタジアムにも、そんな空気が流れる。それを敏感に察したのか、FC東京サポーターの野太い声援が、一段と大きくなってスタジアムに響く。しかし、FC東京は少しも慌てていなかった。そして、丁寧にサイドからの攻撃を繰り返す。

 そして52分、FC東京は自分たちの形から先制点を奪う。福岡のパスをインターセプトした茂庭が左サイドへ展開。藤山を経由したボールが鈴木へ渡り、鋭いクロスボールがゴール前へ入る。そこへ飛び込んできたのは阿部。ピンポイントのクロスボールに頭を合わせてゴールネットを揺らした。これで一気に流れがFC東京に傾いた。「失点してからは、相手のボール回しが上手いというか、取りに行っても取れなくて、思うようにやられた」(山形辰徳・福岡)。次第に互いの実力差が露になっていく。

 FC東京の追加点は57分。「いつものように枠にめがけて蹴ったら、たまたま壁に当たって。浮いているときに入るかなという感じはあった」(鈴木規郎・FC東京)。福岡の壁に当たった鈴木のFKが、ふわりと浮いてGK塚本の頭上を越えると、そのままゴールマウスに吸い込まれた。この後も、判断のスピード、攻守の切り替えのスピードでJ2との違いを見せ付けるFC東京は福岡を圧倒。追加点こそ挙げられなかったが、危なげなく5回戦へ駒を進めた。福岡が後半に放ったシュートは1本のみ。最後までアグレッシブに戦ったが、力の差はどうしようもなかった。



 難しくなりかけた試合を、少しも慌てずに自分たちのサッカーを丁寧に続けたFC東京。それはチーム状態が良くなっている証拠。「丁寧に外から崩していけば必ずチャンスはある」という原博実監督(FC東京)の指示を忠実に守って、実力どおりに福岡の挑戦を退けた。リーグ戦で7試合連続負けなしを続けていることといい、福岡相手に地力の差を示したこの日の試合といい、FC東京は、ようやく本来の力を発揮し始めたようだ。天皇杯はもちろん、終盤を迎えるリーグ戦でも、いい結果が期待できそうだ。

「最終的には個の力の差が出たかなという気がする」とは松田浩監督(福岡)。組織の力でFC東京の攻撃をしのぎ、カウンターからチャンスを窺うという狙いも、最後は力の差に屈することになった。特に顕著に違いが現れたのがスピードの差。判断のスピード、ボールを受けてから次のプレーに映るスピード、攻守の切り替えのスピードには明らかな差があった。選手たち1人、1人はアグレッシブに戦ったが、J1との力の差をみせつけられた試合でもあった。


松田浩監督(アビスパ福岡)記者会見
原博実監督(FC東京)記者会見


(FC東京) (アビスパ福岡)
GK: 土肥洋一 GK: 塚本秀樹
DF: 藤山竜仁 ジャーン 茂庭照幸 金沢浄(HT/加地亮) DF: 川島眞也 柳楽智和 長野聡 山形辰徳
MF: 梶山陽平 今野泰幸 鈴木規郎 馬場憂太(80分/栗澤僚一) MF: 大塚和征(66分/平島崇) 松下裕樹 村主博正(82分/城後寿) 有光亮太
FW: 阿部吉朗 ルーカス(60分/ササ・サルセード) FW: 太田恵介 釘ア康臣(66分/林祐征)
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