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 webnews 05/11/15 (火) <前へ次へindexへ>
選手入場を待ち受ける、仙台スタジアムのバンデーラ。
破竹の仙台、とうとう3位に浮上。
2005Jリーグ ディビジョン2 第40節 ベガルタ仙台vs.ザスパ草津

2005年11月13日(日)13:34キックオフ 仙台スタジアム 観衆:17,315人 天候:晴
試合結果/ベガルタ仙台1−0ザスパ草津(前0−0、後1−0)
得点経過/[仙台]千葉(77分)


取材・文/西森彰

 混戦のJ2も終盤戦。京都パープルサンガが昇格を決定し、2位がアビスパ福岡。3位のヴァンフォーレ甲府のすぐ後ろ、4位にピタリとつけているのがベガルタ仙台だ。

 開幕当初は都並敏史監督が想定していたレギュラー陣に故障者が続出し、ベストメンバーが組めなかったこともあって大出遅れ。しかし、その後は団子状態が続く展開にも助けられて、ジリジリと順位を上げてきた。残り5試合で2位の福岡と7差は、最終戦に直接対決を残すだけに、まだまだ射程圏。2差の甲府は言わずもがなだ。

 その前に立ちはだかるのはザスパ草津。こちらは序盤から黒星が先行し、第4クールに入っても2分4敗と白星なし。前節の敗戦で早々とJ2最下位が確定してしまっている。成績不振に連動して、クラブ経営の悪化や不祥事までが漏れ伝わってくる。ネガティブ要素の悪循環をこの辺で断ち切って、仙台スタジアムに乗り込んできているファンと喜びを分かち合いたい。



 13時34分、試合開始を告げる笛が、岡田正義主審によって鳴らされた。序盤は五分。草津が小久保純からのセットプレーで仙台のゴールを狙えば、仙台もシルビーニョが起点になって、前、左右にボールを散らし、草津のゴールを脅かす。

 15分頃からは仙台が押して草津が受ける格好でゲームの形が定まった。活発化してきたのが、仙台の右サイド。大柴克友と中田洋介が後先を考えないペースで縦にへ突進しする。ふたりの積極的な姿勢が仙台に流れを引き寄せたが、草津も守勢に回るのは計算ずみ。自陣に人数を割いた分厚い守備で、最終的なターゲットとなるバロン、シュウェンクの自由を奪う。

 仙台は徹底したファーサイドへのハイボールに活路を求める。中央でバロンが触ればよし、触れなくてもファーに飛び込んだ選手が、バロンを囮にしてゴールを狙う。この形から、15分にバロン、17分に大柴が頭でゴールを脅かすが枠の外。前半終了間際にも、シルビーニョのクロスを再びバロンが頭をあわせたが、これもGKの真正面。草津のゴールをこじ開けられず、前半終了の笛を聞いた。

 30分遅れで始まった笠松陸上競技場の試合で、水戸が甲府から先制点を挙げていた。その情報が大型ビジョンに映し出されると、これに気づいたスタンドから軽いどよめきが上がった。このゲームに勝てば3位が大きく近づく。



これぞ破竹の勢い。引き分けを挟んで5連勝だ!
ただ目の前のチームを支えるためだけに、草津のファンは仙台に
向かった。
 後半に入っても圧倒的な仙台ペースが続いたが、スコアは動かない。48分、シュウェンクがペナルティボックス内で打ったシュートも、草津GK・小島伸幸がビッグセーブに遭う。都並監督は60分、早くも2枚の選手交代を行なう。熊谷浩二、財前宣之から千葉直樹、梁勇基。70分には3枚目のカード・関口訓充を投入。運動量を補充しつつ、試合の流れを離さない。仙台が手の内を出し切った後で、草津の手塚聡監督も2枚のカードを切る。

 いよいよゲームは勝負どころ、ラスト15分の攻防へ入った。そして77分、押し込んでいた仙台のパスワークが一瞬乱れ、草津のコーナーフラッグへルーズボールが流れた。放っておけばゴールキックだった。しかし、前半から走り詰めの中田が、懸命にこのボールを追いかけ、最後は滑り込んでこのボールを生かす。最終的にはボールが草津のDFに当たってゴールラインを割った。中田の執念がこのコーナーキックを産み出した。

 このゲームで最も大きな「レッツ、ゴー、センダイ!」の声が、仙台スタジアムの屋根にこだまする。その中で、シルビーニョがコーナーフラッグへ向かう。その足から放たれたボールは、交代出場した千葉の頭を経由し、草津ゴールの左スミへ飛び込んだ。虎の子の1点をもたらした千葉の周囲に仙台の選手の輪ができる。スタンドを黄金色に染めたファンたちも、実った稲穂のようにその体を揺らしていた。



 草津はこれでリーグ戦3連敗。出てくるしかない仙台の攻撃を耐えて、カウンター狙いのゲームプランに持ち込んだ。しかし、そこから相手の息の根を止める一刺しがなかった。それほど固いとは思えなかったこの日の仙台の守備を破れなかったのは、それこそ決定力不足ということだろう。得点の気配が感じられたのは小久保、そしてこれに代わった氏家英行のセットプレーくらい。まだしばらくは苦しい戦いが続きそうに思える。

 一方、勝った仙台は1引き分けを挟んで5連勝。監督、選手全員が「勝ち点3以外いらない」の意志をはっきりと持って戦っていた。ゴールのきっかけとなるコーナーキックをもたらした中田のプレーはその象徴だ。そしてその最後の一歩を後押しするのが、ホーム1試合平均で15,000人強を誇るファンだ。2番目に多いコンサドーレ札幌に約1.5倍する声援は時に両刃の剣ともなるが、伸るか反るかの状況では大きな力だ。

 この日の勝利で水戸ホーリーホックに敗れた甲府を交わして3位に浮上した。入れ替え戦圏内に入ったわけだが、2位の福岡との差も最終戦の勝利を計算に入れれば4差。今の勢いを持ってすれば不可能な数字ではない。西京極の空に勝利の虹を描いてから4年。仙台は再び昇格に近づきつつある。


(ベガルタ仙台) (ザスパ草津)
GK: 高桑大二朗 GK: 小島伸幸
DF: 中田洋介、木谷公亮、根引謙介、村上和弘 DF: 杉山琢也(78分/樹森大介)、齋藤竜、チカ、籾谷真弘
MF: 熊谷浩二(60分/千葉直樹)、シルビーニョ、大柴克友、財前宣之(60分/梁勇基) MF: 後藤涼(72分/酒井良)、小久保純(72分/氏家英行)、櫻田和樹、佐田聡太郎
FW: シュウェンク(70分/関口訓充)、バロン FW: 吉本淳、佐藤正美
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