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 webnews 05/11/14 (月) <前へ次へindexへ>
疲労困憊の末につかんだ勝利
第85回天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦 ガンバ大阪vs.横浜FC

2005年11月9日(水)19:01キックオフ 万博記念競技場 観衆:2735人 天候:晴
試合結果/ガンバ大阪3−3(7PK6)横浜FC(前0−1、後2−1、延前0−1、延後1−0)
得点経過/[横浜]内田(19分)、久保田(52分)、[G大阪]山口(54分)、大黒(89分)、[横浜]小野(94分)、[G大阪]三木(119分)


取材・文/下薗昌記

 わずか4日前のナビスコ杯決勝では延長戦で120分の死闘を繰り広げた末、PK戦で敗れたG大阪。ピッチ上では目の前にいる横浜以外に「疲労」「けが人」とも戦わなければいけなかったリーグ戦トップチームは、この日「二つの顔」を見せた。



 大黒と二川、負傷の遠藤を欠きベストメンバーには程遠いG大阪は、立ち上がりから、久々の先発出場を果たした吉原の豊富な運動量と、左サイドの「仕事師」家長の仕掛けで横浜陣内に迫るが、エースのアラウージョは疲れのせいか明らかに切れがない。また、G大阪の心臓ともいえるボランチの遠藤の代役を務めた児玉が明らかに役不足の出来で、効果的なサイドチェンジやフェルナンジーニョらを飛び越すようなダイナミックな前への動き出しも見られず、攻撃が活性化する兆しはなし。

 いつもならそのクレバーさと運動量で「黒子」を務めきるはずの橋本までもが、動きが鈍く通常ではありえないパスミスや判断ミスを繰り返す有様では、中盤から前へのパスワークがかみ合うはずもない。前半のG大阪は3バックとボランチの間で迷うようなパス交換を幾度となく繰り返し時折、らしくないロングボールを前線に蹴りこむスタイルに終始した。

 対照的にJ2で福岡を破るなど上昇気流に乗る横浜FCは、4バックを比較的高い位置に保ち、左右の両サイドから丁寧な攻めを見せ、前半は完全にゲームを支配。記者の手元にある観戦メモでも圧倒的に横浜の好機だけが記されていく。

 19分、一発勝負のカップ戦でのジャイアントキリングに欠かせない格下チームの先制点が生まれる。城に当てたボールを山口が、前線に攻め上がった内田に絶妙のスルーパス。鋭く持ち上がった内田が、強烈にG大阪ゴールを揺さぶり、先制点をもぎ取った。

「今日はメンバーを入れ替えたこともあり、勝ち上がる意欲と気持ちが薄かった」とその前半の出来を西野監督が振り返ったように、疲労が抜けきっていないG大阪は、失点を機にさらにリズムが悪化。たまりかねた指揮官は早くも30分過ぎに、温存していたはずの大黒と二川にアップを命じるはめに。



「後半仕掛けてくるのは分かっていたが、予想以上に凄かった」。勝負に「たら」「れば」はないが、もし横浜が勝利していれば文句なしのマン・オブ・ザ・マッチのはずだった内田は、前半とは打って変わったサッカーを展開したG大阪に脱帽した。大黒と二川を投入した後半、G大阪は自慢の攻撃陣が本領発揮。一際目立ったのが、児玉に代わった二川だ。「いいところでボールを収めてくれて、周りもどんどん動けるようになってきた」と後半、見違えるような好プレーを披露した家長は二川の存在を高く評価。さらには前半は孤軍奮闘気味だったフェルナンジーニョも二川というもうひとつの起点を得たことで、生き生きとキレのあるドリブルでチャンスを演出。52分には久保田に追加点を許したものの、G大阪の攻めが完全復活したこともあり、不思議とスタジアム内には「大物食い」が起こる試合特有のざわめき感が漂わない。

 54分にはCKから山口が得点し、1点差としたG大阪は、不調のアラウージョに代わってリーグ戦での出場経験がない長身の若手FW三木を前線に入れるパワープレーを選択。結果的にこの西野采配が的中する。「笛が鳴るまで絶対にあきらめていなかった」。ここのところ得点から見放されていた大黒が89分、体ごと押し込む執念の同点ゴールで、試合を振り出しに。しかし、4日前のナビスコ杯決勝同様、再び延長戦に突入したG大阪に予期せぬアクシデントが襲い掛かる。

 延長前半、接触プレーで山口が負傷したものの、すでに3枚のカードを切っていたため、1人少ないハンディを背負ったままの戦いを強いられたG大阪は再度、勝ち越しを許し苦しい展開に。スタジアム内にいた2735人の観衆が初めて、今年の天皇杯最初の番狂わせを予感し始めた119分、G大阪が底力を見せる。鬼神のごとき勝利への執念を見せ、再三前線に好パスを供給していたシジクレイからのボールを右SBの高田が痛恨の処理ミス。大黒がしつこく絡んで奪ったボールは185センチの長身FWの足元に。「同世代はみんな活躍している。(試合に)出たらやってやろうと思っていた」。ユース上がりの20歳の貴重な初ゴールがチームを屈辱から救った。



 PK戦では7人目のキッカーの三木が失敗し、再びPK戦での敗退という悪夢がちらつき始めたが、試合中、終始不安定だった松代が意地を見せる。「3点取られたし、止めないとヤバイと思っていた」。7人目、8人目を見事な読みで連続でストップ。リーグ戦、ナビスコ杯決勝と続いた負けの連鎖にピリオドを打った。

 この日G大阪は「正と負」の成果を手にした。前者は、勝利への執念と三木という「高さ」でのオプション。後者は、2試合続けてのPK戦突入による疲労と山口の長期離脱である。どちらが重みを持つことになるのか――それはリーグ戦が終了した時点のG大阪の順位で明らかになる。


●両監督の試合終了後の記者会見コメント


(ガンバ大阪) (横浜FC)
GK: 松代直樹 GK: 小山健二
DF: 山口智 シジクレイ 入江徹 DF: 小野智吉 トゥイード 早川智伸
MF: 松下年宏 橋本英郎 児玉新(HT/二川孝広) 家永昭博 フェルナンジーニョ MF: 中島崇典 北村知隆(87分/高田保則) 内田智也 山口素弘 吉武剛(59分/小野信義)
FW: 吉原宏太(HT/大黒将志) アラウージョ(67分/三木良太) FW: 久保田学(73分/貞富信宏) 城彰二
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