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 webnews 05/11/17 (木) <前へ次へindexへ>
気迫と辛抱強さ。福岡がJ1昇格へ向けて大きく前進
2005Jリーグ ディビジョン2 第40節 アビスパ福岡vs.コンサドーレ札幌

2005年11月13日(日)19:04キックオフ 東平尾公園博多の森球技場 観衆:9,269人 天候:晴
試合結果/アビスパ福岡3−0コンサドーレ札幌(前1−0、後2−0)
得点経過/[福岡]千代反田(34分)、長野(84分)、グラウシオ(89分)


取材・文/中倉一志

「全体として選手のハートを感じたゲーム」(松田浩監督・福岡)
「積極性がなかったと思う。攻撃も、守備も。臆病なプレーがたくさん見られた」(柳下正明監督)

 2位以内でのJ1昇格を目指す福岡にとっても、入れ替え戦への出場を目指す札幌にとっても、絶対に勝たなければいけなかった試合。それだけに、試合後の記者会見では両監督は対照的な姿を見せた。これも勝負の世界の厳しさ。結果が違っていれば、その立場は全く変わっていたはずだ。ともに、この日のために万全の準備を積み、戦う気持ちを高めて臨んだ試合。しかし、結果は福岡の完勝。福岡は条件付ながらJ1昇格に王手をかけ、札幌は3位仙台に勝ち点7の差をつけられて3位以内確保が厳しくなった。

 両チームを分けたもの、それは勝利に対する気迫と辛抱強さの差だった。決して、札幌の試合への入り方が悪かったわけではない。立ち上がりは、両チームともに研ぎ澄まされた集中力と緊張感を持って試合を展開。静かな立ち上がりの中にも局面で激しくぶつかり合った。しかし、あらゆる場面でボールに先に触る福岡のプレーが、じわじわと札幌を追い込んだ。おそらく、それは数10センチの差。3−0という得点差は、福岡が90分間に渡って辛抱強く、わずかな差を維持し続けたからこその結果だった。



 立ち上がりは、前に出ようとする福岡に対して、札幌が激しくプレスをかける展開。その出足は鋭く、ボールホルダーを2人、3人と囲みにいく。しかし、福岡は慌てなかった。相手のプレスにムキにならず、しかし下がりすぎることもなく、辛抱強く対応していく。こぼれたボールが結果的に札幌のものになっても、とにかく先にボールに触るのは福岡。そして、相手が出てくるところには激しくぶつかって前へ行くことを許さない。

 やがて、緊迫した膠着状態で進む試合の主導権を握ったのは福岡。前線からの守備で札幌にチャンスを与えず、ボランチの位置で輝く中村が生き生きとしたプレーを見せ、そしてロングボールに活路を見出そうとする札幌の攻撃を、千代反田と長野がことごとく跳ね返す。攻めては、グラウシオが楔のボールを受け、田中がスペースへ走りこみ、そしてサイドから札幌を崩しにかかる。決定機は訪れないが、丁寧に、繰り返し、繰り返し、自分たちのサッカーを続けていく。

 試合が動いたのは34分。右サイドで得たFKのチャンスにアレックスが左足を振りぬく。きれいなカーブを描いて絶妙な位置へ飛んでいくボール。これに頭で合わせたのは千代反田。自身のJリーグ100試合出場を飾る貴重な先制点を叩き出した。だが、この1点で吹っ切れたのか、ここから札幌がリズムを刻んで福岡陣内に攻め込んでいく。しかし、我慢強く跳ね返す福岡は札幌にゴールを許さず。結局、試合は1−0の福岡リードで前半を折り返した。



 後半に入って前に出るのは札幌。そして51分、柳下監督は田畑に代えて鈴木を投入。中盤をワンボランチにして金子をトップ下に上げる。続く59分には岡田をベンチに下げて中山を投入。攻めろという意思表示を選手交代で示す。対する松田監督は、55分に田中に代えて岡山を、66分には札幌の中山投入に対応して山形辰徳を宮本に代える。福岡陣内で進むゲーム。札幌が振り出しに戻すのか、福岡が凌ぎきるのか、スタジアムが緊迫感に包まれる。振り返れば、この時間帯の攻防が勝負の分かれ目だった。

 65分過ぎまで続いた、この主導権争いに勝利したのは福岡だった。ここでもモノを言ったのはボールに対する積極的な働きかけと前線からの組織立った守備。福岡の選手たちからは、何があってもボールをを渡さないという気迫が伝わってくる。勝つことしか許されない札幌は攻めるしかないのだが、前へ出ては福岡の堅牢な守備組織につかまり、ルーズボールを支配され、そして、カウンター攻撃にさらされた。攻めているように見えて、福岡の術中にはまった札幌。この間、シュートを1本しか打たせてもらえなかった。

 そして84分、福岡に追加点が生まれる。1点目同様、アシストはアレックス。左サイドで得たFKが再び絶妙なコースへ。それに合わせたのは長野。プロ初ゴールが勝負を決定付ける貴重な2点目となった。これで札幌は意気消沈。そして89分には、グラウシオが駄目押しの3点目ゲット。最後まで集中力を切らさずに辛抱強く戦った福岡が、J1昇格へ向けて貴重な勝ち点3を手に入れた。



 終盤に入って2連敗と嫌な流れになりかけたが、それを払拭するとともに、再びJ1昇格へ向けての勢いを取り戻した福岡。しかし、指揮官も、選手も浮かれてはいない。「目の前の試合を勝つだけ。我慢強い、辛抱強い試合を今日はやってくれたので、同じことを続けないといけない。試合後のロッカールームで、選手たちも『この試合を続けよう』という声が出てたくらい。そういう戦い方をしていかなければいけない」とは松田監督。就任以来、変わらぬ姿勢で次節の草津戦に臨む。

 さて破れた札幌。3位確保に向けて厳しい状況に追い込まれた。勝たなければいけない試合で、福岡の気迫と辛抱強い守備の前に、時間の経過とともに自分たちの気迫をそぎ落とされた。「実力の差。トレーニングで、ずっと言っていることが出来ていないからやられる」と柳下監督は試合を振り返る。後一歩が出なかったこと、単純なミスが出たことが悔やまれる。しかし、ここで下を向くようではチームの成長はない。残り4試合を勝ち抜くことでしか新しい自分たちは見えてこない。戦いはまだ終わっていない。






(アビスパ福岡) (コンサドーレ札幌)
GK: 水谷雄一 GK: 林卓人
DF: 山形辰徳(66分/宮本亨) 長野聡 千代反田充 アレックス DF: 加賀健一 曽田雄志 和波智広
MF: 山形恭平 中村北斗 ホベルト 宮崎光平 MF: 金子勇樹 田畑昭宏(51分/鈴木智樹) 岡田佑樹(59分/中山元気) 砂川誠 西谷正也
FW: 田中佑昌(55分/岡山一成) グラウシオ(89分/村主博正) FW: 相川進也 清野智秋(77分/デルリス)
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